携わる人を大切に、感謝を忘れずに。それがサロンの長期的な発展につながると信じています【huge 南部勝利さん】#2

2022年に三軒茶屋でhuge(ヒュージ)をオープンした南部勝利さん。着実にファンを獲得し、スタッフの成長や増員もあって2024年には表参道に2店舗目を出店しました。オーナーとして広い視野を持ってサロンづくりに取り組み、若手の感性や意見を尊重しながら技術向上をサポートしています。

後編では、サロンの理念や教育へのこだわり、美容師として大切にしていることを中心に、hugeの今とこれからについてお話しいただきました。

お話を伺ったのは…

huge

代表・美容師 南部勝利さん

2013年に美容専門学校卒業後、青山のサロンに入社。3年3か月のアシスタント期間を経てスタイリストデビューし、サロンワークや外部撮影、セミナー等に携わる。2021年からは銀座のサロンで働きながら、原宿のサロンでフリーランス美容師としても活動。2022年10月、三軒茶屋にhugeを立ち上げ、2024年8月には表参道に2店舗目をオープン。ニュアンスパーマやアンニュイなショート&ボブに定評があり、現在もファッション誌や業界誌撮影など幅広く活躍中。

Instagram:@huge_katsutoshinambu

「人を育て、ともに成長する」のがhugeの理念

温もりを感じる家具やグリーンが配置され、おしゃれで落ち着きのある店内。

――サロン名の由来と、サロンの理念を教えてください。

一緒に経営している相方が「大きい会社にしたい」と言っていたので、ビッグよりさらにスケールの大きな「huge」にしました。大切にしているのは、「人を大事にして、育てて、成長していくこと」です。

――空間づくりでこだわったところは?

撮影に使える場所をいくつかつくっています。あとは、印象的なソファや照明、鏡など、SNSで写真を見た時にhugeだとわかるポイントにもこだわりました。表参道店も同じ鏡を設置していて、店内の雰囲気は違いますが共通点を持たせています。

白、モルタル、ウッドを基調としたhuge 表参道店。広々として開放感があり、リラックスして過ごせる空間が魅力です。

――表参道店オープンの経緯も教えてください。

スタッフが増えたこと、リクルート強化の観点で表参道に店を構えた方がよいと思ったことが大きな要因です。自分は青山・表参道エリアで長く働いていたので、特別な意識はあまりないですが、「美容室激戦区の表参道で戦える」というのはスタッフの自信につながるかなと思いました。

――店内に撮影スポットもありますし、外部の撮影の仕事もずっと続けていらっしゃいますね。撮影は南部さんにとってどういう位置づけですか。

僕の場合、先頭に立って新しいものを発信していくというよりは、自分の今の感覚と世間の今の感覚をすり合わせているんだと思います。例えば雑誌なら、自分の作品が表紙に採用されたり、大きく掲載されたりというのは、理由なくそうなるわけではないですよね。自分がいいと思うものと、編集さん側がいいと思うものを確かめて、「今を捉える」感じなんです。だからこそ、継続が大切だと思っています。

――撮影に対する考えは、ほかのスタッフさんにも伝えているのでしょうか。

情報量が多い時代ですから、正直、自分が若い頃よりも今の子たちの方が上手なんですよ。彼らの感性は潰さないようにしながら、足りないところはアドバイスして、能力を伸ばしたいなと思っています。

わかりやすく伝える教育と、安心して働ける環境を整備

「トップを走るサロンのいいところはどんどん取り入れたい」と、他店の代表に直接教えを請うことも。そんな柔軟性と広い視野が南部さんの持ち味。

――技術教育に関して、大切にしていることは何でしょうか。

単に正解を教えるのではなく、「なぜできていないのか」を明確にして、わかりやすく伝えることを心がけています。そうしないと、その子たちが教える立場になった時にきちんと教えられなくなってしまうので。

――先のことまで考えて育てていらっしゃるんですね。教育体制はどのように?

