経験が想像力を高める!『PearL』の経営術に迫る
2014年にオープンした代官山の美容室『PearL』。その高い技術力でハイセンスな女性たちから高い支持を集め、雑誌などのメディアからも注目を集めています。そんな『PearL』が人気店に成長した背景には、笑顔を共有し合うサロンワークや若手にも積極的に外部の仕事を任せる教育体制がありました。
今回は、代表のMATSUさんにインタビュー。 前編では、お客さまから愛されるサロン作りの極意に迫ります。
店名『PearL』に込めた思いとは?
————まずは『PearL』が成果を上げているのは、どのようなポイントにあるのでしょうか?
「コンセプトをしっかりと設定しているからだと思います。『PearL』のコンセプトは、『個を輝かせる』と『輝きのあるつながりを作る』の大きく2つがあり、『PearL』というサロン名にも、この2つの想いが込められています。パールはひと粒でも輝いていますし、つながってアクセサリーになるとさらに美しい宝石になるので、『コンセプトにピッタリだな』と。またコンセプトをお客さま向けと、スタッフ向け、それぞれで考えていることもポイントです」
————それでは「お客さま向け」のコンセプトについて教えてください。
「お客さま向けの1つ目は、『その人をパールのように輝かせる』です。何よりも大切なのは、目の前のお客さまなので、その人が持っている魅力を最大限に引き出すことを意識しています。次に、友人や恋人など『その人と誰かのつながりを輝かせる』です。友達に紹介したら、とてもよろこんでくれて、さらに仲が深まったなど『よい関係性を生むサロン』を目指しています。
他にもパールはドレスをはじめとするフォーマルな服装にも、カジュアルなファッションにもマッチするので、『両方に対応するヘアスタイルを作りたい』という気持ちも込めています」
常に隣のスタッフを笑顔に
————続いて「スタッフ向け」に考えているコンセプトを教えて下さい。
「まずは『魅力的な個を育てること』です。パールは、貝のなかで年月をかけて成長していくので、同じように『サロンのなかで少しずつ若手を育てたい』という気持ちを込めています。もう1つが、『輝きのあるチームを作ること』です。現在の業界は、フリーランスをはじめ美容師に個人力が求められている傾向にあると思います。しかし、『PearL』の目標はスタッフ同士支え合いながら仕事をすることです。そのため『輝きのあるつながりを作ること』というコンセプトの通り、常に隣のスタッフを笑顔にしながらサロンワークをしたいと考えています。朝礼でも、このポイントはよく話していますね」
若手の想像力を伸ばすために大切なこと
————若手を育てるためには、どのようなことが大切でしょうか?
「経験を積むことですね。『経験の蓄積』が大切な理由は、相手の考えを読み解く想像力が身に付くからです。そのため『PearL』では、アシスタントのうちから雑誌などの外部の仕事に積極的に関わっており、編集さん、カメラマンさん、ライターさんなど熟練のプロフェッショナルとともに働いています。
私たちに求められる要求が高く、みなさんの頭のなかを想像したうえで、その一歩先をいった提案が求められるため、現場ではとても大変ですね(笑)。時には、モデルの手配から任されることもあって、これまでには10人提案しても『今回の雰囲気とは違います』と言われたこともありました。そのため『相手は何を望んでいるのか?』という、想像力がとても鍛えられます。
現場では、まずはアシスタントに任せていて、正直に言うとはじめからうまくできる人はほとんどいません。それでも、何度も何度も現場を踏んで、少しずつスキルを伸ばすことが大切です。そこで、培った力はサロンワークにも生きてきますからね」
————「サロンワークにも生きてくる」についてもう少し具体的に教えてください。
「『相手は何を望んでいるのか?』という想像力は、美容師に必須のスキルだからです。たとえば、『今日はどうしたいですか?』と聞いて100%的確に伝えられる人はいません。要するに、理想のスタイルは言葉にならないことがほとんどです。そのため、私たちはお客さまのメイク、ファッション、手に取った雑誌などから想像する必要があります。そして『ボブでお願いします』と言われたら、そこにお客さまに似合ったニュアンスや空気感をプラスしていく。場数を踏んでいればいるほど、ご提案できる幅は広がりますから、先ほど言ったような、先輩たちと一緒にプロとして働いた経験がとても生きてくると思っています」
お客さまから愛されるサロン作りの極意
常に変化を続けることを大切にしているという『PearL』。お客さまから愛されるサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.「お客さま向け」と「スタッフ向け」両方のコンセプトを設定する
2.「隣のスタッフを笑顔に」を胸に留めて、サロンワークを行う
3.若手にも積極的に外部の仕事を任せて経験を積ませる
後編では、リピート率を高める方法などに迫ります。
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