美容師を志すと同時に「32歳で独立」という目標を描き、一歩を踏み出した【huge 南部勝利さん】#1

美容室「huge(ヒュージ)」で代表を務める南部勝利さんは、ナチュラルなくせ毛風パーマや、ツヤと透明感のあるカラーを得意とする美容師。3年間の社会経験を積んだあとに美容師に転身し、青山のサロンで技術を磨きました。独立後は後進の育成に力を入れながら、サロンワークや雑誌撮影でも手腕を発揮しています。

前編では、美容師という職業を選んだ理由や、先を見据えて技術をまんべんなく伸ばそうと努力したお話、“予定通り”だったという独立の経緯をお聞きしました。

お話を伺ったのは…

huge

代表・美容師 南部勝利さん

2013年に美容専門学校卒業後、青山のサロンに入社。3年3か月のアシスタント期間を経てスタイリストデビューし、サロンワークや外部撮影、セミナー等に携わる。2021年からは銀座のサロンで働きながら、原宿のサロンでフリーランス美容師としても活動。2022年10月、三軒茶屋にhugeを立ち上げ、2024年8月には表参道に2店舗目をオープン。ニュアンスパーマやアンニュイなショート&ボブに定評があり、現在もファッション誌や業界誌撮影など幅広く活躍中。

Instagram:@huge_katsutoshinambu

NAMBU’S PROFILE

お名前

南部勝利

出身地

高知県

出身学校

原宿ベルエポック美容専門学校

プライベートの過ごし方

お酒を楽しむ、散歩、ショッピング

趣味・ハマっていること

格闘技、スポーツ観戦

仕事道具のこだわり

毎日磨いて大切にしています

目標を持って仕事をするため、美容師にジョブチェンジ

最初に勤めたサロンのカリキュラムを予定より早くこなしてスタイリストデビュー。実はこれも「計算の内」だったそう。

――美容師になろうと思ったきっかけや理由を教えてください。

高校卒業後は学校の推薦枠で地元の企業に就職し、工場勤務をしていました。1年目の途中で「目標を明確に持って仕事をしたい」と思い、いくつかイメージした職業の中で、美容師が一番続けられそうだと感じたのがきっかけです。誰かに憧れたとか、おしゃれになりたいとか、そういう感情はまったくなかったかもしれません。

――それで、仕事を辞めて専門学校に?

すぐには辞めず、3年間働き続けました。その仕事としっかり向き合って、どれくらい自分が評価されるか試そうと思ったんです。その後、美容師になるならやっぱり東京かなと思い、原宿にある美容専門学校に入りました。

――就職先のサロンはどのような基準で選びましたか。

とにかく上手くなりたいと思ったし、きちんと技術解説できる力をつけたかったんです。だから業界誌などを見て技術力を売りにしているサロンを探し、青山のサロンに入社しました。3年3か月のアシスタント期間を経てデビューし、トータル8年ほど勤めました。

――アシスタント時代で、特に印象に残っていることはありますか。

撮影やセミナーをたくさんやっているサロンだったので、先輩方にお願いしてほぼ全部参加させてもらっていました。営業前の時間はもちろん休日も返上でしたが、当時はそういうものだと思っていたので。

――そういう場で学んだこと、得たことは何でしょう。

何もかも初めての経験だし、わからないことだらけだったので、基本的にすべてが学びでした。ひとつの企画に向けて何をどう準備するか、現場でどう振る舞うか、そういったところはすごく勉強になった気がします。

将来の独立を見据え、オールラウンダーとして能力を伸ばす

「個人の売り上げ云々よりも、技術的・デザイン的にうまくなりたいということだけ考えていた」と振り返る南部さん。

――スタイリストデビュー後は、どんなことに力を入れましたか。

一過性で何か突出したいとは思わなかったので、オールラウンダーな美容師として自分の能力をまんべんなく伸ばそうと意識していました。将来的に教える立場になった時に、自分の得意なことに偏って教えるのは、ちょっと押しつけっぽくなる気がして。

