【子育て応援メソッド】ママになっても、サロンがサポートしたいと思える美容師で居続けることが大事/Dayt. ディレクター 朝菜さん#1

美容業界で働くワーママ・パパに仕事と育児の両立について伺う「子育て応援メソッド」。今回お話をお聞きしたのは、「Dayt.」のディレクタースタイリスト・朝菜さんです。

サロンのオープンとほぼ同時期の妊娠だったそうですが、ギリギリまで現場に立ち続け、出産後はスピーディに復帰。現在は二人のお子さんを育てていますが、これまでずっと美容師としてのプロ意識を高くキープしてきたのだそう。

前編では、妊娠から産休入り、復帰するまでの道のりを追いながら、朝菜さんの原動力を探りました。

教えてくれたのは…

Dayt. ディレクター 朝菜さん

原宿のサロンを経て、2018年、のちにご主人となる悠馬さんと「Dayt.」を立ち上げる。同年、結婚&出産。2021年に第二子を出産し、現在は二人の女の子を育てるママ。長女の妊娠時から時短勤務を継続中。子連れにも優しいサロンとして、多くのママたちが通う。

引き継ぎあいさつの連絡は、一人ひとりメッセージを変えて送った

ご主人と営む個人サロン。代官山の雰囲気と相まったお洒落な佇まいに圧倒されながらも、スタッフさんを含め、あたたかな空気感を感じました

――旦那さんは同じ美容師で、Dayt.のオーナーさんなんですね。

私が新卒で入社した原宿のサロンで店長をやっていたのが主人なんです。彼がそのあと1年くらいバックパッカーとして世界中を旅し、帰国後に主人が独立するということで、私も同じ場所に参加することに。同じくらいのタイミングで子どもを授かり、結婚しました。

――お店のオープンと妊娠がちょうど重なっていたんですね。

4月にお店をオープンし、出産したのが8月。7月末まではサロンに立っていましたが、オープンしてすぐに産休に入った感じですね。

でも自営業だったし、スタッフも当時は少なかったので、周囲の人と折り合いをつけて…というよりも、自分たちでその都度調整しながら働くことができました。前に勤めていたサロンでは子育てしながら美容師をしている先輩がいなかったので、手探りでしたけどね。

――妊娠後、営業時間はどのように変わりましたか?

妊娠前はフルタイムで10〜21時、土日は〜19・20時までやっていました。妊娠して7ヶ月目くらいで時短勤務に切り変え、スタートは同じですが、終わりは18時までに。今もその勤務時間でやっています。


――スタッフさんなどの周囲のサポートで嬉しかったことはありますか?

ささいな声かけというか、ちょっとした気遣いですね。「辛かったら休んでいてくださいね」とか、それだけで嬉しかったです。何かサポートをしてもらいたいとは思っていませんでしたけど、仕事している妊婦さんってつい頑張りすぎちゃうから、そういうのを察して気遣ってくれるのはそれだけでありがたくて。というか、早く帰らせてもらっているだけですでにありがたいです。

――ご自分からはやはり「〇〇してほしい」とは言いづらいものですか?

言いづらいというか、自分でやろうと思っちゃうし、大抵のことはやれるので大丈夫でした(笑)。

――それを周囲が汲み取り、先回りして気を配ることも必要ですね。オープンして約3ヶ月後に産休入りされたとのことですが、やっと築き上げたお客様との関係性を手放すことに不安もあったかと思います。お客様にはどのように引き継ぎをされたのですか?

お客様の予約をLINEで取っていたんですけど、産休の連絡もLINEで伝えました。フォーマットをつくって一斉に送るのではなく、すごい手間なんですけど、一人ひとり文面を変えて送ったんです。産休明けのタイミングでも一回LINEを送りましたし、連絡はマメにするようにしていましたね

自分の顧客は主人に引き継いでもらいました。接客中、タイミングを見て主人を紹介し、「私より主人の方が上手いので」と。私に一から教えてくれたのは主人なので、技術面での不安は私もお客様もなかったと思います。それに、全く知らないスタッフに引き継がれるより、家族にやってもらう方がお客様も安心感があったんじゃないかなと。私たちが夫婦ということはお客様も知っていましたし。

ママであっても、美容師として自分を高めることは必要


――産休〜育休中、美容師のカンを失わないために意識していたことはありますか?

