「カットで途上国の子どもたちを笑顔に」。旅人美容師・うーぱーさんとは?
美容師という仕事の魅力の一つは「手に職がある」こと。確かな技術や接客スキルがあれば、どの美容室でも、個人でも好きな場所で生きることができる。そしてそれは、日本国内に限られることではない。今回ご紹介するのは、旅人×美容師×介護士というマルチな生き方を実践しているうーぱーさん。これまでも多くの国で年代や人種を問わず、カットをしてきたうーぱーさんは、2023年4月から、以前より長らく計画していた世界旅に出るという。そこで前編となる今回は、うーぱーさんのこれまでの経歴や、旅行計画について詳しいお話をうかがいました。
今回、お話を伺ったのは…
うーぱーさん
旅人美容師。サロンで美容師として経験を重ね、店内で一番の指名や売上を立てる。その後、コロナの影響でいったん世界旅行を諦め、知り合いのつてで介護士に。介護施設・なかよしの家で主任を任される。2023年4月から、改めて世界旅行に出かける予定。
コロナを経て、2023年4月から世界旅行へ!
――本日は、よろしくお願いします。うーぱーさんは2023年から海外へ行かれるとのことですが、現在はどんな準備をされているのでしょうか?
少し前までは、介護施設で働いていましたが、今はそちらも辞め、旅に向けて必要なものを揃えたり、行こうと思っている国の下調べをしたり、知り合いにおすすめの場所を聞いたりしています。
――世界旅行、楽しそうですね!どれくらいの期間でどんな国をまわる予定なのですか?
期間は、きっちりと決めているわけではなく、大体1年くらいと考えています。国も、完全に全てを決めているわけではありませんが、まずはこれまで何度も訪れている、フィリピンを中心に、東南アジアを一周して、現地の子どもたちの髪を切ってあげたいなと。その後、インドやネパールへ行き、中東を経てヨーロッパまで行き、アメリカ大陸に渡る予定です。
――やっとでコロナも落ち着いてきましたもんね。もともとは、もう少しはやく出発する予定だったのでしょうか?
そうなんですよ。2020年から旅に出るつもりが、コロナが直撃して、3年間日本に留まることになってしまったんです。
3年間の間介護士としてスキルを磨く
――旅に出られない期間はどうされていたのですか?
2019年の冬に、これまで6年間務めていたサロンを退職しておりまして。そんなタイミングに、知り合いのグループホームの所長さんから介護士をすすめられたんです。重度障害がある方のグループホームなのですが、訪問美容でそちらの利用者の方の髪を切ることもよくありましたし、もともと介護の分野にも関心があったので、世界のコロナ情勢が落ち着くまで、そこで自分の視野を広げられたらと思って飛び込みました。
――実際に働いてみて、いかがでしたか?
施設では、3年ほど働いているのですが、通常の仕事に加え介護の資格も取り、利用者さんのヘアカットもしたりする中で、美容師のスキルが介護の世界にも活かされることを実感しました。
美容室に行けない子供どもたちにカットを楽しんで欲しい
――ここからは、うーぱーさんのこれまでの来歴や、どうして世界旅行へ行こうと思ったかについて教えていただけたらと思います。どんな経緯があって今に至るのでしょうか?
もともと海外には、とても関心があったのですが、美容学校を卒業したタイミングで、知人のすすめでフィリピンの孤児院に行くことになったんです。そこでちょっとした怪我をして、はじめは大したことないと思っていましたが、紫に変色してきて、帰国してから即入院、2週間ベッドの上で過ごしたことがあるんです。その時感じたのが、「あの子たちは毎日こんな環境で毎日を過ごしているんだ」ということでした。
その時、僕はもう美容師になることが確定していて、そんな自分に何かできることがないかと考えた時に思いついたのが、スラムや孤児院の子どもたちにも、ヘアカットをしてさっぱりした気持ちになってほしいということだったんです。
――それは素敵な夢ですね!現地の子どもたちの生活はどんなものだったのでしょうか?
いろいろな場面が印象に残っているのですが、孤児院の子どもたちは本当明るく可愛くて、僕が夜、現地に到着して自分の部屋にいくと、そこに「ようこそ!」といったデコレーションがされているんですよ。僕は同じ孤児院に何度かいっているのですが、次の日になったら、顔見知りの子もそうでない子も、笑顔で出迎えてくれるのでとても暖かい気分になれます。
もう一つ衝撃をうけたのが、ゴミの山のなかで生活する子どもたちですね。スモーキー・マウンテンと呼ばれる場所なのですが、様々な場所から集められたゴミが自然発火し、いろんなところで煙が立ち上っているのでそう呼ばれているんです。毎日数トンのゴミが運ばれ、炎天下のなか小学生くらいの子どもがお金になるものを探して、ゴミ拾いをしているんです。その光景をみて、驚きましたし、一方でそんな環境でもたくましく生きる、子どもたちの笑顔もずっと思えています。
僕が美容学校やサロンでまなんだ技術を活かして、何かしてあげたいなと心から思いました。目標を立てた後は、6年間サロンで働きました。
ただ漫然と働くだけでは、「大変な環境で頑張る、子どもたちを笑顔にする」という自分の夢は叶えられないと思い、大きな目標を3つ作りました。
――そんな経緯があったのですね。どんな目標を立てたか教えていただいてもいいですか?
はい。一つは貯金です。1年間海外を旅するとなると、それなりの金額が必要でして、見習いのうちからしっかり貯金をしていこうと思いました。あとは、お店で一番の売上と指名を獲得すること。そのために、いろいろと試行錯誤を続け、全部達成することができました。
うーぱーさんが自分のやりたいこと(海外を周り美容室に行けない子どもたちを笑顔にすること)を実現するために準備したこと
1.まずは、自分が「いつまでに何をやりたいのか」、具体的なゴールをつくった
2.海外に1年間いくための、資金作り
3.自身が働く店で、売上・指名ともに1位をとるという目標設定
お話をうかがっていると、優しい人柄が伝わってくる、うーぱーさん。後半では、1年間の世界旅行に行くにあたって、うーぱーさんが設定した目標(貯金、売上と指名で1位になること)を達成するために、実際どんなことをしたか、詳しいお話をうかがっていきたいと思います、お楽しみに!