見た目ギャップをデザインに取り入れて女性のハートを掴む「NailZERO+」塩見隼人さん #2

「NailZERO+」オーナー兼ネイリストの塩見隼人さんが、モアリジョブに2回目の登場です。塩見さんといえば、紗々ネイルやイチゴネイルなど個性派デザインで注目度の高い男性ネイリスト。

前編では、その個性派デザインを生み出すためのアイディアのストック方法、お客様との会話の中から生まれる即興のアイディアを大事にしていること、お客様に考えさせる煩わしさを減らすことなどをお伺いしました。

後編では、塩見さんならではの接客についてインタビュー。

95%のお客様をリピートさせるという塩見さんは、カウンセリングで必ずお客様の職業を聞き、デザインの許容範囲を探ります。お客様の見た目ギャップをデザインに取り入れることで女性の心をキャッチ。なにができるかはお客様に最後まで伝えず、完成したときのワクワク感をプレゼントするというスタイルを実践していました。

ワンプレートの中身は最後までお楽しみ

「この爪は、電子基板モチーフです。
すでに何人かのお客様にも提供しています。
こんなデザインする人、世界中探しても僕しかいないと思います」

ライター永瀬

カウンセリングで大事にしていることは何ですか?


塩見さん

ポイントを決めてもらうことです。僕のサロンでは、「ふんわりオーダー」の方が多いのですが、会話の中でお客様の希望を聞きつつ、ポイントを絞っていきます。でも、カウンセリングの段階で「このデザインにしましょう」と決めてしまうことはありません。「あー、そんな感じね。じゃあ、あれとこれを使ってこうしようか」と僕の頭の中でイメージするまでで留めています。


ライター永瀬

お客様のやりたいことを聞いて、デザインを練っていくという感じですか?


塩見さん

そうですね。お客さまのいちばんしたいことはきちんと聞いて、最後になにができるのかはお楽しみにしています。無限のバイキングの中から選ばれたデザインと素材によって、お客様だけのワンプレートが完成します。それを「はい、どうぞ」と差し出されたときに、「うわっ。すごい! こういうことなんだ」って。毎回、どんなものが出てくるのか分からないワクワク感を味わってほしいと思っています。


ライター永瀬

女子にはたまらないですね。


塩見さん

常連のお客様は、僕の頭の中のイメージができあがったことを察知して、「あ、固まりましたね。じゃあ後はよろしく」なんておっしゃる方もいらっしゃいます。


ライター永瀬

皆さん、塩見さんを信頼されての「ふんわりオーダー」なんでしょうね。


塩見さん

新規の方にも「ふんわりオーダー」の方が多いですよ。でも、新規の方には「どういうのが好きですか? ふだんの趣味はなんですか?」とお客様からどんどん引き出していきます。見た目はとても柔らかい方なのに、実は強めのものがお好きだったり、ギャップがある方もいらっしゃいます。そんな方には「メタリックをちょっと入れてみましょうか」と提案すると、お客様は自分のことを分かってくれたと親近感を覚えてくれるんです。これは、女性の心を掴むひとつの方法かもしれませんね。


ライター永瀬

第一印象にはない部分、見えない部分ですね。ああ、それはグッときますね。


塩見さん

それも、人差し指や親指の目立つ位置ではなくて、小指とか薬指とかにワンポイントとして入れてあげるとイメージが変わってきたりします。

後出し情報で付け足しや変更もできる

ライター永瀬

カウンセリングにどれくらいの時間をかけていますか?


塩見さん

オフの時間から施術中ずっと…。まるまる2時間カウンセリングといえばそうかもしれません。最後の行程でもどう仕上げるか自分の中で決まっていないときもあるので、そこでお客様にお伺いすることもあります。完成形は常に動いてますね。

だから、お客様からの後出しの情報でつけ足したり、変更したりもできる。それまでの会話にはぜんぜん出てこなかったのに、突然ディズニーの話が出てきて「年パス持っています」なんて聞くと「じゃあ隠れミッキー入れましょうか」となることも。


ライター永瀬

カウンセリングであえてお客様に聞かないことは?


塩見さん

年齢はネイルに関係ないのでお聞きしません。40才だから派手じゃなくと言う方もいますが、やりたいことをやるのがネイルだと思うので、年齢は取っ払っちゃってもいいのかなと思います。周りの人が何を言おうが、好きなことをやってこそネイルだと思うんです。僕も、こんな髪形してますし(笑)


ライター永瀬

(納得)塩見さん自身の姿勢がうかがえます。


塩見さん

やりたいことをやってもらうのがいちばん。でも、職業は聞くようにしています。なぜなら、働いているからサロンに来ていただけるからです。ネイルは嗜好品のひとつなので、ある程度余裕のある方でないと来ていただけないですよね。ネイルはしたけれど、上司に怒られて外さなきゃいけないというのは、たぶんできの悪いデザインをされるよりも苦痛なのではないでしょうか。

そうならないためにも、お客様のお仕事が接客なのか事務なのか、上司がうるさくないのかなどをお聞きして、許容範囲の中で、お客様の要望のいちばんギリギリな部分をデザインするようにしています。そうすることで、お客様の満足度も上がると思うんです。


ライター永瀬

こんなに個性的なデザインをされているのに、お客様の現実的な背景をヒアリングされているとはちょっと意外でした。ところで、人と話すのは元々お好きなほうですか?