その間はがっつり育児に集中していたので、仕事のことを考えている余裕は正直なかったですね。でも、一人目の子のときにママ美容師の座談会に参加したことがあるんですけど、すごく自分にとって良い刺激になったんです。

参加者にはママ以外にも、「妊娠したいけどお店のシステム的に不安」「お客さんが離れるのが怖くて子どもをつくれない」というお悩みを抱えている人もいて、そこではじめて女性美容師が抱える悩みを目の当たりにしました。けれど、それらのお悩みに対して「お店にサポートを求めるのも大事だけど、お店がサポートしたいと思える自分でいることの方が大事だから、きちんと努力し続けないといけない」と回答していた美容師さんがいて、めっちゃスイッチが入りました。あと、ママ美容師でも月200万を売り上げている方が実際にいることも知って。頑張っているママ美容師の話を聞いたことでモチベーションがグッと上がり、今もずっとその熱量をキープしているんです。

ママだから偉いとも思っていないので、やることやっていないとダメだなって。トラブルに合ったという話もたまに聞きますが、「ママだから仕方ない」と何でも甘えるのではなく、自分自身もきちんとやれることはやって、相手に理解してもらえるように交渉したり、向き合って話し合う努力も必要だと思います。

――復帰されたのはいつ頃ですか?

一人目は8月に出産し、その年の12月に復帰したので、休職していたのは産休とあわせて半年くらいですかね。二人目のときも「一人目のときにこのくらいだったから」という理由で、同じく半年後に復帰しました。

――スピード復帰されたようですが、そのタイミングはどのように決めたのですか?

一人目のときは、12月が年内で一番忙しい時期なので、そこを逃すともったいないという理由で。「何ヶ月経ったら」という風に決めていたわけでないです。人ってダラダラしようと思えばいくらでもできるので、その感覚だったら自分も全然休めたけど、仕事できるかできないかで考えたら「できるな」と思ったんです

ただ、保育園は翌年の4月から入れる予定だったので、その間はサロンにベビーベッドを置いて娘を見ていました

――サロンにベビーベッドを置いていたんですね。

抱っこ紐を使うと子どもにも負担がかかるし、抱っこしている自分やスタッフも疲れると思ったので、いっそベビーベッドを置いちゃおうって。子どももゆっくり寝られるし、「作業してて今抱っこできない!」というときはおもちゃとかで遊んでいてもらえば安心できますし。

お客様の中にはすでにお子さんが成人した方もいて、「私もミルクあげたい!」「ぜひお願いします!」みたいな感じでしたね。「ドライ中、赤ちゃんをあやしてもらってて良いですか?」とお願いすることも(笑)。うちの子も人見知りはせず、ギャン泣きすることもなく。むしろたくさんのお客様に囲まれ、人馴れしていました。

4歳の長女と1歳の次女。パパは二人の女の子に甘々なよう

――お子さんが生まれてからは退社時間厳守になるかと思いますが、時短勤務を効率良くこなすコツはありますか?

ママ美容師に限ったことではないかもしれませんが、すごくタイムを見ますね。お客様一人ひとりに「何時までに終わらせる」というのをかなり意識しています。15時くらいから意識し出しても間に合わないので、営業開始からが勝負。朝イチで遅れたらその後もずっと遅れますからね。お客様にはそう感じさせていないと思いますけど。


「できるかできないかで考えたら、できる」。その言葉に朝菜さんの強さが表れているようでした。保育園への入園を待たずに復帰したため、サロンで赤ちゃんを見ていたそうですが、自営業ならではの子育てスタイルはそのあとも続きます! 後編では、ある譲れない理由で賭けに出た保活や、Dayt.が子連れママに優しい理由をお聞きします。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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Salon Data

Dayt.
住所:東京都渋谷区恵比寿西2-12-14
電話:03-6416-3851
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