ネイリスト技能検定とは? 試験概要を紹介|3級受験のおすすめ対策を紹介
ネイリストが、キャリアアップやスキルアップを目指すためにおすすめの資格として、ネイリスト技能検定があげられます。
この記事では、ネイリスト技能検定について、資格取得のメリットや受験内容、スケジュール、注意事項などを詳しく解説。また、1~3級の合格率や3級受験におすすめの試験対策も紹介しますので、ネイリストの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ネイリスト技能検定とは
ネイリスト技能検定とは、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが、ネイルの正しい技術と知識の向上を目的として主催している検定です。1級が最もレベルが高く、2級・3級の3つに段階が分かれています。
ネイリスト技能検定は、ネイルに関する検定のなかで1番最初に実施されました。受験者数は約94万人にものぼり、ネイル業界では最も認知度が高い検定です。
ネイリストに資格は不要|それでも資格取得をするメリットとは?
ネイリストに、特別な資格は不要です。美容師のように国家資格を持っていないと、働くことができないという仕事ではありません。
しかし、実際にネイリストとして生計を立てるには、就職することやお客様からの信頼が不可欠です。就職活動を円滑に進めるためや、信頼を得るために、知識や技術があることの証明となるのが資格です。
ネイリストの資格を取得するメリットは?
ネイリストという仕事は、技術があれば、必ずしも資格を持たなくてはならないとは言えませんが、資格を持っていることでさまざまなメリットがあります。
主なメリットは次の3つです。
1.知識・技術があることの証明になる
2.就活に有利に働く
3.給料面で優遇される可能性がある
ここからは、上記のメリットについて解説します。
1.知識・技術があることの証明になる
資格は、お客様に施術をするに十分な技術があることの証明になります。
初めてのお客様にとって、担当するネイリストに知識や技術があるかは知るよしもありません。資格を持っていることで、知識や技術があることの証明となるため、集客につながりやすくなるでしょう。
2.就活に有利に働く
就職活動においても、知識や技術の証明が必要です。資格を持っていることで、知識や技術の証しとなるため、就活の際有利になるといえます。
また、資格を持っていると自信にもつながり、面接のときには自己アピールに役立つでしょう。
3.給料面で優遇される可能性がある
多くのサロンでは、未経験者や資格を持っていない場合、はじめはアルバイトとして採用されます。資格を持っていると、正社員になれる確率が高くなり、資格手当があるサロンなどであれば給料が高くなる可能性もあります。
転職や就職に有利なのはネイリスト技能検定2級から
転職や就職を有利にするためには、ネイリスト技能検定2級以上の取得を目指しましょう。なぜなら、サロン側が採用基準を「2級から」としている場合が多いからです。
2級の試験内容が「サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術及び知識」であることから、ネイリストの資質としてのスタンダードな級となっています。
「サロンワークで通用する」という記載からも、2級を取得していることで即戦力となる力があることが認められます。
このように、ネイリストへの就職や転職に有利になるのはネイリスト技能検定2級からということが美容業界ではスタンダードになっています。
ネイリスト技能検定の資格は1~3級まで
技能検定試験は1〜3級まであり、求められるスキルと難易度に違いがあります。
<求められるスキル>
1級:トップレベルのネイリストとして必要とされる総合的な技術及び知識
2級:サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術及び知識
3級:ネイリストベーシックのマスター。ネイルケア、ネイルアートに関する基本的な技術及び知識
引用元
公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター:試験内容及び程度
3級は、義務教育を修了していれば誰でも受験ができます。一方、2級は3級取得者、1級は2級取得者のみ受験ができます。
難易度は、1級が最も高く、2級、3級の順に低くなります。1番難易度の低い3級は、基礎的知識や技術を問われ、2級は3級よりもレベルの高い内容が問われます。
各級で必要な受験資格・費用・受験内容を紹介
検定に必要な受験資格と費用は次のとおりです。
