目標はコンテスト優勝と海外進出。視野を広げて後輩育成にも奮闘中「QUQU」平山華蓮さん
渋谷にある美容室「QUQU」。その人だけに似合う唯一無二の施術がしてもらえると、人気を博すサロンです。そんな「QUQU」で働き始めて5年目になるのが、スタイリストの平山華蓮さん。
前編では、平山さんが美容師を目指した理由やデビューするまでの道のりについて語っていただきました。
後編では、スタイリストになった平山さんがどんなことを考えてお仕事に取り組んできたのかを詳しく伺います。「新人時代は自分のことで精一杯でした」と話す平山さんですが、最近は後輩指導をする機会も増えてきたことで、徐々に美容師としての視野を広げる必要性を感じていると言います。
今回、お話を伺ったのは…
「QUQU」スタイリスト
平山華蓮さん
入社5年目。長崎県出身でブラックヘアが目印。パンクロックカルチャーと料理が好き。反骨精神をモットーに、エッジの効いたデザインとファッションでアーティストやミュージシャンからも支持を集めている。
コンテスト出場やセミナーへの同行で周囲の信頼を得る
――平山さんが指名を得るために工夫していることはありますか?
集客の中心であるSNS投稿をがんばっています。スタイリストのスタイルを重視するお客様が多いので、私がどんな人なのかがわかるような投稿を心がけています。具体的には、自分が手掛けたヘアはもちろんのこと、ファッションを載せるなどして、私のことも知ってもらえるような投稿をしています。
――接客面で意識していることはありますか?
私はビジュアルが少し強くみられがちなので、怖がられないように丁寧で優しい接客をすることを意識しています。
――仕事をしていくうえでは、同僚からの信頼を得ることも大切だと思います。同僚に認めてもらうために努力していることがあれば教えてください。
がんばって結果を残す姿を先輩や同僚、後輩にも見てもらいたいと思い、ナプラさんが主催する「DREAM PLUS」というコンテストに参加しました。1次・2次選考を通過して、今年の10月には武道館に立つ予定です。
今まではコンテストなどにも出場しておらず、周りからも期待をされていないと思い込んでいました。しかしいざコンテストに出場してみたら、みんなが会場に応援に来てくれたり、活躍を喜んでくれたりして、「周りに応援してもらっていたんだな」ということを認識しました。期待に応える活躍をして、美容師としてより信頼してもらえたら本望です。
――活躍するために、意識して取り組んだことはありますか?
上司・先輩に依頼のあったセミナーや撮影へ同行できるように努力しました。QUQUや系列店のLECOは、モデルを探すと先輩のセミナーや撮影に同行できるシステムです。先輩の技術を間近で見られる機会を増やしたいと思い、常にSNSをチェックしてモデルさんを探し、「この方、とても素敵なのでモデルにいかがでしょう?」と先輩にアピールしてきました。
その甲斐あってかこれまで、日本全国津々浦々のセミナーに同行しています。現場での先輩方の立ち振る舞いを学ばせてもらいながら、全国のおいしいものを一緒にいただいて、楽しく勉強させてもらっています(笑)。
後輩指導の基本は「教えられる人の立場に立つこと」
――美容師としてのキャリアを重ねていくなかで、仕事に対しての取り組み方は変わってきましたか?
就職したての頃はモデルさんを探すとか練習をするとか、自分のことで精一杯でした。しかしスタイリストになり後輩も増えてきた今、「自分のことだけを考えているのではなく、視野をひろげないといけないな」と感じています。
最近はメイクやセミナーアシスタントなど、後輩への指導の場も増えてきたので余計にそう思うのかもしれません。
――後輩指導で気をつけていることはありますか。
「1回指導しただけで、全員がすぐに技術習得できるわけではない」ということをいつも頭の片隅に置いています。後輩が失敗してしまってもやり方を否定するのではなく、正解を示して導けるように意識しています。「自分がしてほしい指導」をするように心がけていますね。
――ファッションやアーティスト界隈の方からの信頼も厚い平山さん。ヘアスタイルやファッション、メイクは何からインスピレーションを得ているのですか?
SNSなどを源にすると、どうしても人と同じようなスタイルを生み出してしまいます。ですから私は、古いものから情報を得ることが多いです。具体的は、平成に流行したスナップ雑誌のアーカイブ展に足を運んだり、図書館に行って古いファッション雑誌を見に行ったりすることもあります。
確立されたスタイルのファッションには、長く愛されるだけの秘訣があります。その長く愛される秘訣を理解しようと思いながら情報収集をしています。
直接、昔のスタイルをリバイバルするというよりは、かっこいいと思う要素を蓄積して、それらを組み合わせて新しいスタイルを作るというイメージです。
いつかは海外でチャレンジできる美容師に
――平山さんの原動力について教えてください。
ありきたりかもしれないですが、施術が終わった後にお客様から「ありがとう」と言ってもらえることですね。「こんな私でも、人を喜ばせることができるんだ!」と自分が誇らしく、うれしい気持ちになります。
コンテスト出場で、改めて周りの人に応援してもらっていることも痛感していて、それも大きな原動力になっています。
――今後の目標について教えてください。
直近の目標は、コンテストで優勝することです。日本一になって周りの人に喜んでもらいたいです。優勝をすると海外のコレクションに同行できる権利が与えられるそうなので、それも励みにしています。
ゆくゆくは海外などでも活躍できる美容師になりたいので、ヘアメイクや外部の仕事にも積極的にチャレンジしていきたいと思っています。
――これから美容師になりたい人にアドバイスをお願いします。
美容師になりたいからといって髪のことだけ追求するのではなく、洋服でも音楽でもいいので、別のジャンルで自分がとびきり好きなものを見つけることが大切だと思います。
好きなものにまつわるカルチャーが自分の美容に生きてくると思うので、ひとつでもいいから好きなものを見つけられるといいのではないでしょうか。
平山華蓮さんが新人時代の壁を乗り越えた3つのポイント
1.コンテストに出場して技術を研鑽するなど、努力する姿を周囲に見てもらい、信頼を得てきた
2.チャンスがある場で積極的に手を挙げ、周囲にアピールし、チャレンジを続けてきた
3.ファッションや音楽などさまざまなものから学びを吸収し、美容のエッセンスにしてきた
お話の端々から、平山さんの美容への強い意志を感じました。できることを全力で、実直に積み重ねてきたからこそ、今のご活躍があるのだと思います。
これから美容師さんとしての活躍を目指す方は、参考になさってみてください。