宇田川 大輔 interview ＃2：フラットな目線で本当にいい作品を紹介していきたい
ネイルとファッションのトレンドが詰まったネイル雑誌『NAIL VENUS』の男性編集長である宇田川大輔さん。前回のインタビューでは創刊の経緯から、企画の立て方、これからのネイルの流行などを語っていただきました。後編では宇田川さんのネイルへの思いやお考えを伺います。
ネイルは唯一、自分の目で確認できるオシャレ！
――宇田川さんはどんなネイルをしている女性が素敵だと思いますか？
「清潔感があってナチュラルなネイルがいいですね。洋服や髪型だけでなく、ネイルにも気を遣っているという状態が美しいと思います。女性のライフスタイルを楽しんでいる様子は爪に現れますよね。ちゃんと心に余裕があり、自分のことが好きで大切にしているというのがわかります。僕はネイルって唯一、自分の目で確認できるおしゃれだと思うんです。洋服や髪型やメイクは鏡越しでしか確認することができませんが、ネイルは普段歩いている時だって視線を向けられる。靴やバッグの感覚に近いのかな。女性は靴とバッグが新品だと気分がアガります。1日の内に何度か自分の綺麗な爪を見ることによって表情が明るくなったり、所作がきれいになったり、モチベーションを上げられるものなのかなって思います。ちなみに僕は、『NAIL VENUS』を始めてから女性のネイルをよくチェックするようになったんですけど、女性のお顔と同じようにその方の手の形も記憶しています。手にも顔と同じくらい個性があるんですよ」
――では、この冬のネイルの流行を教えてください。
「この冬はニュアンスネイルがオススメですね。具体的なモチーフを使ってデザインしているのではなく、微妙な色合いや差異を楽しむ抽象的なパターンの組み合わせや、一見ミスマッチのような色の組み合わせ方がオシャレですよ。かつてネイルは絵のうまさや、より緻密なデザインの組み合わせといった技術の盛り合わせが主流でしたが、最近ではシンプルだけど、存在感が強い、そんなネイルアートが人気だと思います」
――今後のネイル業界はどんな方向に進んでいきそうですか？
「最近のネイル業界では、ネイルケアが注目されています。ネイルサロンへ行く新しい価値観として、爪の健康維持や、ささくれ防止、甘皮の処理のために利用されることが増えそうです。ナチュラルで健康的な肌色の爪を目指すという美意識が根づくことで、ネイルは贅沢なものではなく生活に根づいたものとして浸透していくと思いますよ。現にアメリカではファッションの一部というよりは、身だしなみとしてネイルサロンへ行く人が多いそうですよ」
――創刊から14年、『NAIL VENUS』で、あえて変えていないことはありますか？
「業界の雰囲気は変わっても『NAIL VENUS』では、創刊当時からテーマに沿って作品を募集する一般公募のページを大切にしており、ネイリストさんの有名無名を問わずよい作品を優先的に掲載するようにしています。また人気が出れば次号の特集ページに大抜擢することも。まだ無名の方の作品を超有名ネイリストさんの隣に、さらに同じくらいのボリュームで掲載するのは『NAIL VENUS』ならではだと思います。今後もそのようにフラットな目線で本当にいい作品を紹介していきたいですね」
現在は、奥渋と呼ばれる渋谷のおしゃれなエリアにオフィスを構える宇田川さん。街を行き交う人々の、ネイル、ファッション、小物などを観察して日々トレンドにアンテナを張っているそう。また、アパレルショップのウィンドウディスプレイを見ることが最先端を知るための勉強になるのだとか。こうして宇田川さんが流行を捉えるところから『NAIL VENUS』は作られているのです。
Profile
宇田川大輔さん
編集者、フォトグラファー（株式会社M-3代表取締役）
東京都出身。
求人雑誌の編集者を経て、男性ファッション誌の編集者となる。2004年にファッションとネイルを楽しむ女性のための雑誌『NAIL VENUS』を創刊。約14年間編集長を務める。現在、『NAIL VENUS』のほかメンズファッション誌『LODEAD』、業界初のデンタル＆オーラルケアマガジン『美歯NAVI』も発売中。
https://www.instagram.com/udagawadaisuke/
http://m3-mag.jp/nailvenus/
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