1級:ネイリスト技能検定試験2級取得者のみ対象、1万2,500円(税込)
2級:ネイリスト技能検定試験3級取得者のみ対象、9,800円(税込)
3級:義務教育を修了した人全てが対象、6,800円(税込)
ここからは、それぞれの級ごとに受験内容を紹介しますので、自身が受験する内容をチェックしてみてくださいね。
ネイリスト3級の受験内容
3級は、事前審査10分・実技試験70分・筆記試験30分です。
事前審査では、テーブルセッティングおよび消毒管理と、モデルの爪の状態が規定通りであるかなどを審査します。
実技試験では、次の3つの技術が試験範囲です。
①ネイルケア(両手10本)
②カラーリング(両手10本)
③ネイルアート(右手中指)
上記の3つの技術は、規定の採点項目、チェックポイントをもとに5段階・減点方式で評価され、合計50点満点です。38点以上の評価であることに加え、失格対象でない場合に合格となります。
筆記試験は、マークシート方式で、択一問題です。出題内容は、衛生と消毒、爪の構造(皮膚科学)、爪の病気とトラブル(爪の生理解剖学)、ネイルケアの手順などが問われます。100点満点で採点され、80点以上で合格です。
引用元
公益財団法人日本ネイリスト技能検定試験センター:ネイリスト技能検定試験 試験要項 2023年夏期
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 3級実技採点基準
ネイリスト2級の受験内容
2級は、事前審査10分・実技試験前半35分・実技試験後半55分・筆記試験35分です。
事前審査では、テーブルセッティングおよび消毒管理と、モデルの爪の状態が規定通りであるかなどを審査します。
実技試験では、次の4つの技術が試験範囲です。
<実技試験前半>
①ネイルケア(両手10本)
【インターバル1分】
<実技試験後半>
②チップ&ラップ(左手薬指)
③カラーリング(チップ&ラップとアート以外の8本)
④ネイルアート(右手薬指)
上記の4つの技術は、規定の採点項目、チェックポイントをもとに5段階・減点方式で評価され、合計50点満点です。38点以上の評価であることに加え、失格対象でない場合に合格となっています。
筆記試験は、マークシート方式で、択一問題です。次のような内容が問われます。
・ネイルの歴史
・衛生と消毒
・爪の構造(皮膚科学)
・爪の病気とトラブル(爪の生理解剖学)
・ネイルケアの手順
・リペアの種類およびチップ&ラップの手順
・その他実践的施術全般
・ プロフェッショナリズム
3級と同様に、100点満点で採点され、80点以上で合格です。
引用元
公益財団法人日本ネイリスト技能検定試験センター:ネイリスト技能検定試験 試験要項 2023年夏期
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 2級実技採点基準
ネイリスト1級の受験内容
ネイリスト検定1級は2023年夏期には行なわれず、次の機会は2023年秋期となります。2023年春期は以下の内容で試験が行われました。
1級は、事前審査10分・実技試験160分・筆記試験40分です。
事前審査では、トレーニングハンドに装着したチップの状態、テーブルセッティングおよび消毒管理などを審査します。
実技試験では、ネイルエクステンションとネイルアートの技術が審査されます。それぞれの審査項目は次のとおりです。
<ネイルエクステンション>
①スカルプチュアネイル(右手5本)
②チップ&オーバーレイ(左手中指・左手人差し指)
<ネイルアート>
①ミックスメディアアート(左手薬指)
上記の合計3つの技術は、規定の採点項目、チェックポイントをもとに5段階・減点方式で評価され、合計50点満点です。38点以上の評価であることに加え、失格対象でない場合に合格となります。
筆記試験は、マークシート方式で、択一問題です。次のような内容が問われます。
・ネイルの歴史
・衛生と消毒
・化粧品学(材料、内容成分、効果等)
・爪の構造(皮膚科学)
・爪の病気とトラブル(爪の生理解剖学)
・ネイルケアの手順
・イクステンションの手順
・その他実践的施術全般
・プロフェッショナリズム
2級・3級と同様に、100点満点で採点され、80点以上で合格です。
引用元
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 1級実技採点基準
ネイリスト技能検定の受験前に知っておきたい注意事項
ネイリスト技能検定を受験する前に知っておきたい注意事項について紹介します。注意事項を読んでおかなければ、失格となったり、トラブルにつながったりしてしまうため、しっかりと確認しておきましょう。
1.一発で失格となる行為がある
