選ばれるネイリストの秘訣は技術とセンス、そして人間力/uka 東京ミッドタウン 六本木 打矢佳菜江さん #2
コロナ禍での働き方は、「時短で高パフォーマンス」がキーワード。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、どんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果とは?
今回インタビューしたのは、uka 東京ミッドタウン 六本木でトップネイリストとして活躍する打矢佳菜江さん。前編では、臨時オープンしていた特設サロンのことやSNSをフル活用した集客法、ネイルサロンならではの感染症対策についてお聞きしました。
後編では、コロナ禍での打矢さんのタイムスケジュールを取材。会社としてのさらなる取り組みや、ネイリスト個人としての率直な気持ち、思いなどをお聞きしました。
お話を伺ったのは…
uka 東京ミッドタウン 六本木
トップネイリスト 打矢佳菜江さん
東京文化美容専門学校卒業。ネイルの他に、美容師免許や着付け、メイク、エステなどの資格も保有するマルチな才能を認められ、期待の新人として2011年4月uka入社。現在は、トップネイリストとして活躍しながら、社内教育の責任者も務める。シンプルでありながらセンスが光る色使いやデザインが好評で、大人の女性たちから支持多数。予約がなかなか取れない人気ネイリストとして注目を集めている。
※2021年5月から、uka 東京ミッドタウン 六本木に在籍しています。
1日のご予約はだいたい4〜5人。コロナ後に充実させたケアメニューが人気
<打矢さんの1日の流れ>
お店は朝11時オープン。いつも10:30までには出勤しています。ネイルは基本的にお客様と一対一で最後まで担当。他にヘッドスパやアイラッシュなどのメニューもあり、同時施術をする場合もあります。施術にかかる時間は、ケアで1時間前後、クイックジェル(シェラック等を使用)で1時間半、通常のジェルだと2時間程度の枠を取っています。
昨年の休業明けにはお客様が一時的に減った時もありましたが、今はありがたいことに朝からご予約で埋まっている日がほとんどです。
——コロナ禍で、お客様のご予約やオーダー内容に変化はありますか?
素の爪のお手入れをもっとしっかりやりたい、度重なる消毒で手指の肌荒れが心配という声が多く、新しく加わったケアメニューの予約は増えています。
ネイルについては特にメニュー変更はしていませんが、デザインをシンプルにする方が増えたように感じています。逆に、ストーンを飾ってキラキラさせるというのは少なくなっているかも。「派手に盛る」というのが、ナチュラル志向が進んできた今の時代のマインドと少し違うのかもしれませんね。
ディープケアの重要性を伝えていきたい。会社全体としてはSDGsの取り組みも強化
——今後、どのような需要が増えていくと思いますか?
今改めて良かったなと実感しているのが、ネイルケアを強みとしてやってきたことです。ドライケアのサロンさんも結構あると思うのですが、きちんとお湯でふやかして行うディープケアをukaでは推奨しています。わざわざ足を運んでくださるお客様も多く(最近ではさらに増えて)、自爪のケアは今後さらに重要になっていくのではと思います。
一方で、セルフネイラーも増えていくのでは? とも感じています。最近では、ジェルのようにぷっくり仕上がるシールやセルフケアの道具も充実していますよね。そういったアイテムを利用して、自宅で行うネイル&ケアの楽しみも広がっていくのかもしれません。
——自宅ケア志向の高まりで、ECサイトからの購入も増えているのでは?
