流れが来たら一段飛ばしても乗ってみる。アロマセラピスト藤代千紘さん♯1

お子さんと参加したアロマのワークショップをきっかけに、アロマセラピストになった藤代千紘さん。藤代さんは、2人のお子さんの育児をしながら、講師の先生とご主人の大きな後押しを受けて、サロン開業の夢を叶えました。

ふだんは石橋をたたいて渡るタイプという藤代さんですが、流れがきたと思ったときに思い切ってその流れに乗ってみたら、サロン開業できていたそうです。初期投資が少なくてすむシェアサロンを利用するなど、育児をしながらサロン開業するコツを伺いました。

お話を伺ったのは…
アロマトリートメントサロンEn bas主宰
藤代千紘さん

子育て中にアロマトリートメントを学び、アロマセラピスト資格取得。それまで勤めていた証券会社を退職し、現在はシェアサロンを中心にアロマセラピストとして活動中。日々忙しい生活を送るママをターゲットに、1日2名・女性限定・完全予約制のサロン運営を行う。長男(7才)・長女(4才)2児のママ。バレエ歴19年の現役大人バレリーナでもある。En-bas.net/

「あなたの手は、肌に吸いつくギフトのような手」

育児しながらのサロン運営に加えて、幼稚園の役員も引き受けているという藤代さん。

――まずは、アロマセラピーとの出会いを教えてください。

アロマセラピーに関心を持つようになったのは、育児がきっかけでした。下の娘が生まれたばかりのときに、痒みで眠れないほどの湿疹に悩まされるも、授乳中のため薬も飲めず…。切開するほどの乳腺炎も経験し、幼い子どもたちはひんぱんに高熱を出す。とにかく育児に必死で、自分のことを後回しにしてしまった結果、自分の体調がどんどん悪くなってしまったんですよね。

そんなこともあり、薬に頼りすぎることなく、親子で楽しみながら気持ちよくできるホームケアを探していたところ、アロマセラピーにたどりつきました。それまでもアロマショップで香りを楽しんでいましたが、薬局主宰のワークショップに子どもと一緒に参加して虫除けスプレーを作ったのをきっかけに、精油の奥深さに引きこまれていきました。もっとアロマを知りたくなって、主人に子どもをみてもらえる土日に受講できるスクールを探し、アロマセラピストの資格を取得。取得後、講師の先生に「あなたの手は、クライアントの肌に吸いつくギフトのような手だ」と言っていただいたんですよね。

――その言葉が転機になったのですか?

そうですね。汗っかきで、ペタペタした手が自分では好きではなかったのですが、それが良さに繋がると言ってくださって。もともとセラピストになるつもりはなく、ただ精油のことを深く知りたくてアロマスクールを受講したのですが、そこではじめて人の肌に触れるという経験をして、自分の手が人の役に立つんだということに感動しました。 人の肌に触れ、整えるということは、自分でもとても心地のよい経験でしたし、好きではなかった自分の手を大切に思えるようにもなりました

――スクール卒業後、サロン開業するまでにどれくらいの期間がありましたか?

2020年8月にアロマスクールを卒業して、昨年末に証券会社を退職。今年の3月にサロンをオープンしたので、退職後3ヶ月間でバタバタと準備した感じですね。

――そのときお子さんたちは?

息子が幼稚園の卒園間近で、娘は幼稚園の年少でした。昨年まで証券会社に勤めていたのですが、うちはふたりとも幼稚園に通わせていました。証券会社で働き続けるなら保育園という認識がありましたが、長男の保活中にどうしても入りたい幼稚園に出会い、それまでの保活を中止したんです。

――保育園ではなく幼稚園だったのですね。

息子が0才のときから保活を始めて、20ヶ所以上の保育園を見学しましたが、当時の保活は激戦。「保育園落ちた。日本死ね」が話題になっていた時期でした。勤めていた証券会社がわりと長めの育休がとれるところだったので、それを話したら優先順位が低くなってしまい、待機児童になってしまったんです。その後、ふたり目を妊娠したので、トータル5年間の育休を取得。その間に、家庭の教育方針に合う幼稚園と出会うことができて、ふたりともその幼稚園に通うことになりました。

流れが来たなと思ったら、思い切って乗ってみる

「両方の両親ともにバリバリ現役なので、仕事と育児の両立は夫婦ふたりで乗り越えるしかないと思っています」。

――育児しながらサロン開業するのは大変ではなかったですか?

