美容業界の未来のためにブランドサロンだからできること/SerA by U-REALM 森 亜伊希さん #2
コロナ禍で、これまでと同じ働き方が難しくなってきた美容業界。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、他のサロンはどんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果は?
前編に引き続き、横浜エリアを牽引するヘアサロンSerA by U-REALMの代表・森 亜伊希さんにインタビュー。昨年の緊急事態宣言明け、外部医療サポート会社による感染対策アドバイザリー契約を結んだU-REALM。前編では、そのメリットについてお伺いしました。
後編では、アフターコロナでの森さんの働き方の変化と、今後SerA by U-REALMが目指していく働き方について教えていただきます。
お話を伺ったのは…
SerA by U-REALM
代表 森 亜伊希さん
横浜Styleの発起人として高い技術力と作品作りのスキルを持つ。2019年12月、SerA by U-REALM代表としてU-REALMに参加。現在は髪質改善のスペシャリストとして、幅広い世代の支持を集め、横浜エリアを牽引している。
Instagram:@sera_urealm_aiki
森さんの1日の流れ/3枠を基本に、30分ずらして予約を入れる
―1日の予約枠に変化はありましたか?
基本的には3枠でやっていて、昨年の4・5月は1枠、6・7月は2枠で、8月から3枠に戻しました。大体12~15名くらいを担当しています。
コロナ前は3枠同時スタートもしていましたが、現在は密の回避という意味で、30分置きにずらして予約を入れるようにはしています。ただ、パーテーションもあり、座席間隔もあいているので、ガイドラインに沿ったオペレーションができていれば満席になっても問題ないと認定されているので、そこまで厳しく制限はしていません。
また、横浜エリアは朝が早く午前中に予約が偏りがちで、とくに昨年は夜の時間帯の予約が減っていたので、遅くとも19時にはしめていました。今年から土日の営業は2時間短縮しています。
コロナ禍で始めたキッズカットで、地域密着を加速
―このコロナ禍で新しく始めたことはありますか?
SerAだけなんですが、未就学児のキッズカットを無料で行っています。基本的には、地域の方で、お母さんの施術をしている間にお子さんの髪を切ってあげるサービスです。
実は昨年の4月からやり始めたんですが、検索などから来てくださるお客さんも増えているので集客のひとつになっているかなと思います。すごく喜んでもらえていますよ。
―それは、集客を取り戻すということで始めたんですか?
そもそもサロンをオープンする時に、そういう構想はしていたんです。地域柄もありますし、僕はすごく小さい時から来てくれているお客さんが、大人になって子供が生まれて…というのを体験できる美容師が本物だと思っているので、スタッフにもそれを体験させてあげたいという想いもありました。
小さい子が来てくれると、お父さん、お母さん、兄弟も来てくれる。そういうつながりが、長く続けていくためには必要だと思うんです。
そういうサロンにしていきたいと思っていたところでコロナの流行があって、加速したというか。ゆっくりやって行くつもりだったけど先のことを考えた結果、一気にやらなきゃいけなくなったという感じですね。
入社後1カ月を練習期間に当て、教育スピードをアップ
―教育面での変化はありましたか?
U-REALMでは全店合同の勉強会があったんですが、それができなくなり各店ベースでも大人数での勉強会が昨年いっぱいはなくなりました。
緊急事態宣言中、完全休業にしていたアシスタントは自主練というかたちをとり、カリキュラムで練習を管理しつつ、休業日にお店を使って教えたりしていました。
それを経て、今年の新卒は4月をまるっと休業にして、練習の時間にしてもらいました。今までは2・3カ月シャンプーして、夏くらいにカラーデビューして…って感じだったんですが、今年は4月のうちにシャンプー・ヘッドスパ・カラー・髪質改善までモデルを呼んでできるくらいになっていて、すごく早くなりましたね。
現在は、アシスタントのうちに集客できるシステムを試験的にやり始めているところです。平日限定ですがカット以外のメニューをするスタイリストとして1年でデビューし、2年以内に本デビューすることを目指して動いています。教育システムのスピードが上がったことで実現できるなと感じています。
地域密着型のトータルビューティサロンを、ブランドサロンが展開するという希望
―これからの課題や展望を教えてください。
2019年くらいから給与体制の見直しを始め、ちょうどサロンが変わろうとしているところだったんです。ブランドサロンとして、業界的に変えていきたいという想いもありました。
元々スタッフのブランドサロン離れがあり、コロナ禍でまた少し加速したかなという印象。フリーランスになったスタッフもいますし、やっぱり一人でいろいろ考える時間が増えて不安を感じたんじゃないかと思います。
そういったところに対して、フリーランスに負けない歩合率での給与体制を整えるというのは、U-REALM全体で取り組んでいるところです。フリーランスになったとしてもずっとは続けられないから、他でお金をうまないとやっていけない。そういう声はよく聞きます。
でも個人的には美容師になったんだから、美容師をしていれば幸せに暮らせる、というのが一番いいよなと思うんです。大まかですけどそこを目指したくて、そのためのシステムを代表の高木と一緒に考えているところです。
また、僕は神奈川エリアでさらに店舗を出そうと思っていたんですが、コロナ禍を経て、大きい駅に出店したいという気持ちがあまりなくなりました。今は、地域密着型のほうが、勝てる要素が強いと感じています。
お客さんのなかで、表参道まで行かなくてもいいかなという雰囲気がコロナでさらに強くなったと思います。地元の駅で、いい美容室があれば一番いいんですよね。それなら、U-REALMの技術とお店のクオリティでブランドサロンの地域密着ができればいい。それをU-REALMでやる意味はあると思うんです。
そういうところで、キッズカットや幅広い物販なども取り入れて、長く愛されるサロン作りをしていけたらと思っています。
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知名度・技術力ともに高いU-REALMだからできることがある。コロナ前から考えていた構想は、「美容業界の未来のために、やることは変わらない」という結論のもと、加速されていきました。お客様のためだけでなく、働くスタッフの不安まで考えたU-REALMの取り組みに、今後も注目が集まりそうです。
▽前編はこちら▽
医療との提携でサロン運営に安心感が生まれました/SerA by U-REALM 森 亜伊希さん #1>>
取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