コロナ禍で、ECサイトからの売り上げは本当に伸びています。以前からECサイト自体はありましたが、これを機にサイトのデザインや購入までのフローを改善したり、キャンペーンを実施するなど色々と見直したことで、EC担当はさらに忙しくなったと言っています。
特にインスタライブの反響はすごいですね。休業中にインスタライブで配信していた「ukaの部屋」の時もそうだったのですが、何か商品を使ったり詳しく紹介した直後から、売り上げがぐぐっとアップするそうで。ネイルの場合も、この色とこの色を組み合わせると簡単に可愛いネイルができる、と紹介した翌日は、使用した色の売れ行きが上がるという。今の時代、SNSからの反応はやっぱり強いです。
ukaというサロンは、ラグジュアリーなイメージがあり、若い世代の方には若干距離があるのかな、というのが正直なところでした。でも、商品がSNSでバズったりすると、若い世代の方にも「何だろう?」と興味を持っていただき、購入へ繋がる。さらにサロンも知っていただき、一度お店にも行ってみようかな、という流れにもなっています。
——これから力を入れていきたいこと、注目していることはありますか?
会社全体としては、SDGsへの取り組みに力を入れています。今年、主力商品であるヘアケアのパッケージをバイオマス素材にリニューアルしました。「サステナブル」をテーマに、現場の私たちもできることから始めています。
ネイル部門でもいろいろ考えて、簡単なことからですが実行しています。例えば、今まではアルミホイルとつまようじでジェルを混ぜていましたが、ゴミが増えてしまうのでプラスチックの入れ物とマドラーを使う。道具を洗う頻度も高いので、使用する洗剤は植物由来のものを選ぶ。タオルの使用を必要最小限にして洗濯回数を減らす。ペーパーも無駄に使わない、といった取り組みです。業務用の大容量タイプや詰め替えなどもうまく利用していけたらと、いろいろ模索しています。
——コロナが落ち着いてきたとはいえ、世の中はまだ不安な状況。これからどんなネイリストを目指していきたいですか?
コロナでいろんな制限がありますが、そんな状況でも「爪くらいは明るくしよう!」「爪がキレイだと幸せ」と言ってくださるお客様が増えているように思えて、ネイリストをやってきて本当に良かったなと改めて実感しています。
ネイリストは、一人のお客様に対して関わる時間や接している時間が長いんですよね。これってネイリスト特有なのかなと思っていて。中には、自分の考えや大切な話をしてくださるお客様もいらっしゃり、話すことで心が落ち着いたり、楽しい時間になっているのかなとも感じています。結構深い話もするけど友達ではない、でも月1くらいは会う…みたいな、絶妙な距離感ですよね。
コロナ禍でみんなが考えたことだと思いますが、自分にとって本当に必要なもの、大事にしたいことは何なのか、それが浮き彫りになってきたのではないでしょうか。
ネイルの技術やセンスはもちろん大事ですが、「この人に会いたい」「この人に任せたい」とネイリストのもとへ足を運んで、キレイになって、自分のモチベーションも高まる。そういう役目を担えるというのは一つの大きな価値。技術者であり、人間力も武器にしながら、どんな時代でも選ばれるネイリストになっていけたらと思います。
コロナ時代、効率的に働く3つのコツ
1. 働き方も仕事内容も時代の変化に合わせてシフトチェンジ
2. SNSやECサイトなどのオンラインツールをフル活用
3. 技術+「人間力」で選ばれるネイリストに
今、ネイル業界全体としての存続が危ぶまれる空気感があります。ですが、果たして本当にそうなのでしょうか? ukaで働く打矢さんの話を聞くと、サロンでしか得られない技術や特別な時間、そして「この人」にお願いしてこその充実感は、他のものには変え難い、と感じます。そんな強みを持つ、人間力の豊かな技術者こそが、これからをリードしていく存在になるのかもしれません。
▽前編はこちら▽
メニュー構成もお客様へのアプローチも変化に合わせて即シフトチェンジ/uka 東京ミッドタウン 六本木 打矢佳菜江さん #1>>
取材・文/青木麻理(tokiwa)
撮影:mika
Salon Data
uka 東京ミッドタウン 六本木
(ウカ トウキョウミッドタウン ロッポンギ)
住所:東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガレリア2F ビューティー&ヘルスケアフロア
TEL:03-5413-7236
打矢さんのInstagram:@uka_kanae_u
ukaの公式Instagram:@instauka