スタッフだけが見られるYouTubeチャンネルがあり、そこに技術の解説動画を上げています。教わる側のアシスタントも、教える側の教育チームもまずはその動画を見てから実践練習に移ります。教える人によってズレが発生するのを、できるだけ防ぐためです。

また、レッスンは自主性を重んじています。朝の練習は9時から10時半まで。月に一度チェック日があるので、それに間に合わないと「自分で判断したら」営業後に残って練習をする。居残りせずに合格するのがベストという方針でやっています。

――技術動画はどれくらいのペースでつくっているんですか。

月に一度、僕がウィッグを切って動画を撮り、店長が編集しています。あとは、毎週木曜の朝に時間を設けて、見直したい技術やトレンドを全員で共有するようにしています。

営業前の練習風景。この日は店長の釘尾さん(画面右端)が後輩たちを指導中でした。

――給与や休暇など、働く環境づくりでこだわっていることは?

美容師基準ではなくて、一般企業の基準を参考に基本給を設定しています。うちの古着屋や飲食店のスタッフも含めて一律の初任給にしていて、高水準のスタートになっていますね。

有給も取りやすくしていますし、産休・育休についてもスタッフと話し合っています。若いスタッフが多いので、結婚や出産はいつあっても不思議ではありません。そうなってから制度や働き方の話をすると、どうしても後出しのような印象になってしまい、お互いに気まずさを感じることもあります。そうなる前に、会社としてできることを伝えたいし、もしほかの選択肢があれば教えてほしいと言っています。

――立場に関係なく、意見交換できる風土をつくっているんですね。

むしろ若い世代の方が多くの情報を知っているので、スタッフにいろんなことを聞いていますし、意見をちゃんと取り入れたいと思っています。それによって組織の厚みも増すのかなと。

働くとは、自分で決めたことを遂行していくこと

技術も自身の思いも、的確に伝えることを大切にしている南部さん。そのためには相手の言葉をきちんと聞き、自分の言葉も慎重に選んでいるのだそう。

――リクルートに関してお聞きしたいのですが、どんなことを重視してスタッフを採用していますか。

新卒に関しては、やる気や素直さ、コミュニケーション力があるかといったシンプルな基準で判断しています。中途採用の場合は前社を辞めた理由を軽く聞きつつ、今後の志や目標を確認するようにしています。

――これからさらにスタッフが増えていくと思いますが、3店舗目、4店舗目も考えていますか。

将来的には、そうですね。ただ闇雲に増やすのではなく、スタッフたちがどうなりたいのかにもよるので、すり合わせながらだと思います。

――美容師としてのモットーは何でしょうか。

携わった人を大事にするということ。自分がお店を出せたのは昔からの仲間がいたからだし、雑誌の撮影をやらせてもらえるのは依頼してくれる人がいるから。いざ撮影となったら、衣装を貸してくれる古着屋があったり、メイクをしてくれるアシスタントがいてくれたり。そこに対する感謝を忘れなければ、人としても美容師としても、そしてサロンも自然と大きくなれるのかなと思います。

――ということは、経営者としてのモットーをお聞きしてもきっと同じですよね。

そうですね。経営者としてみんなに伝えているのもそこだけです。今できてきることやしてもらっていることは、決して「あたりまえ」ではなく、誰かのおかげだったりする。そういう意識が薄れないような体制を意識して進めています。

――なるほど。では、南部さんにとって「働く」ということは?

働いている感覚はあまりないというのが正直なところです。自分が社員としてサロンに勤めている時は、働いている感覚があったんですよ。でも今は、自分がやりたかったことを盛り上げてくれるスタッフのために何かをすることが当然のことだと思っています。

あえて定義するなら、「自分で決めたことを遂行していくこと」ではないでしょうか。スタッフに上手くなってほしいし、何かのきっかけになればいいなという思いで、自分自身がやるべきことに取り組んでいます。

南部さんが考える、夢を叶えるために必要なこと

1.継続力と準備

2.巻き込み力

3.感謝

撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子


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住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-9-15
TEL:03-5787-6869

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