福祉ネイルとは?ネイリストとの違いや魅力・福祉ネイリストのなり方を紹介
ネイリストは、さまざまなお客様を対象にネイルサービスを提供します。そのなかで「福祉ネイル」に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、福祉ネイルとはどんなネイルサービスなのか、一般的なネイリストとの違いを解説します。福祉ネイルによって得られる効果や、福祉ネイルの施術者になるための方法・施術者のやりがいについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
福祉ネイルとは?

福祉ネイルとは、高齢者や障害・病気をお持ちの方にネイルを施すことです。自宅や施設などからの移動が難しい対象者のもとにネイリストが足を運び、ネイルサービスを提供します。
お客様の爪の衛生状態を改善したり、コミュニケーションを図りながら心のケアをサポートしたりすることが特徴です。次章では、一般的なネイリストとの違いを詳しく解説します。
福祉ネイルを行うネイリストと普通のネイリストの違い

ここでは、福祉ネイルを行うネイリストと普通のネイリストの違いを押さえましょう。
対象者は高齢者や障害のある方
通常のネイルは、ネイルサロンやネイルサービスを提供している美容室などで施術します。
一方、福祉ネイルの対象は、歩くのが難しい高齢者や心身に障害や疾病があり療養中の方、半身まひや寝たきり状態で自由に動けない方など、ネイルサロンに自分の足で来るのが難しい方です。場合によっては、災害の被災地の方も対象になりえます。
デイサービスなどの介護施設や自宅に訪問して施術する
福祉ネイルの施術場所は、通常のネイルとは異なりサロンではありません。デイサービスなどの介護施設や、個人からの依頼に応じて、ネイリストが施設や自宅に訪問して施術を行います。
また、福祉ネイルは、心身の状態がすぐれないお客様の負担にならないよう、10~30分ほどで施術を終わらせることが一般的です。ネイリストには、短時間でサービスを完結できるような腕前が求められます。
主な施術内容はハンドケアやマニキュアでのネイル
福祉ネイルでは、ネイルケア・ハンドケアのような基本的なケアや、施術に時間のかからないマニキュアでのネイル施術を行います。ジェルネイルは専門的な技術や機器が必要になるため、一般的に福祉ネイルでは実施しません。
また、お客様の誤飲を防ぐために小さなパーツを取り扱う施術は行いませんが、柄を描いたりシールを使ったりしてデザインやアートを施す場合もあります。
福祉ネイルの魅力

福祉ネイルについて理解を深めたところで、ここからは福祉ネイルによって得られる効果や魅力を紹介します。
心身の満足度が向上する
爪や指先がきれいに整うことで、日常生活に変化が訪れるだけでなく、ほかの美容への関心が高まったり、自分に自信が持てるようになったりします。こうした意識の変化は、心と身体の両方に満足感をもたらすのです。
リラクゼーション効果が得られる
福祉ネイルは、高齢者施設などで人気のレクリエーションの一つ。ハンドケアや施術時の対話を通じて、「幸せホルモン」とよばれるオキシトシンが分泌され、リラクゼーション効果が得られます。
さらに、ていねいにケアされることで「大切にされている」と感じ、孤独感や不安が和らいだり、気持ちが穏やかになったりする効果も期待できます。心が晴れやかになり、自然と笑顔がこぼれる方も多いようです。
記憶に残りやすい
ネイルは一定期間楽しめるため、「ネイルをしてもらった」という体験が、記憶に残りやすいのが魅力です。視覚的な刺激を得られ、施術中の会話の内容や喜びを呼び戻すことに役立ちます。とくに、認知症の方の記憶喚起や回想に効果的です。
コミュニケーションを深められる
福祉ネイルでは、ネイリストと1対1で関わるなかで信頼関係が築かれやすく、コミュニケーションを深められるのが特徴です。
普段家族や施設スタッフ以外と接する機会が少ない方にとって、ネイリストとの関わりが新たな交流の場にもなります。
ネイルをきっかけに周囲の人とも会話が生まれ、自然と人とのコミュニケーションが活発になっていくことも少なくありません。
福祉ネイリストになるには

