ネイリストの真価が試されるリムーブ!施術のポイントまとめ
ネイリストとして修行を積むというとき、ファイリングやアートのテクニックにばかりに気を取られがちですが、ネイルをオフすることもネイリストの腕が試される大切な作業のひとつです。リムーブがうまくいかないとお客様の爪を痛めてしまう危険性があるので、しっかりとリムーブの知識と技術を習得する必要があるといえるでしょう。
今回はリムーブに関して知っておきたいことと、気をつけなければいけないことを一挙にご紹介していきます。
リムーブで爪にダメージを与えないようにするために
「リムーブ」は、移動させることや取り除くことを意味しますが、ネイルにおけるリムーブとは、爪に施したネイルを除去することを意味します。別のいい方でネイルをオフするとも表現されるリムーブですが、実はネイルの施術をするとき以上に神経をとがらせなければならない重要な作業です。
「なぜリムーブがそんなに難しい作業なの?」「ただネイルを取り除くだけじゃない?」と思われる人もいるかもしれませんが、リムーブの仕方が不適切であれば、お客様の爪に大きなダメージを与えてしまう危険性があります。
そもそもリムーブは、爪に全くダメージを与えずに完了させることは大変困難です。ジェルを溶かすためのリムーバーは爪の乾燥を促進させてしまうことがあり、また、厚いネイルはファイルやマシーンで薄くなるまで削りますが、削りすぎて爪を傷つけるケースもあります。それらのトラブルを避けるための鉄則は、「慌てて剥がそうとはしない」ことです。
これはリムーバーを使用するときでもファイルなどを使用するときでも同様で、ネイルがまだ爪に強く接着している状態で力任せに剥がしてしまうと、爪を大きく傷める原因となります。ジェルのリムーブは平均しておよそ20〜30分はかかるので、焦らずに作業を進めていきましょう。
マシーンでオフしても大丈夫?
ジェルネイルにはソフトジェルとハードジェルの2種類があり、ソフトジェルは基本的にリムーバーで溶けるので、特別マシーンを使用する必要はありません。一方、ハードジェルはリムーバーでは溶解しないため、専用のマシーンを使用してジェルが薄くなるまで削らなければなりませんが、取り除くのはトップジェルとカラージェルの2層目くらいまでにしておくことが、爪にダメージを与えないためのポイントです。
マシーンを使用する際には、注意しておきたいことがあります。マシーンは人間の手でサンディングする場合とは違い、回転数を設定して電源を入れると、手加減することはなくガリガリと削っていきます。そのため、設定を間違えると必要以上にマシーンが回転し、摩擦熱が生じて爪にダメージを与える可能性が高くなります。
マシーンは使い慣れないと危険なため、マシーンの導入自体を行っていないネイルサロンもあるくらいです。しかし、正しい設定をすればリムーブの時間を短くすることができるので、お客様にとってもネイリストにとってもメリットがあります。本来マシーンは危険なものではなく、使用するネイリストの知識によって役立つものになったり危険なものになったり変化するだけなので、ネイリストとしての腕を上げたい場合は、マシーンの使い方を熟知しておくといいでしょう。
リムーブ時の注意点を知ろう
リムーブ時に爪を傷つけてしまう原因で多いのは、ジェルが溶けきる前に剥がそうとしてしまうことです。ジェルがきちんと溶けている場合は、本来なら軽くウッドスティックなどでなでるだけでもベラッとジェルは剥がれるものです。リムーバーに浸してもなおメタルプレッシャーを使ってガリガリと削らなければネイルが取れないのなら、ジェルが溶解しきれていない証拠です。そのままガリガリと削り続けると爪にダメージを与えるので、もう1度リムーバーを使う必要があるでしょう。
まだ爪に多くのネイルが残っている場合は表面をサンディングして荒らしてあげると、リムーバーが染み込みやすくなります。もしもリムーブ後にお客様の爪が白くなっていたり、表面がなめらかではなく毛羽立っていたりする場合は、無理やりネイルを剥がしてしまったりサンディングをし過ぎてしまったりした可能性があります。
マニキュアの場合は除光液でもカラーを落とすことはできますが、ジェルネイルにマニキュア用の除光液を間違えて使用してしまうと、溶かすのにものすごく長い時間を要してしまいます。施されたネイルの種類によってリムーブのときに使用する溶剤は変わっていくので、ネイリストとしてはくれぐれも間違えないようにしましょう。
リムーバーに長時間爪をつけると傷む原因に
しっかりとリムーバーを爪に染み込ませて、確実にネイルを剥がせるようにしたいと考えるのは、ネイリストとしては間違えた方向ではありません。しかし、リムーバーにつける時間が長くなればなるほど爪にかかる負担が大きくなり、結果的にダメージを与えることにつながってしまいます。
ジェル用のリムーバーの中には、アセトンという成分が入っています。アセトンは揮発性が高い溶剤で、皮膚につくとヒヤッとした感覚を覚えます。アセトンが冷たく感じる理由は蒸発するときに蒸発熱を奪っていくためですが、アセトンが爪に付着すると爪から水分をどんどん奪っていき、爪の乾燥が進んでいきます。アセトンによって爪が乾燥すると爪の表面が白っぽくなるので、見た目でリムーバーに浸し過ぎたとわかります。もしも乾燥が気になる場合は、アセトンを含むリムーバーを使用する前に、指先をオイルで保湿しておくと良いでしょう。
リムーブ作業をしていると、爪の部分によってジェルが剥がれた部分と剥がれなかった部分が出てくることがあります。大雑把にいうと爪の先はジェルが分厚かったり体温が低かったりとジェルが剥がれにくい条件が揃っているため、ネイルベッドやキューティクル側のジェルは早い段階で取れたとしても、フリーエッジ側はまだジェルが残っているという事態が発生するかもしれません。
そのような状況で爪全体にリムーバーを染み込ませたコットンを当てがうと、キューティクル側がダメージを受ける確率が上がるので注意しましょう。
傷んだ爪のリムーブ、対応策はあるの?
健康的な爪であれば、リムーブ時に多少ストレスがかかったとしても、それほど多くのダメージを受けずにオフできることでしょう。しかし、すでに爪が痛んでいる場合や元から体質で爪が弱い人の場合は、リムーブの際に細心の注意が必要となります。
解決策のひとつとしては、指のすべてのネイルを一度に全部リムーブしようとはせず、剥がれかかっているなどトラブルがある一部だけリムーブして、新たにジェルで補修をしてあげる「お直し」が挙げられます。部分的にリムーブをすることで、爪全体にかかる負担を軽減させることが可能です。
また、リムーバーを使用する前に指先にオイルを塗っておくことも、これ以上爪を傷ませない対応策となります。オイルを塗ってしまうとリムーバーの浸透に影響しないか心配する人もいるかもしれませんが、乾燥の原因となるアセトンはオイルに影響されません。オイルは指先の保湿に大いに役立ちます。爪を削りすぎないことと無理やりネイルを剥がそうとしないこと、リムーバーに爪を浸ける時間はなるべく短くすることの3つが、ネイルオフの鉄則です。
リムーブにはかなりのテクニックが必要で、そう簡単に習得できるものではありません。お客様に信頼されるネイリストを目指すなら、アートの腕だけではなくリムーブの腕も磨き、お客様の爪を傷つけずにネイルをオフできるよう日々努力していきましょう。