次の行為をおこなうと一発で失格となるため、注意が必要です。3級を例に紹介します。
遅刻
遅刻は厳禁です。会場に到着するだけでなく、試験開始前までにモデルとともに着席しておかなければいけません。会場までの所要時間をチェックし、時間に余裕を持って会場に入りましょう。
試験時間のタイムオーバー
実技試験のタイムオーバーだけでなく、試験終了後に作品に手を触れたりすることも失格の対象となります。すべての項目が70分以内にできるよう、練習しておきましょう。
手指の間違い
施術する手指の間違いは失格になります。緊張のため間違いが起こりやすいので、注意が必要です。
カンニング
資料の持ち込みなどだけでなく、モデルがアドバイスなどをすることもカンニングとみなされ、失格の対象となります。
禁止されている用具の持ち込み
使用を禁止されている用具や用材を持ち込むと、失格の対象となります。必要なもの以外持ち込まないようにしましょう。
2.その他受験の際に気を付けたいこと
ネイリスト技能検定の試験を受講する際には、下記のような注意事項に気を付けましょう。
・二つの級を同時に受験することはできない
・各級とも、試験当日、実技試験のモデルが必要
・申し込みの取り消し、受験級、会場等の変更はできない
・受験料は試験を施行中止以外は、いかなる理由でも返金はなし
・筆記試験免除受験者に対し、割引・返金はない
検定試験スケジュールと申込み方法について
ネイリスト技能検定試験のスケジュールと申し込み方法について紹介します。
検定試験のスケジュール
ネイリスト技能検定試験のスケジュールは、2023年6月時点では次のとおりです。
引用元
公益財団法人日本ネイリスト技能検定試験センター:検定試験スケジュール
2023年秋期から、「JNEC 認定モデルハンド」を使用した場合の内容が追加され、実技試験の変更があるので注意しましょう。
引用元
JNEC認定 モデルハンド
申し込み方法はWEBと郵便局申し込みの2種類
申し込み方法はWEBと郵便局申し込みの2種類です。申し込み手順を以下に紹介していきます。なお、2023年夏期の申し込み期間は過ぎているため、情報は秋期の申し込みです。
ネイリスト技能検定試験にWEBで申し込む場合
1.WEB申し込みページを開く(2023年8月1日(火)~8月31日(木)まで)
2.申し込みページ必要な情報を入力する
3.支払い方法(コンビニorクレジットカード)を選択し支払いをする
4.事務局の確認を待つ
5.受験票が届く
ネイリスト技能検定試験に郵便局で申し込む場合
1.試験要項請求フォームにログインする
2.フォームに必要な情報を入力し確認をクリック
3.事務局の確認を待つ
4.要項と受験料支払い用紙が届く
5.郵便局で受験料を入金する(2023年8月1日(火)~8月31日(木)まで)
6.事務局が確認するのを待つ
7.受験票が届く
検定試験の合格率について
ネイリスト技能検定試験の気になる合格率をそれぞれの級ごとに紹介します。
ネイリスト3級の合格率
2023年度試験における3級の受験者数、合格者数、合格率は以下です。
ネイリスト2級の合格率
2023年度試験における2級の受験者数、合格者数、合格率は以下です。
ネイリスト1級の合格率
2023年度試験における1級の受験者数、合格者数、合格率は以下です。
まずは3級! おすすめの試験対策を紹介
まずはもっとも合格率の高い3級を目指しましょう。3級はネイリスト技能検定試験で上位資格をとりたい場合でも、取得が前提の資格です。
3級を受験する際におすすめの試験対策を紹介しますので、参考にしてみてください。
1. タイマーを利用して練習する
実技試験では、試験時間をオーバーすると一発で失格となってしまいます。試験時間の70分間で最後までやり切る練習をしておかなければなりません。
一連の動作にどれくらいの時間がかかるのかを把握し、どの手順で時間をとってしまうのかという苦手を克服するためにもタイマーを利用して練習するのがおすすめです。本番までにしっかり仕上げていきましょう。
2. トレーニングハンドだけで練習しない
2023年秋期の試験からモデルハンドでの受験が可能となります。しかし、当日モデルを同伴する予定であれば、本物の爪で練習しておくことが大切です。リアルの爪とモデルハンドの爪では、ポリッシュのにじみ方が異なるなど、実際の手とは勝手が違うことも考えられます。
申し込み時にモデル同伴を選んだ場合、あとからモデルハンド使用に変更はできないため、注意が必要です。
3. スキマ時間を利用して練習する
実技の練習はとにかく数をこなすことが大切です。何度もやるうちにスムーズに動作できるようになったり、コツをつかんだりできます。