福祉ネイルの施術者になるためには、とくに必須の資格はありません。ではどうすれば福祉ネイルの施術者として働けるのか、ここでは「福祉ネイリスト」になる方法を見てみましょう。
福祉ネイリストの認定を受ける
実は、「福祉ネイリスト」という言葉は、日本保健福祉ネイリスト協会の登録商標です。ネイル施術によってお客様に癒やし・希望・元気を与えることを目的に、協会が認定を行っています。
認定を受けるまでの流れは下記の通りです。
1.認定校で必要なカリキュラムを履修する
2.卒業試験を受けて合格する
3.実地研修を行う
4.ディプロマ(卒業証明証)が発行される
ディプロマを受け取ったら、正式に「福祉ネイリスト」としての活動が可能です。
その他にあると良い資格
その他に福祉ネイリストを目指す人が持っていると役立つ資格を紹介します。
JNECネイリスト技能検定試験
日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が認定する「JNECネイリスト技能検定試験」は、正しい技術の取得と知識の向上を目的とした、国内でも有名な実践的なネイル検定です。
1〜3級があり、2級以上を持っている人は、通常21時間(3時間×7回)の福祉ネイリストの講習を10時間(5時間×2回)で済ませられます。
引用元
日本ネイリスト検定試験センター
日本保健福祉ネイリスト協会|福祉ネイリスト®になる
JNAジェルネイル技能検定試験
日本ネイリスト協会(JNA)が認定する「JNAジェルネイル技能検定試験」は、ジェルネイルの健全な普及を目指して実施されている検定です。知識や技術のレベルに応じて、初級・中級・上級の3段階があります。
前項のJNECの検定と同様に国内では有名なネイル資格なので、福祉ネイリストになりたい人も持っていて損はないでしょう。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、かつて「ホームヘルパー2級」と呼ばれていた資格です。介護の基本的な知識や技術を習得できます。誰でも受けられ、受講のための条件はとくにありません。
講義(一部は教材にて通信学習も可)・演習・修了試験を経て取得に至ります。福祉ネイルは介護現場で行うことも多いため、持っていると役立つでしょう。
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福祉ネイルの注意点

福祉ネイルの施術は、お客様の心身の状態に合わせて柔軟に対応することが大切です。お客様の体調が優れない場合は決して無理をさせず、施術時間を短縮したり、別日に変更したりしましょう。
事前に家族やスタッフから健康状態などの情報を収集し、安全に施術できるように準備します。
施術中に突然動いたり立ち上がったりする危険もあるため、必要に応じて介助者に立ち会ってもらうと安心です。落ち着いて施術が受けられるよう、今日はどんな施術をするのか、何分くらいかかるのかなどをあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
周囲の環境にも配慮し、静かで落ち着いた空間を整えることも、リラックスに繋がります。
福祉ネイリストのやりがい

福祉ネイリストは、お客様に指先の美しさを届けるだけでなく、心身を元気づける仕事でもあります。そんな福祉ネイリストという職業のやりがいや魅力について、以下で詳しく見ていきましょう。
お客様から感謝の言葉をもらえる機会が多い
福祉ネイリストは、施術後に「ありがとう」と感謝の言葉を直接もらったり、喜んでいる顔を間近で見られる機会が多くあります。
見た目が美しくなる喜びだけでなく、福祉ネイリストとのふれあいで心まで元気になったと感じる方も多数。その反応にやりがいを感じられます。一人ひとりとていねいに向き合うことで、信頼関係や温かいやりとりが生まれるというのも魅力です。
コミュニケーションを促すきっかけを与えられる
さきほどお伝えしたように、普段限られた人としか関わりを持たない方が、福祉ネイルをきっかけに、周囲の人と積極的にコミュニケーションをとるようになることがあります。
自身が施術したネイルが、人とのつながりを生む手助けになることは、やりがいに感じられるでしょう。
施術を機に、お客様の表情や雰囲気が明るくなっていく様子を見られるのも、大きな喜びです。
メンタルケアができる
福祉ネイルは、楽しみや喜び・感動などお客様の感情に大きく作用します。視覚的にわかりやすい変化をもたらすことで、お客様の気分が明るくなり、前向きな気持ちを取り戻すメンタルケアにつながるのも、福祉ネイリストの魅力の一つです。
また、直接手に触れる温もりやていねいに接する時間は、「人から大切にされている」と実感してもらうきっかけにもなり、穏やかな精神状態を保つことにも役立つでしょう。
美容に携わりながら福祉にも貢献できる
福祉ネイリストには、爪や手指を美しくすることで喜びや感動を与えると同時に、リラクゼーションや心のケアといった役割もあるのが特徴です。
美容のスキルを活かして、高齢者や障がいのある方の心身に寄り添うため、美容と福祉の両方に貢献しているという実感が得られます。
福祉ネイリストの働き方と給与

