美容師が留学するまでの流れは?サロンの探し方・ビザの種類など
グローバル化が進み、海外のサロンに勤務する美容師も増えてきました。日本のサロンで勤務した後に、スキルアップや海外就職などの目的で留学する美容師も増えています。海外には多くの刺激やチャンスがありますが、言語の壁・スタイリングの文化の違い・ビザの問題など、クリアすべき課題もたくさんあります。ここでは、美容師が留学するために知るべきポイントとして「海外での勤務サロンの探し方・ビザやライセンスの取得方法・帰国後の働き方」などをまとめます。
海外で短期勤務ができるサロンを探そう
美容師が留学するには、まず海外で働けるサロンを探す必要があります。海外でも美容専門学校はありますが、すでに美容師の資格を持っている人なら日本の学校と同じ内容をもう一度学ぶ必要はないでしょう。学ぶなら文化の違いがより濃く出る、現場のサロンの方がいいはずです。
海外で働くサロンの探し方の1つは、美容師留学のサポート会社を利用することです。サポート会社を利用すると、提携している現地サロンで短期間の勤務をさせてもらえます。期間は数日から数カ月まで幅広くありますが、この程度の期間ならビザは大抵不要です。日本人は大部分の国に90日程度ビザなしで滞在できるからです。少なくとも日本人美容師が留学したがるような先進国は、ほとんどビザなしで数カ月滞在できます。この場合、渡航の正式な目的は観光となりますが、現地のサロンで実際に仕事をして学ぶので、中身は留学と言えます。
自ら飛び込みでサロンを探す方法もあります。この方法だと、サポート会社に支払う費用が必要ないのがメリットです。しかし、相当な語学力が必要ですし、サロンのオーナーとトラブルになったら「観光目的で入国していたのに就労していた」などと、不当に訴えられることもあります。賃金をもらわなければ就労ではないのですが、その説明を外国語で現地の入国管理官などにするのは相当ハードです。
現地サロンが日本人経営の場合は、自分で探して交渉するのも難しくないでしょう。アメリカ・韓国など日本人の人口が多い国なら、日本人経営のサロンも多くあります。しかし、同じことは多くの美容師が考えるので、留学や体験の受け入れ人数はいっぱいということが多いでしょう。自分で現地サロンを探すより、サポート会社を利用する方が確実と言えます。
ビザ・ライセンスを取ろう!種類と取り方のまとめ
留学が3カ月以上などの長期にわたる時は、ビザが必要になります。美容師の留学で取れるビザは主に3つあります。1つ目はワーキングホリデービザで、2つ目は現地サロンから発給される就労ビザです。3つ目は現地の美容専門学校への留学ビザとなります。
ワーキングホリデービザはどの国でも取得できるわけではありません。イギリス・フランス・オーストラリアなど、日本とワーキングホリデー協定を結んでいる国限定となります。ビザの条件は国によって変わりますが「1年滞在可能・1雇用主のもとで6カ月就労可能」などのルールが定められています。この期間内であれば現地サロンで働き、一定金額まで給与をもらうこともできます。
現地サロンから発給される就労ビザは、同じサロンで1年勤務するなど長期で働く場合のみ必要となります。ワーキングホリデーでは同じサロンで働ける期間が限られているので、どうしても学びたいサロンが1カ所決まっている場合は、就労ビザが必要になることもあるでしょう。ただ、就労ビザは現地サロンのオーナーが役所と交渉して取得する必要があり、先方の負担が大きくなります。留学で来る美容師に対してそこまでしてくれるオーナーは少ないでしょう。サポート会社を通せば手配してもらいやすくなりますが、料金がかかります。美容師の留学で就労ビザを発行してもらうケースは少ないと思ってください。
現地の美容専門学校に留学する場合は、入学が決まり次第学校側から留学ビザが届きます。特に入学試験がない学校ならこの方法が一番簡単でしょう。しかし、学費が必要になる、日本の学校で学んだことをもう一度学ぶなどデメリットも多いので、多くの美容師はワーキングホリデービザを選択しています。海外の美容師免許も取得してダブルライセンスを目指す美容師は、現地の専門学校に通うのもいいでしょう。
現地生活のサポート体制が整っているかも確認しよう
留学先の都市やサロンを決める時には、現地でのサポートが整っているかも確認しましょう。たとえば滞在先としてワンルームを手配してくれるサポート会社だったら、その物件でトラブルが起きた時のサポートを確認しましょう。「サポートをする」という文言だけでは、どのような手助けをしてくれるのかまったくわかりません。たとえば、日本の賃貸物件で水回りなどのトラブルが起きた時、大抵オーナーさんは良心的に対応してくれます。しかし、海外でそのような対応は、一般的にあまり期待できないと言われます。「最初の契約書に書いた内容以外の対応はしない」というケースが少なくないようです。
このような時にサポート会社が動いてくれるのか、どのくらいのスピードで対応してくれるのかなどの点も、細かく把握しておくべきでしょう。海外の一人暮らしでどのようなトラブルがよく起こるのか、留学生の体験談などを読んでシミュレーションをし、その上でサポート会社に細かい確認を取りましょう。そのような確認ができていれば、留学した後もサロンでのスキル向上に集中できるでしょう。
日本に帰国した後の働き方も考えておこう
美容師が留学するなら、帰国後にどう働くか考えておくことも必要です。たとえばデサンジュカットの本場のフランスに留学したなら、その内容によってはデサンジュ系のサロンに就職しやすくなるでしょう。サスーンカットの本場のロンドンへの留学だったら、やはりサスーン系のサロンで採用されやすくなります。
まだ少ないパターンですが、上海・香港・北京などのサロンに留学したなら、中国のお客様の集客に力を入れているサロンに就職するという選択肢もあります。特に銀座・渋谷など東京の中心部では、観光の記念に日本のサロンでカットをする中国人観光客も多くいます。日本のスタイリング技術はアジアトップレベルと評価されており、一度体験したいと思っている中国人も多くいるからです。中国のサロンへの留学経験がある美容師は、貴重な戦力として期待されるでしょう。
海外の美容専門学校で現地の美容師免許を取得した場合、日本だけでなく海外にも店舗を出しているサロンに就職するのも1つの手です。美容開業に免許が必要な国では、現地の免許を持っている外国人の人材が必要です。人材を探すことはできても、その人材をコントロールするのが難しいという理由で、新しい国への出店を躊躇しているサロンは多くあります。その点、現地の免許がある日本人美容師は理想的な人材です。日本式のやり取りで経営を任せられますし、現地スタッフとの橋渡しの役目も果たしやすいでしょう。
このように、留学して質の高い経験を積んだ美容師なら、帰国後のキャリアプランも大きく広がります。このようなキャリアプランを考える上でも、留学に出かける前から「留学経験がプラスになるサロンがあるか」とチェックしておくといいでしょう。