できれば試験を受ける2カ月ほど前からコツコツと練習を繰り返しておくのがおすすめです。一日一本は施術するというノルマを決めてもいいかもしれません。すき間時間を利用して練習を重ね、本番で落ち着いて施術ができるようにしておきましょう。
4. スクーリングや通信講座を利用する
独学での勉強や練習に行き詰まったら、スクーリングや通信講座を利用するのもおすすめです。テキストでいくら勉強しても実際の指導で身につくことにはかないません。
講師に指導してもらうことで、効率のいい方法を教えてもらえたり、やり方に不安を感じていたことを直接確認できたりというメリットも。
通信講座で効率よく学んだり、スクーリングを活用したりといった方法も試してみるといいでしょう。
ネイリスト技能検定以外のネイリスト向け資格3選
ネイリスト向けの資格はネイリスト技能検定以外にもあります。ここでは、ネイリスト向けの代表的な3つの資格について紹介します。
JNAジェルネイル技能検定
JNAネイル技能検定はNPO法人日本ネイリスト協会が認定している資格で、サロンでジェルネイルを施術するために必要な知識と技術をはかるものです。
JNAネイル技能検定は全国で10万人以上が取得している資格です。多くの人が取得している背景として、サロンメニューの60%以上がジェルネイルのメニューになっていることがあります。
検定のレベルは初級から上級まで級が設定されており、中級はサロンで通用する知識と技術力が基準となります。
詳しくは以下の記事で解説しています。
ジェルネイル技能検定とはどんな資格?第28回検定試験の要項やおすすめスクールも紹介
引用元
JNAジェルネイル技能検定
ネイルサロン衛生管理士
ネイルサロン衛生管理士は、「国民の健康を守る安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上に資すること」を目的とした資格制度です。ネイルサロン衛生管理士取得者は2022年9月末で8万6,548名となりました。
ネイルサロン衛生管理士は資格に有効期限があり、取得年を含む3年目の12月末日までで、一度資格継続手続きを完了すると永続認定されます。受験資格は18歳以上で、ネイルサロンでの実務経験は問われないため、多くの人が受験しやすい資格の1つです。
引用元
NPO法人 日本ネイリスト協会:ネイルサロンの衛生管理
INAネイルスペシャリスト
INAネイルスペシャリストは、ネイルスペシャリストとしての正しい知識・技術を目的としたサロンワークに役立つ技能検定試験です。
INAネイルスペシャリストは実技試験と学科試験があり、初心者を対象としたA級・SA級と、プロを対象としたPA・AA・AAA級に分かれています。
実技試験の合格点は、A級・SA級で80点以上、PA級60点以上・AA級70点以上・AAA級で80点以上です。学科試験の合格点は80点以上を必要とします。
引用元
INAネイルスペシャリスト
理想のネイリストに近づくために転職や就職にも有利な技能検定合格を目指そう
ネイリストは、資格がなければなれない職業ではありません。しかし、採用するサロンや担当するお客様にとっては、資格を持っていることが知識や技能の証明になるため、信頼を得やすくなります。
まずは3級合格を目指し、時間内にきれいに施術をする練習をコツコツと積み重ねる必要があります。効率よく合格を目指したいなら、通信講座やスクーリングの活用もおすすめです。就活だけでなく、開業する際にも自信を持てる資格取得を目指しましょう。
引用元
公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター:試験内容及び程度
公益財団法人日本ネイリスト技能検定試験センター:ネイリスト技能検定試験 試験要項 2023年夏期
公益財団法人日本ネイリスト技能検定試験センター:検定試験スケジュール
JNEC認定 モデルハンド
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 3級実技採点基準
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 2級実技採点基準
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:受験案内 1級実技採点基準
公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター:受験案内
公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター:結果案内
JNAジェルネイル技能検定
NPO法人 日本ネイリスト協会:ネイルサロンの衛生管理
INAネイルスペシャリスト