細く長く続けていれば、いつか絶対に花が咲く!続けることの重要性を感じた新人時代「siikaNIKAI」伊達春香さん
2016年に、青山、原宿、代官山と、都内にある別々のトップサロンで10年以上の経験を積んだ3人が集まり、オープンした「siika」。その2号店「SiikaNIKAI」は、ファッション誌やヘアカタログにもよく掲載され、高い技術とセンスが人気を集めています。同店で活躍中なのが、スタイリストの伊達春香さんです。
前編では、伊達さんが美容師を目指し始めたきっかけや、アシスタント時代の思い出を伺いました。
後編では、伊達さんが新人時代にぶつかった壁について伺います。施術にどうしても自信が持てなかったという伊達さん。デビュー後も心配は続いていましたが、小さな成功体験を積み重ねたり、お客様がリピートしてくださる姿を見て、徐々に自信がついてきたそうです。
今回、お話を伺ったのは…
「siikaNIKAI」スタイリスト
伊達春香さん
美容専門学校を卒業後の2019年に、「SiikaNIKAI」に入社。アシスタントリーダーを経て、2024年6月にスタイリストデビューを果たす。イベント事や大切なシーンなどに寄り添ったヘアカラー提案を得意とする。
小さな成功体験で自信を積み上げた新人時代
――最初はあまり自信がなかったということですが、どのようにして自信をつけていきましたか?
1つひとつの小さな成功の積み重ねで、自信をつけることができました。たとえばアシスタント時代は硬い髪質の方のショートカットがとても苦手でしたが、練習を重ねるなかでうまくこなせるようになりました。先輩がチェックをしてくれる際に褒めてくださり、そこでようやく自信を持つことができましたね。
何か1つがきっかけとなって自信がついたというよりも、このような小さな成功の積み重ねで技術に自信を持てるようになっていったと感じます。
――伊達さんは新人時代、接客面で意識していたことはありますか?
最初は接客が苦手で、会話のネタを見つけるのも一苦労でした。ただ、あまり話さない姿をお見せしてお客様に心配をかけたくなかったので、シャンプー台で必ず一言はお声かけするということは徹底していましたね。
接客を続けて気づいたのですが、お客様と会話をすると、不思議と自分のモチベーションも上がっていくんです!コミュニケーションの面白さや重要性を感じてからは、積極的にお客様に話しかけるようになりました。
――ほかにも接客面で意識していたことがあれば、教えてください。
お客様に覚えてもらうことでしょうか。私は入社してから2~3年の間、髪をずっと緑に染めていました。最初はおしゃれのつもりで染めていたのですが、お客様から「緑の子だ!」という風に覚えてもらうことが増え、途中からトレードマークとして髪を緑にしていました。このおかげでお客様ともコミュニケーションが取れるようになった実感がありましたね。
――接客面で失敗してしまったことなどはありますか?
一度、お客様との会話に踏み込みすぎて失敗してしまったことがあります。話さなければという気持ちが先行してしまい、お客様のプライベートに立ち入りすぎたお話をしてしまって、先輩から注意を受けたことがありました。
その点は本当に反省し、その後はなるべく落ち着いてコミュニケーションを取ろうと心がけるようになりました。
――美容師さんは技術職であるがゆえに、新人時代の失敗経験はつきものだと思います。失敗した後はどんなことを意識していましたか?
気持ちを無理やりにでも切り替えることを意識していました。一度失敗してしまうと、どうしても落ち込んでしまうものです。しかしずっと落ち込んだ状態でいるとまたミスにつながりかねないので、無理やりでも自分をコントロールして気分を上げるようにしていました。
「先輩に認められたい」という気持ちがモチベーションに
――伊達さんは4年目にアシスタントリーダーに抜擢されたと伺いました。どんな理由で抜擢されたと思いますか?
先輩から言っていただいた言葉で印象深いのは、「伊達が先輩として指導を始めてから、後輩の子が辞めなくなった」という一言です。自分では意識していませんでしたが、そういうところで評価をしてもらえていたのかもしれません。
新人のアシスタントは、先輩から指導を受けることがしばしばあります。ときには厳しい指導を受けることもありますが、指導された子の逃げ場がなくならないように、「私だけは後輩の味方でいよう」と決めて接していました。サロン全体のバランスを見て、役割を考えていたのかもしれないですね。
――伊達さんのアシスタント時代のモチベーションはどんなところにありましたか?
「先輩に認められたい」「先輩に追いつきたい」という気持ちが大きかったように思います。
認めてもらうためには、基本的なことがしっかりとできている必要があると思ったので、言われたことはしっかりメモにとる、指摘は素直に受け止めるということを意識していました。また精神的に安定していることも大切だと思い、いつもフラットな自分でいられるようにも意識していましたね。
――伊達さんは今年デビューされたと伺いました。デビューが決まったときの気持ちはいかがでしたか?
私は、「うれしい」よりも「怖い」が勝っていましたね。急に責任感がのしかかってくる感覚があり、怖くて不安で、心配な気持ちが大きかったように感じます。
施術したお客様がリピートをしてくださる姿を見て、ようやく最近、「スタイリストになれてよかったな」「楽しいな」と思えるようになってきました。
――デビュー後の不安な気持ちはどんな風に解消していましたか?
先輩をたくさん頼りました。たとえばカラー剤の配合が不安なときは、バックヤードに入って行って休憩中の先輩に「この薬剤とこの薬剤混ぜたらどうなりますかね?発色はどうですか?」しつこく質問させてもらいました。
不安をそのままにせず、その場で解消するということを意識していました。
続けていればいつか形になる
――伊達さんにとって新人時代はどんな経験でしたか?
「続けていれば、形になる」ということがわかった経験でした。私も途中で諦めそうになったりした経験もありますし、周りの友人では美容師になることを諦めた人もいました。
ただ不格好でも、すぐにうまくできなくても、続けていれば、なんとか形になるんだなということを実感しました。
――最後に美容師になりたい方に向けてメッセージをお願いします。
「細く長く続けること」が大切だと思います。毎日終電まで残って練習するなど、しっかりがんばることもときには大切ですが、それで行き詰まって途中でやめることになってしまっては意味がありません。ですからがんばるべきところ、少し気持ちを緩めるべきところを見極めましょう。長く続けたらいつかは形になるはずです!
伊達さんが新人時代に意識した3つのポイント
1.成功体験を着実に積み上げて自信をつけた
2.不安な気持ちをばねにして努力をつづけた
3.「細く長く」を意識し、実直に仕事に励んだ
自分の自信のなさや、不安感を味方につけて、新人時代から前向きに練習に励んだ伊達さん。努力を積み重ねたからこそ、今の活躍があるのだと感じた取材でした。これから美容師として活躍を目指す方は、参考にしてみてください。