塩見さん

すごく好きだと思います。友だちともずっと話しています。


ライター永瀬

細かい作業が好きで、趣味がプラモデルで、社交的で。とてもバランス感覚が良い方なのですね。


塩見さん

たぶんもっと僕の話をしていくと、意外だと思われることがけっこうあると思います。


ライター永瀬

さらに! どんなことですか?


塩見さん

プラモデルだけじゃなくてパソコンをいじるのも、カメラも好きです。基本的になんでもやってみようという姿勢です。

サロンのあちこちに自作のプラモデルが飾られています。
塩見さんの器用な手先を育てた趣味のひとつ

塩見さん

先日は、蓄光ネイルをきれいに見せるために、LEDのライトをチップに当てる装置を電子工作しました。頼まれたわけではないのですが、ソフィアジェルさんというジェルメーカーに提供して、現在はショールームに置かれています。

スマホケースも自分で作りました。スマホケースって横型が多いですよね。縦型があったら面白いかなと思って自分で革を切って、縫って、貼って手作りしました。なければなんでも作ればいいんです。

縦型のスマホケースはなんと塩見さんの手作り

お客様のことを覚えていることがリピート増に

ライター永瀬

お客様のリピート率はどれくらいですか?


塩見さん

現在95%くらいです。大切なのは、お客様のことを覚えていることだと思います。どういう方なのか、お客様とどんな会話をしたのか。


ライター永瀬

それもすばらしい記憶力の為せる業ですね?


塩見さん

僕はカルテを作成しません。デザインの写真は撮っているので、それを見ればどんな方だったか、どういう会話をしたのかは思い出せるので。ひとりの方に二度と同じものは作らないし、色も2色を合わせて作ったりするので、色番も控えない。必要なときだけ写真を見返すようにしています。


ライター永瀬

塩見さんは、ご自分をどんなタイプだと思われますか?


塩見さん

理屈っぽくて偏屈ながんこ野郎だと思います。面倒くさいと思いますよ。


ライター永瀬

いまのところ、そんな印象は受けませんが…。


塩見さん

以前、SNS上でデザインの作り方を質問された際に「ある程度は自分で行程を考えてほしい」というようなことを発信したら、「めっちゃ怖い」と言われました。ネイリストは技術職ですし、すぐに教えてしまうとその人が成長しないので、聞かれたことになんでもかんでも答えてしまうのはよくないと思うんですよ。結構僕はズバズバ切っていくタイプのようで、知り合いには「スルーすればいいのに」と言われました。


ライター永瀬

その一件もそうですが、以前より同業の方同士の壁が薄いのかなという印象を受けます。


塩見さん

イベントとかSNSでの交流もありますし、顔を合わせる機会は増えましたよね。でも、ネイリストの中でもメンズ同士はまだまだ輪が広がっていないと思います。メンズネイリストの会みたいなのがあるらしいのですが、僕はぜんぜん呼ばれないんです…。

「本当は仲良くしたいんですけどね。
やっぱりあんまり厳しいことを
言わないほうがいいのかもしれません…。」

ライター永瀬

SNSに投稿する際にこだわっていることはありますか?


塩見さん

ネイルブックには全デザインを投稿していますが、僕は画像を加工しないようにしています。加工された美しいビジュアルには「いいね!」がつきやすいと思いますが、お客様は実際に爪に塗ったらこうなるという画像が見たいですよね。リアルとの差が出ないように写真を撮って、サロンのロゴをつけるだけにしています。


ライター永瀬

メディアに出ることにはどんな意味がありますか?


塩見さん

最初は、お断りしていた時期もありました。僕には10才になる娘がいるのですが、娘にパパがどんな仕事をしているのか見てほしいという気持ちからメディアに出るようになりました。パパがお客様にネイルを施すことで、お客様の気分が上がり、喜んでもらえる。そこには、経済的な仕組みがあるんだよということも教えることができます。あとは、メディアに出ることでお客様が「私が通っているサロンのネイリストは〇〇に出ていたよ」と自慢できるからです。つまり、お客様のためでもあります。


ライター永瀬

最後に今後の展開を教えてください。


塩見さん

いろんなメーカーさんとコラボしたいです。愛用しているアパレルブランドの方と「なにかできたら面白いね」と話をしているところです。ネイリストが使いやすい道具の開発もできたらいいですね。

あとは、一緒に働きたいというネイリストが増えるといいなと思います。スペース拡大の準備はできているので、セミナーの開催もしていきたいです。

塩見さんがお客様を満足させるための接客術

95%という高リピート率を誇る「NailZERO+」の塩見さん。塩見さんがお客様を満足させるための接客術は下記の3つでした。

1. 職業を聞いてデザインの許容範囲を探る

2. 見た目ギャップをデザインに取り入れて女性の心を掴む

3. どんなデザインかは最後まで言わずワクワク感をプレゼント

お客様の心を掴む塩見さんの接客術の裏側には、なんでもやってみる、お客様の喜ぶ顔が見たい、そして自分自身も楽しみたいというポジティブ精神があるように思いました。

▽前編はこちら▽
無限大のデザインストックは頭の中にある「NailZERO+」塩見隼人さん #1>>

撮影/古谷利幸(F-REXON)
取材・文/永瀬紀子

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Salon Data

池袋 ネイルゼロプラス NailZERO+

住所:東京都豊島区東池袋1-33-3池袋シティハイツ309
ネイルブック:https://nailbook.jp/nail-salon/11218/
インスタグラム:@nailzeroplus_shiomi
Twitter:@NailZEROPLUS
YouTube:Nail ZEROPLUS

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