生涯に渡って、お客さまに寄り添う!『BY THE SALON』のサロン作りに迫る
『BY THE SALON』は、2016年8月にオープンした代官山の美容室です。30代から80代まで幅広い年齢層から支持を集め、2020年の1月には中目黒へにも出店。そんな『BY THE SALON』がファンをつかんでいる背景には、お客さまのストレスを軽減するバリアフリーの空間や、サロンに足を運べない方をサポートする訪問美容事業の展開がありました。
今回は、オーナーの金澤真由美さんにインタビュー。前編ではお客さまから愛されるサロン作りに迫ります。
生涯に渡って、お客さまに寄り添う美容室を目指して
————まず『BY THE SALON』は、なぜ人気を得ているのでしょうか?
「『生涯に渡って、お客さまに寄り添う』というコンセプトを掲げているからだと思います。実は、駆け出しの美容師時代は少し違うスタイルでした。流行りのスタイルやデザインを追っていて、もちろん、とてもやりがいはありましたが、キャリアを重ねるに連れて『お客さまとは、流行に敏感な間だけではなく年を重ねてもずっとお付き合いを続けていきたい』と、私自身の美容に対しての考え方が少しずつ変わってきました。ちなみに、仕事のスタイルを変えたきっかけの1つが、祖父との別れでした」
————その、きっかけになったエピソードについて教えてください。
「亡くなった祖父を見た時に、髪が伸びていることに気が付きました。祖父は常に髪をきれいに整えていたので、『どうして、入院をしていると聞いた時に会いに行って、髪を切ってあげられなかったのだろう…』と、それがとても心残りでした。
また、『祖父のように、髪を切ってほしいと思っているけど言えない人が他にもいるのではないか』とも思い、そんな方々のもとに足を運ぶためにフリーランスに転身をして訪問美容の仕事を始めました。訪問美容師としてご自宅にお伺いして話をしていると、多くの方が『本当は美容室に行きたいけれど、私は車椅子だからサロンで迷惑をかけてしまうかもしれない』と。
その時に『誰でも気軽に来店できる、バリアフリーのサロンがあったらよろこんでいただけるかもしれない』と感じて、ずっと構想を練っていました。その考えを、以前のサロンでともに働いていた先輩に話してみたところ、彼女も『お客さまが長く通えるサロンを作りたい』と。そこで計画を詰めていきオープンしたのが、生涯に渡って、お客さまに寄り添う美容室『BY THE SALON』です」
バリアフリーで、お客さまのストレスを軽減
————それでは、コンセプトに沿ったサロンを作るために、どのようなポイントを意識したのでしょうか?
「心掛けたポイントは大きく3つあり、1つ目は空間です。空間は先ほども言ったとおり、バリアフリーを意識しており室内の段差を極力なくしています。
また、サロンの奥には車椅子の方向けに半個室の空間も作りました。このスペースにはこだわりが詰まっており、たとえば設置されている椅子には、シャンプーをしやすい体勢に動かすことができるなどストレスを軽減する機能が付いています。
また、可動式のシャンプー台をこのスペースに持ってきて髪を洗っているので、シャンプーの際の移動が必要ありません」
訪問美容事業で、美容と生活の両方をサポート
————それでは、2つ目のこだわりを教えてください。
「2つ目は、訪問美容事業です。仕事内容は、ご自宅にお伺いして髪を整え、楽しくお話をして帰ってきます。ヘアスタイルがすっきりして、会話を通して笑顔が生まれるので『心身ともにリフレッシュできる』と、とてもよろこんでいただけますね。
今はだいたい週に2回ほどオファーがあり、帰宅の際にはほとんどの方が次回の予約を取ってくださるのでリピート率はかなり高いです。
現在、訪問美容に携わっているスタッフは私だけですが、複数人であれば病院や介護施設など大きな施設にもお伺いできると思うので、興味がある美容師がいれば『とても心強い』と思っています。今は、知り合いのケアマネジャーさんやお客さまからのご紹介が多いですね。
ちなみに、私は介護事業所にパートで所属してヘルパーとしても働いています。より良質な訪問美容を提供するために、介護の知識や技術を身に付けることは大切ですからね。ヘルパーの仕事では、薬を飲んでもらう、おむつを変える、入浴を補助するなど生活のお手伝いをしています」
お客さまから愛されるサロン作りの極意
スタッフは全員キャリアが10年以上だという『BY THE SALON』。お客さまから愛されるサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.仕事を通じて抱いた美容への想いを、コンセプトに掲げる
2.バリアフリーの空間で、お客さまのストレスを軽減
3.訪問美容事業でサロンに足を運べない方もサポート
後編では、リピート率を高める方法に迫ります。
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