転職という挑戦の先にやっとたどり着いた、自分らしく働ける場所「Memories」下村直也さん

東京の銀座、表参道、水天宮と3店舗を構える「Memories」。ショートカットのスタイルで大人女性の悩みを解決すると評判の渡来俊彦さんがオーナーを務め、勢いを増しているサロンです。

その銀座店でスタイリストとして活躍し、現在は副店長も務めているのが、美容師歴12年目となる下村直也さん。前編では下村さんが初めて美容室に就職したところから、前社までの経験について伺いました。

後編では「Memories」への転職経験について伺います。「Memories」に入社したことで、「自分の甘さを知った」と話す下村さん。転職をきっかけに、自分自身と向き合う覚悟が芽生えたといいます。

今回、お話を伺ったのは…

「Memories」副店長／スタイリスト

下村直也さん

美容専門学校卒業後、都内のサロン4社を経験。美容師としてより活躍の場を広げ、生活の安定も図りたいと考え、2022年「Memories」に入社。2024年には副店長に就任し、脱白髪染めと似合わせショートを得意とするスタイル提案で、多くの支持を集めている。

インスタグラム

次に選んだ挑戦の場は、銀座のショートカット特化サロン

――「Memories」への転職を決めた理由は？

Instagramで転職先を探していたとき、「Memories」の代表・渡来の投稿を偶然見つけたのがきっかけです。当時は結婚も視野に入れていたので、福利厚生が整っている点にまず魅力を感じました。

また、前職の代官山では感度の高いおしゃれなお客様が多く、自分がそこで活躍するのは難しいかもしれないと感じていた部分もあったんです。その点、銀座は自分の雰囲気にも合いそうだと思いましたし、代官山でも得意だったショートスタイルに特化しているサロンであれば、自分の強みを活かせるとも思いました。

何より、日本でもっとも地価が高い銀座で自分の力を試したい。そんなチャレンジ精神が背中を押してくれました。

――採用試験はどのように行われましたか？

サロン見学の際に書類を提出し、その後は代表の渡来との面接のみで、とてもシンプルな流れでした。面接ではどんな質問があっても自分を飾らず、素直に話そうと決めていました。細かい質問はもう忘れてしまいましたが、確か少し話しづらい内容もあったと記憶しています。ですが自分らしさを出すことが大事だと思っていたので、つくろわずに自然体で正直な気持ちをそのまま伝えるようにしました。

自分の甘さを思い知らされた日々。目の前のことに丁寧に向き合う姿勢を大切に

――「Memories」に入社して、どんなことを感じましたか？

入社してまず痛感したのは、自分の甘さです。30代を迎える少し前に「Memories」へ転職しましたが、技術、接客、お客様への向き合い方、そして売上を上げることなど、すべてにおいて、まだまだ未熟だと実感することが多くありました。

――その壁を、どう乗り越えてきたのですか？

正直、今でも課題はたくさんあります。ただ自分はストイックなタイプではないため、焦ってあれこれ手を出すのではなく、目の前のことを１つずつ着実にこなしていくことを大事にしてきました。

一歩ずつ積み重ねていくなかで成果が見え始め、それによって自分も少しずつ成長できたのではないかと思っています。

――現在は副店長も任されているそうですね。

はい。元々は代表の渡来が銀座店の店長も兼任していましたが、表参道店に異動することとなり、銀座店のまとめ役を誰かに任せたいということになったんです。キャリアアップは前向きに考えていたため、いくつかの条件をクリアし、自分が務めることになりました。

副店長となった今、さらに学ぶべきことは多いと感じています。渡来をはじめ、尊敬できる美容師が周りにたくさんいる環境なので、日々さまざまなことを吸収しながらも、自分らしさを忘れずに結果を出していきたいと思っています。

辛い経験は、未来を輝かせるためにある

――転職経験は、下村さんにとってどのような学びになりましたか？

「もがいた先に光がある」、そんなことを学べた気がします。美容師として働き始めた当初は、練習や努力を「ダサいこと」だと思っていたんです。でも数々の転職経験を通して、それが人生にとって大切なことだとようやく理解できるようになりました。

もがいた経験があるからこそ、その先の光を見つけることができる。そう思えるようになった今では、辛かったことも、決して無駄な時間ではなかったと感じています。

たくさんの人に迷惑をかけたり、後悔したりすることも多かったですが、多くの経験をしたからこそ、そういう考え方にたどり着けたんだと思います。

――就活や転職活動に対して、アドバイスがあればお願いします。

変に自分を取りつくろうよりも、自分らしさを大切にした方がいいのではないかと思います。もちろん、基本的な準備やマナーは必要ですが、そのうえで自分の個性や魅力をしっかり伝えることが大切だと思うんです。

それから、サロン選びに迷う人も多いと思いますが、「思い込みを外してみる」ことも大事だと思います。たとえば、若年層を担当したいと思っていても、実際に働いてみると年配のお客様との相性がよかったりすることもあるはずです。食わず嫌いをせず、あえて逆の選択をしてみることで、自分に合った道が見えてくることもあります。そういった意味でも、転職は決してマイナスな経験ではないと思います。

――お話を伺っていると、「自分らしさ」というキーワードが何度も出てきましたね。

はい。やはり自分らしく働くことは、とても大事なことだと思っています。もちろん、成長するためにはときには我慢も必要です。でも自分らしさを失ってしまったら、仕事を楽しむことができなくなってしまうと思うんです。

仕事はお金を得るためのものでもありますが、楽しく働けなければ続かないし、成長も限られてしまいます。これからも僕は自分らしさを大切にしながら、成長を重ねていきたいと思っています。

下村さんが転職経験を糧にできた３つのポイント

1.迷っても、自分の「行きたい場所」に思い切って飛び込んだ

2.苦しい時期も逃げずに、一歩ずつ地道に努力し続けた

3.自分らしさを大切にし、無理に自分を繕わず等身大で働ける場所を選んだ

お話を伺うなかで、下村さんが多くの紆余曲折を乗り越えてきたことが伝わってきました。ありのままを包み隠さず語ってくださった姿からは、過去の経験があったからこそ今の自分があるという自信と誇りを強く感じました。ぜひ下村さんの歩みを参考にしてみてくださいね！