つづいて、福祉ネイリストの働き方と給与について解説します。
福祉ネイリストは業務委託が一般的
福祉ネイリストはネイルサロンなどに就職するのではなく、個人でフリーランスとして活動したり、業務委託契約を結んだりして働くのが一般的です。十分な仕事がない場合、自分で顧客開拓などの営業活動を行わなければならないケースもあります。
しかし、日本保健福祉ネイリスト協会などの団体に所属することにより、お客様がいる施設を紹介してもらえることもあるでしょう。
福祉ネイリストの給与
福祉ネイルの施術料は、1人あたり1,000~3,000円ほどが相場です。20分ほどで終わるため、1回の訪問で多くの方を施術することで収入を増やせます。
とはいえ、福祉ネイリスト1本で生計を立てるのは難しいかもしれません。そのぶん時間の融通がききやすいため、家庭と両立しやすいことや副業として行えることも特徴です。
ネイリストの求人を探す方法

福祉ネイリストを目指す人や福祉ネイルの仕事をしたい人が就職・転職先を探すには、どうすればいいのでしょうか。以下で2種類の方法をチェックしましょう。
就職支援エージェントを利用する
就職支援エージェントとは、求職者と求人元企業をつなぎ、求職者の就職相談に乗りながら、求人を紹介したり企業と交渉などを行ったりしてくれるサービスです。専任のアドバイザーが担当者になり、マンツーマンで支援してくれます。
福祉ネイルの仕事を探す場合は、美容業界や福祉業界に詳しいエージェントを利用すると良いでしょう。非公開の募集情報を取り扱っていることもあり、プロの力を借りながら有利に就活を進められます。
求人情報サイトで検索する
求人情報サイトとは、たくさんの求人情報をまとめて掲載しているサイトのこと。自分の都合や状況に合わせて仕事を探せるため、ほかの仕事や家のことなどで忙しい人も利用しやすいです。
美容・介護業界の求人が豊富な「リジョブ」なら、業務委託で働けるサロンなども多数取り扱っているため、自分に合った職場を見つけられるでしょう。
やりがいのある福祉ネイリストを目指そう

福祉ネイルは心身の事情でネイルサロンに来られない方々を対象としたネイルサービスで、爪を清潔な状態に整えたり、マニキュアなどでデザインを施しておしゃれにしたりします。
施術を受けるお客様にとって、自信や笑顔を取り戻すことにつながり、心身の満足感も得られるようになるという魅力があります。
また、福祉ネイリストとの会話やネイルをきっかけに、積極的にコミュニケーションを取れるようになり、周囲の人との関係性が深まることも。
一方福祉ネイリストは、短時間で手際良く行う技術が求められますが、心をふさぎがちなお客様と触れ合いができ、前向きな気持ちになるきっかけを与えられるという魅力があります。
さらには、美容と福祉の両方に貢献できるため、普通のネイリストの仕事以上にやりがいを感じられる人もいることでしょう。
福祉ネイルの施術者になりたいならぜひ福祉ネイリストの認定を受け、介護福祉のシーンで活躍を目指しましょう。
なお、ネイリストの求人を探すなら「リジョブ」がおすすめです。数多くの求人のなかから、「業務委託」「副業・WワークOK」「訪問」など、条件やキーワードを設定して自分に合った仕事を探せます。

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