センスの塊に溢れる職人であり続けたい。私の履歴書 Vol.24【UMiTOS 砂原由弥さん】#2
人気芸能人のヘアメイクを担当し、多くの有名俳優から熱い支持を得る砂原由弥(通称:ちょきみ)さん。表参道UMiTOS(ウミトス)」と千葉県の南房総市にある「海と砂原美容室」代表でもあります。前編では、砂原さんの生い立ちをお届け。人と美容が好きで、他者のために仕事をしてきたという砂原さん。第一線で活躍してきた砂原さんの仕事に対する想いを伺いました。
転機
とにかく美容と人が好きという気持ちで前線でやってこられました
――仕事している上で転機があれば教えていただけますか。
いわゆる業界紙の表紙とか、1年に12ヶ月あるので、12人しか選ばれないじゃないですか。それなのに毎年やらせていただいて。20代の頃から50歳近い今まで前線でやらせていただいています。インスタにアップする私的な作品ではなく、公の作品になるじゃないですか。そう考えると世間からの認知があったということなのかなと思います。
また、NHKの番組に一定期間出演させていただいていました。美容師さんのステータスとなる仕事を、美容師でやってきて、ヘアメイクとしてのステータスな仕事をヘアメイクでやってきたんです。どっちの業界としても難しいところを自分の中で楽しんでいるようなところがあると思いますね。
――20代から今までエンジン切らずにやってこられた秘訣や理由はありますか。
とにかく美容が好き・人が好き。好きを超越しました。
慶応義塾大学の特別講師をするのですが、美容を通じて伝えるとか、感じてもらうっていうのは、もう髪の毛を切る仕事から離れているじゃないですか。もちろん日常では切ってますけど。そういう未来の美容の、その人だけの未来づくりの話をどんどんしていこうかなとワクワクしています。
最近は、プロデューサーやディレクター、タレントの方がいらして、未来の自分を作っていくメニューが人気があります。その人が生きやすくなるためのヘアにすることで、周りの動きがちょっと変わるようにする。スペキュラティブデザインっていうんですけど、夢を叶えさせる最高の髪型を作るというメニューです。
――すごいメニューですね!
そうなんです。特に芸能とかはわかりやすいと思います。髪型やヘアメイクで売れる売れない、掴める掴めないがわかるので。全部そのヘアとルックスにかかってくる。そういうふうに結果を求められるヘアづくりをしています。だからありとあらゆる職業の人に対して、夢を叶えさせる自信があります。普通の美容師さんたちよりも窮地に立つ経験をしているからこそ、ひらめくんだと思います。
独立後
出産直前まで働いていました
――独立しようと思ったきっかけや、このサロンや南房総のサロンを作ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
売れていた芸能人の方たちのタイミングに合わせて出産したので出産を考えた時点では高齢だったんです。美容に人生をかけてきたので、子供を持つということも普通よりも重く大切に思えました。妊娠したタイミングで、前の会社から退社となりました。
――妊娠・出産が人生の転機だったりするのでしょうか。
全然違います。逆に力が余りすぎて、内閣府認定メンタルカウンセラーの資格を取ったし、そのまま臨床心理士になっちゃおうかなと思ったくらい(笑)。もう産むっていうときにもCMの打ち合わせやギャランティの交渉をされたので、さすがにそのときは待ってくださいとお伝えしたのですが(笑)。どんな人生の局面でも人物デザインをするっていうことと向き合っていると思います。自分のことは大して大きな問題じゃないです。
――やっぱりそれは人が好きだからということに通ずるのでしょうか?
それはもちろんありますし、他者の最適さを最優先にしているからだと思います。美容師さんの美容の仕事ってお客様にとって、アドバイザーであって自分自身にも余裕があるんですよね。ヘアメイクの仕事だと、一番下で秤に掛けられて普通のメンタルじゃ保たないと思います。裏方に徹した志と行動が、出会う人出会う人が信じてくれるっていうのが強みになっているのかなと思います。
今後について
センスの塊に溢れた人であり続けたいです
――自分のサロンワークやヘアメイクに対するこだわりやインスピレーションはどころから得ていますか?
ヘアメイクの現場だとアートディレクターやプロデューサー、監督、助監督、それぞれのイメージというものを私たちクリエイターが、ある程度形としてわかっていなくてはいけない正解の感性があるんですよ。ヘアメイクさんだと安心材料として絶対持っていると思うんです。型を壊すにはそれなりの経験値と経歴がないと壊せない。相手の欲しいものが分かったうえで、ひとひねり加えていくと面白いプレーヤーとして、クリエイターとして、周囲の人と良い関係を長く続けられるんじゃないかなと思います。何を求められている仕事なのかを、ちゃんと見極めていったらいい方向に行くんじゃないでしょうか。
インスピレーションは、だからイマジネーションの練習を。でも普通になっちゃいますよね。たくさんのものを真似して作ってみたうえで、一個アレンジを加えてみるのが最初の取り組みだと思います。
――ご自身の夢や目標などありますか。
自分が何歳でどうなるかがなんとなくわかるので、それに対して準備しています。でも、一番はごりごりのセンス職人でいたいです(笑)。髪の毛だったらどこをいじると、よりムードが倍出るとかってあるんですよ。人物デザインとして、日本一のセンス職人としてやっていきたいです!
引き続き、いろんな映画や動画・ドラマ・舞台でキャストのルックスを決めることをもっともっとやっていきたいし、ひとりのタレント・役者・キャストを作るためにどういう髪型がいいか考えていきたいですね。女優に限らず、もちろんお客様やその人自身が最高峰にさせることがやっぱり楽しいですね。みんな自分が分からなくて、こういう自分でいたいっていう目指す気持ちがあっても、どういうルックスが合うのか、合わないのかわからずいると思うんですよ。なので、そこの部分を私が合わせる作業をこれからもしていきたいですね。
砂原さんの成功の秘訣
1.どんな時も自分らしくいる
2.正解の感性を持つ
3.美容と人を好きでいる
▽前編はこちら▽
絶対続けるという強い意志のもと働き続けました。私の履歴書Vol.24【UMiTOS 砂原由弥さん】#1>>
撮影/石原麻里絵(fort studio)
取材・文/梅澤 暁
Salon Data
UMiTOS(ウミトス)
住所:東京都渋谷区神宮前5-2-10
TEL:03-6418-8305
海と砂原美容室(ウミトスナハラビヨウシツ)
住所:千葉県南房総市白浜町滝口1464
TEL:0470-38-3388
URL:https://umitos.com/
砂原さんのinstagram:@sunaharayoshimi_umitos