――若い頃から、先のことをきちんと考えていらっしゃったんですね。

実は、社会人1年目の19歳で美容師を志した時すでに、いずれ自分の店を出そうと考えていたんです。32歳で独立開業すると設定して、そこから逆算していつ何をやるべきか、ライフプランをつくりました。

――すごい!オールラウンダーを目指した際、もともとは得意不得意があったのでしょうか。

技術全般が好きだったので、そんなに不得意なものはなかったですね。ただせっかちな性格なので、時間をかけることや待つことは苦手だったかも。

自分のお店を出したら、自分が前に出て何かするというよりは、スタッフが成長して活躍してくれる方がいいと思っていました。だから、その子たちに「ここでは学べないかも」と思われないようにしたい。そういう意識を初めから持ってやっていましたね。

――どんな練習をしてご自身の技術を伸ばしていったのですか。

自分がカットしている姿をもう一人の自分が見るような感じで、常に俯瞰するようにしました。寝る前にイメージトレーニングをして、実際に切る時はそのイメージを順番に追っていくんです。思い込みをしたり、間違って覚えたりしないように気をつけながら、ちゃんと復習するというのも心がけていました。

――イメトレ、実践、復習をくり返したんですね。

そうですね。あとは、切り方やパーマの巻き方でつまづいた瞬間があれば、次の日の営業で先輩がやっていることを見るようにしました。できることを何度もくり返すより、自分ができていないかも…というところをちゃんと理解することが大事。そこを反復した方が、技術の伸びは早いと思います。

多様な働き方でノウハウを学び、「huge」をオープン

人に何かを教える時、「押しつけにならないようにしたい」というのが南部さんの思い。正社員、業務委託、フリーランスを経験したのもそれが理由でした。

――青山のサロンを辞めたあとのお話をお聞かせください。

銀座にある別のサロンで1年半ほど働きました。その店は集客力がとても強かったので、「自分は独立を考えているからノウハウを学びたい」と伝えたんです。集客の仕組みを知らずにお店を出したら、スタッフがお客様を獲得できずに売り上げが伸びない状態になってしまうと思ったからです。

――技術の次は運営のコツを学んだわけですね。フリーランスも経験されているそうですが。

銀座のサロンと並行して、原宿でフリーランスとしても働いていました。美容室は大きく分けて、正社員サロン、業務委託サロン、フリーランスサロンという形があります。3形態それぞれのメリットやデメリットを、身をもって体験しておきたいと思ったんですよね。そうすれば、自分の店を出した時に、スタッフのための選択肢を増やせるんじゃないかなと。

――なるほど。19歳の時に立てたプランでは「32歳で独立」でした。実際には?

予定通りに独立を果たせました。昔馴染みでもある同い年の相方と共同経営で、三軒茶屋に店を出したんです。

――初志貫徹ですね!ご友人と組むことにしたのはなぜですか。

二人の共通点として、自分が前に出るよりも人を育てたいという思いがあったからです。僕はスタッフの育成や店舗拡大の方に力を入れて、経営面は相方に任せています。

――三軒茶屋という場所を選んだ理由は何でしょうか。

相方が三軒茶屋で古着屋や飲食店をやっていた縁もあって、この場所にしました。最初は表参道で物件を探したのですが、当時はまだコロナ禍中で不安定な状態でしたし、もしほかのメンバーが辞めてしまっても僕一人でなんとかできる規模感でいったんスタートしよう、と。相方に迷惑をかけられないという気持ちがありましたね。

――オープニングのメンバーは?

一度美容師を辞めたけど戻りたいという子と、美容師歴2、3年目の子、そして僕の3人です。そこまで高い売り上げを狙えない想定でスタートした割には、まずまずの滑り出しでした。集客のコツを学んでから始めたのが功を奏したのかなと思います。


19 歳で描いた計画通りに32 歳で美容室「huge」を開業するまでの道のりには、強い意志と地道な努力がありました。では、独立後はどのような思いでサロンを運営しているのでしょうか。サロンづくりの工夫や独自の教育方針など、続く後編で詳しくご紹介します。

撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子


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住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-9-15
TEL:03-5787-6869

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