【美容師のカラー技術】kakimoto arms 篠田佳奈さん流「彩度のあるインナーカラー」#1
髪色の自由度が増し、昨今需要が高まっているハイライト。お仕事中の人でもトライしやすい、ハイライトを取り入れたインナーカラーは、今すぐ取り入れたいカラー技術です。そんなインナーカラーをブラッシュアップしたカラーリングを、kakimoto armsのトップカラーリスト 篠田佳奈さんが提案してくださいました。前編では、カラー提案についてのこだわりから、一押しのカラーリングのポイントについて伺いました。
kakimoto arms 青山店 篠田さんにインタビュー
「カラーリスト」という職業とは?
——カラーリストになったきっかけは?
もともとはメイクの仕事がしたくて、より幅広い仕事ができるように美容師を目指して美容学校に入学しました。美容学校では、いろいろな勉強をするんですが、そこでカラーリングに興味を持つようになったんです。カラーをすると顔周りの色が変わりますよね。すると、すごく印象が変わるんですよ。それが、すごくおもしろいなーと思ってたとき、授業でカラーリストという仕事があることを知り、目指すようになりました。
——入社前からカラーリスト志望だったんですね。
私は、そうですね。でもカキモトアームズは、入社して2カ月くらいは全員同じように研修して、その後、スタイリストとカラーリストに分かれた研修が始まります。なので、最初はスタイリストのアシスタントをすることもありました。
——カラーリストのいいところは?
専門知識を追求していけるので、それがとても楽しいなと思います。肌や瞳の色に合わせたヘアカラー選びなど、追求すればするほど深い。カラーだけに専念して勉強できるので、私には合っているなと思います。逆に、カットのことは詳しくないので、その分スタイリストのことを尊敬できる部分もあります。施術前のカウンセリングは、必ずスタイリストと一緒に行うんですが、2人いる分、倍のアイデアが出る。お客様のキレイを、いろんな方面から引き出すことができるのも、カラーリストがいる利点だと思います。
カラーリングへのこだわりについて
——カラーの提案でこだわっていることは?
お客様のご希望に沿うことはもちろんですが、プロとしては「できないこと」を伝えたうえで、新しい提案をすることが大切だと思います。逆に、「前こうだったから…」という、お客様の固定観念をくつがえす提案もしていきたいです。思い込みで、できるカラーリングの幅が狭まってしまうともったいないですから。
——実際の施術で大切にしていることは?
カラーリングは、どうしても時間がかかる施術。とくに最近はハイライトの施術も多く、ブリーチの時間がかかってしまうので、お待たせしてしまうことも多いんです。お客様の大切な時間をいただいていますので、できるだけ手際よく施術できるように心がけています。あとは、完成前の時間で嫌なことがないように、気持ちよく過ごしてもらうこと。せっかく仕上がりがよくても、施術中に嫌なことがあったら台無しですから。忙しいサロンワークの中だと忘れがちなんですが、そのとき自分が複数人の対応をしていたとしても、お客様からしたら私は1人。お席を離れてしまうこともありますが、戻ったときのお客様の表情を見ながら、話題を振ったり、薬剤が沁みていないか確認したり、できるだけケアすることも大切だと思っています。
——技術面ではいかがですか?
カラーリストは色をつかさどる仕事なので、技術面では色選びが一番重要ですね。似合わない色を選んでしまうと、肌がくすんで見えたりして、お客様の雰囲気にまで影響が出てしまうんです。似合わせにとって大切なのは、パーソナルカラーに合わせて色選びをすること。肌や生活環境などのバックグラウンドにフィットする、色のチョイスとブレンドができると、毎日が居心地よく過ごせるようになると思います。自分にフィットしているヘアカラーだと、気持ちまで落ち着くように感じていただけるんです。
——トレンドの取り入れ方と、サロンワークでの活かし方を教えて下さい。
情報として、雑誌やメディア、SNSは一通りチェックしています。その情報を取り入れたうえで、その日の施術は「次はこうしたい」というのをイメージしながら行います。「これも似合いそう」というのを貯めておくことで、季節などに合わせていろんなご提案ができるようになりました。
——では、これから提案していきたいカラーリングは?
ハイライトは引き続き、高い人気が続くと思います。1色では表現しにくい質感やニュアンスが出せますし、ハイライトが入っているだけで髪に立体感と動きが演出できます。最近はヘアアレンジを楽しむ女性も多いので、そういう方にもおすすめの施術です。今はスタイル全体に、抜け感や透け感というのがマストになってきているので、その点でもハイライトは効果的ですね。これまでは、ベージュやグレー系など彩度の低いハイライトが人気だったんですが、これから取り入れるならオレンジやピンク、カッパーなどの、ほんのり色味のある彩度高めのハイライトが気になります。髪色になじむけど存在感もあるカラーで、アレンジなどでヘアスタイルをいろいろ楽しみたい人にぴったりです。
篠田さんが提案する『彩度のあるインナーカラー』
髪の内側に、ほんのりカッパーの色味のあるハイライトを。肌や目の色に合わせたハイライトカラーで、派手になり過ぎずに立体感が演出できる。インナーカラーは、髪色を明るくできない人や退色しやすい人にもおすすめ。髪を結ぶとハイライトが表面にあらわれるので、TPOに合わせていろいろな表情が楽しめる。
『彩度のあるインナーカラー』のいいところ
1.髪色を明るくできない人も挑戦しやすい
2.髪全体に立体感と動きが出る
3.ヘアアレンジで様々な表情が楽しめる
さまざまなスタイルを楽しみたい現代女性にフィットする、汎用性の高いインナーカラー。お客様からの要望としても、今後増えてきそうなカラーリングは要チェックです。後編では、提案いただいたインナーカラーの詳しい施術方法を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
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取材・文:山本二季
撮影:石原麻里絵(スタジオ バンバン)
ヘア:百瀬 優(kakimoto arms)
メイク:篠田佳奈(kakimoto arms)
モデル:ニーマイヤー・セレーナ美華
教えてくれたのはこの人!
篠田佳奈さん
kakimoto arms 青山店 トップカラーリスト
2007年kakimoto armsに入社。入社1年半でカラーリストとしてデビュー後、早くにトップカラーリストに昇格。やわらかく優しい接客で沢山のお客様の悩みを解決しつつ、パーソナルなカラーリングを提案する。カラーリングセミナーの講師や、雑誌でのカラー提案など、幅広く活躍中。
Salon Data
kakimoto arms 青山店
住所 東京都港区南青山5-6-12
TEL 03-5464-0011
URL https://kakimoto-arms.com/salon#aoyama