証券会社を退職するときに、夫から「これからは千紘の好きなように、自由に、健康的に人生を歩んでほしい」と背中を押してもらったことをきっかけに、サロン運営の夢を実現しようと決意しました。その後はもう、縁と運に引っ張ってもらったとしか言いようがないですね。

――縁と運ですか?

本当にラッキーなことに、開業してすぐに複数の団体からトリートメントの依頼をいただくことができたんです。幼稚園ママの繋がりで地元の子育てNPO団体を紹介していただいたり、幼稚園のママ向けイベントにセラピストとして参加させていただいたり。そこで、他の学年のママさんにも顔を知っていただいて、だんだんお客様が増えていきました。

――順調な滑り出しですね。育児しながらサロン開業するにあたり、大事なことはなんですか?

もともとは行動力があるほうではなく、石橋を叩いて渡るタイプですが、流れが来たなと思ったら、思い切ってその流れに乗ってみることですかね。それがたとえ順序良くとかではなかったとしても、一段飛ばしてでも乗ってみるといいと思います。

――藤代さんにとって、その流れとは何だったのですか?

まずは、先生との出会いです。講師の先生は、1日2組限定で、古民家サロンでセラピーを提供している方だったのですが、先生のセラピーとその仕事の仕方に触れ、証券会社時代とは価値観がガラッと変わりました。それと、退職時の夫の言葉ですね。会社員時代は、サロンやりたいなという気持ちにどこかで蓋をしていましたが、「これからは好きなように生きてほしい」という夫の言葉が、まだ何も細かいことは決まっていませんでしたが、わたしにサロン運営を決意させてくれました。

生活感のないシェアサロンでママたちにリフレッシュしてほしい

いつも利用しているおしゃれなシェアサロン。

――シェアサロンにした理由を教えてください。

場所の確保が十分でないまま開業したこともありますが、まずはシェアサロンがいいよと先生からアドバイスいただいたことも大きいです。どういうところがあるんだろうと調べてみたら、とても良い場所に素敵なサロンがあったので、これは流れに乗ってみようという感じでした。

まずはお客様が通いやすい立地であることを優先。育児やお仕事の忙しい合間を縫ってお越しいただくお客様が多いので、駅やお店などが近くて便利な場所を選びました。それと、生活感のないサロンという場所に短時間でも身を置くことで、ママたちがリフレッシュできればという思いもありました。サロンで非日常を感じてもらえればと。

――いつも同じサロンを確保できるのですか?

現在、自宅近くの2ヶ所を中心に活動しています。予約の関係でいつも同じサロンというわけにはいきませんが、いつものセラピストと会い、いつもと変わらぬ施術を受けることができる安心感がありながら、いろんなサロンを訪れて気分転換できる楽しさもあり、リピーターのお客様には予想以上に喜んでいただいています

――2ヶ所のサロンに絞ったそうですが、その決め手は?

いくつか見学に行って、その中でママたちが非日常を感じられて、且つ清潔感がある場所を選びました。いつかは自分のお店を出せたら良いなと思っているので、自分の目指すサロンの雰囲気に近い場所であることもポイントでしょうか。

ここに住んで8年になりますが、地域の方々に助けていただいて子ども2人をここまで育ててこられたので、今度は自分が小さなお子さんを育てているママたちの助けになれればと思っています。地元への恩返しという意味でもこの場所にこだわっています

――シェアサロンだと、開業してすぐに収益は出ましたか?

そうですね。 トリートメントは 1回60分7000円。シェアサロンが30分毎700円で2時間レンタルすると2800円。微々たるものですが、黒字にはなっています。集客が安定しない時期に一部屋借りてリスクを背負うより、固定費が抑えられることもシェアサロンの魅力だと感じています。

藤代さんが子育てしながらサロンを開業できた理由は

藤代さんが子育てしながらサロンを開業できた理由は以下の3つです。

1.師匠と夫が背中を押してくれた。

2.巡ってきた流れに思い切って乗ってみた。

3.固定費が抑えられるシェアサロンを利用した。

後編では、シェアサロンの実際の使い勝手や、育児とサロン運営を両立するコツを伺っています。

取材・文/永瀬紀子

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