「Euphoria+e」根本さんが髪質改善で売上をつくった3つのポイント！
2017年から「Euphoria+e（ユーフォリア・イー） 池袋60階通り店」の店長として活躍を続ける根本和希さん。就任当初は「一人ひとりのお客さまに合わせた接客」を自らの長所としていましたが、技術的な得意分野を作れず頭を悩ませてもいたそうです。やがて、お客さまのお悩みを解決しようと努力を重ねるなか「#ネモ式ストレート」を確立。毎月100名以上の髪質を改善するまでに至った背景を教えていただきました！
今回お話を伺ったのは…
根本和希さん
埼玉県出身、美容学校を卒業後20歳でスタイリストデビュー。29歳には「Euphoria+e 池袋60階通り店」の店長に就任する。もともと得意分野がなく思い悩んだ時期を経て、2019年ごろから髪質改善の分野に特化。研究を重ね「#ネモ式ストレート」という独自の技術を確立した。現在はグループ内で縮毛矯正や酸性ストレートの講師にも就任。20代後半の女性を中心に毎月100名以上の髪質改善を担当している。
根本和希さんのInstagram：＠kazuki_nemoto72
優しいだけの男から脱却。得意分野を確立したことでお店の売上も右肩上がりに！
「#ネモ式ストレート」で見事に髪質改善。ハイライトと酸熱トリートメントの履歴があったため状態に合わせたpHを設定したという
――SNSで投稿されているBefore・Afterアフターの写真、本当に驚きました。AfterはまるでテレビCMのように美しくきらめくストレートヘアですが、どういう施術を行なっているんですか？
お客さまそれぞれの髪質に合わせトリートメント、縮毛矯正、酸性ストレートなどを柔軟に組み合わせた施術です。髪質改善の研究を続けて体系化したものを「#ネモ式ストレート」としてご提供しています。ネモ式のネモは根本の名前から。自分の名前を入れることができるくらい自信のあるオリジナルメニューです。
――それだけ実績があるからですよね。毎月100名以上の髪質改善しているとか？
はい。1日の担当は10名ほどで半分以上は髪質改善のお客さまです。出勤日数は約22日なので毎月100名は超える計算になります。当店の場合、カットのみの施術料は5500円、私が得意としている「ネモ式酸性ストレート極」であれば2万7500円です。お店の売上に関しても右肩上がりで伸びています。こだわり抜いた薬剤を使いたいこともあって、現在の価格設定に決めました。値段相応のサービスを提供できなければお客さまにご満足いただけないためプレッシャーはありますが、薄利多売ではなく質で勝負したいと考えています。
――髪質改善に特化したのはここ数年の出来事とうかがいました。それまで得意分野はあったのでしょうか？
一人ひとりに合わせた対応やお客さまに好かれる会話など、技術よりも接客内容でご満足いただこうと注力していました。しかし、うちの系列店は腕の良いスタイリストが多いこともあり、ショートならこの人、ボブならこの人など花形がいて……自分は埋もれつつあったんです。「ここの店長は優しいだけ」といった評価だったため「周りのスタッフにも面目が立たないな」と思っていました（笑）。
お客さまの理想を叶えるため勉強を続け、独自の技術体系を構築！
お客さまの髪の将来を考え続けているという根本さん。最高の状態をキープするための提案を行なっている
――髪質改善に特化しようと決めたきっかけは何だったんでしょう？
きっかけは2019年頃、トリートメントに力を入れはじめたことです。「Euphoria」は原宿、青山、渋谷、銀座など都心の人気エリアに13店舗を展開している美容室ですが、その運営方針は店舗ごとに決めることができます。そこで今後の方向性についてスタッフたちと話し合った際に「カットを1日何人もこなすのではなく、一人ひとりのお客さまの髪をしっかりとケアしたい」という結論に達しました。ちょうどその頃、世の中でも髪質改善への関心が高まってきたんです。
――そこから縮毛矯正や酸性ストレートに行き着いたのでしょうか？
当初は従来どおりのトリートメントがベースでした。そもそも、ストレートにはネガティブな印象があったんです。縮毛矯正って髪が痛むし、固くなるし「縮毛矯正かけました」とひと目で分かるような不自然さが出るものだと思っていました。しかし、どうがんばってもトリートメントだけでは髪質を改善できないお客さまがいらっしゃって……それでも施術内容にはご満足いただけていたようです。繰り返しご来店いただくなかで、こちらが施術結果に納得できず「なんとかしなければ」という思いが強まっていきました。
――なるほど。お客さまの理想を叶えるために努力を続けたんですね。
2020年、緊急事態宣言などの影響でお店を閉めなければならない期間があり、必死になって髪質改善の勉強をすることに決めました。YouTubeやインスタライブなど、無料で公開されている髪質改善に関わる情報を片っ端から調べて、その内容をスタッフにもアウトプットしながら試行錯誤を重ねたんです。理想は髪の面を整えて艶を出すこと。そのためにはうねりを伸ばしてから、トリートメントする必要があると結論づけました。以前はクセの強さに合わせて薬剤を選んでいたのですが、それが大きな間違いであったことも気づいたんです。お客さまそれぞれの髪質に合わせた施術を行うため、色々な技術を取り入れつつ、ブラッシュアップして自分なりに体系化していきました。
お客さまからの感謝が原動力。現状に満足せず今後も改善を続ける！
酸性ストレートをした2ヶ月後のお客さま。相性のいいpH4.5のレブリン酸のトリートメントを使用している
――そうして確立した「#ネモ式ストレート」お客さまの評価はいかがでしょう？
最も多いのは「自分の髪じゃないみたい」というご感想です。お客さまの期待以上の髪質改善につながるようになると、SNSでも注目されはじめました。当初はスタッフたちもストレートにネガティブな印象を持っていて「根本、何かやってるな」という雰囲気だったのですが、徐々に受け入れられ、お店全体としてワンランク上のストレートがご提案できるようにもなっていったんです。
自分の知識や技術にも自信が持てるようになったことで、使用したい商材も増えてきました。効果は高いのですが、それなりに価格も高く、導入するには単価を上げるしかありません。「絶対に赤字にしません」と本部を説得し、施術の選択肢も増やしてきました。
――つまり根本さんに得意分野が生まれたことで店舗全体の魅力がアップしたのですね。お客さまが増えるほどに、より専門性が増していることも分かりました。そういった良い循環を作るためには何が重要だと思いますか？
自分の場合は周りのスタイリストが手を付けていない分野を死ぬ気になって勉強した結果、今があると思っています。ただ、自己満足だけで勉強を続けていくのって難しいものなんです。私ががんばれるのは、お客さまにお喜びいただけるからこそ。「お客さまをもっと綺麗にしたい」という目標を掲げて、自分に足りていない技術を磨き続けていることが結果につながりました。お客さまのご要望に応え続けることが、これまでの私の目標であり、これからの私の目標でもあります！
得意分野で売上を確立するために必要な3つの要素
今回の根本和希さんから伺ったエピソードをまとめると、以下の3つの要素が重要であることが分かりました。
1.薄利多売ではなく質で勝負するため、周りの仲間と話し合い方向性を定めた
2.高い理想を掲げて知識を吸収。アウトプットしながら試行錯誤を重ねた
3.取り入れた技術をブラッシュアップし体系化。引き続き技術を磨き続ける
今ではすっかり髪質改善の奥の深さにハマっているという根本さん。後編では、具体的な技術についても詳しく伺っていきます。現在、自作の教科書が50ページにもなっているという「#ネモ式ストレート」の理論とは？ 後編もどうぞお楽しみに！
