スポーツトレーナーと理学療法士の違いとは？ なる前に知っておきたい仕事内容と種類
スポーツを本格的にやっていたり、スポーツに関わる仕事をしている人であれば、聞いたことがある言葉だと思いますが、スポーツトレーナーと理学療法士はどちらもスポーツ選手にとって、なくてはならない存在です。
多くの人のイメージとしては、スポーツトレーナーは競技に対する専門的知識を持っている人、理学療法士は医学的な専門知識を持っている人というイメージかもしれません。大まかな内容としては間違っていませんが、他にもそれぞれ役割や種類が多くあるのです。
資格や資格の種類、仕事内容まで重なる部分が存在しています。そこで、今回はスポーツトレーナーと理学療法士の違い、それぞれの資格や仕事内容、それぞれの仕事場所についてを詳しく紹介していきます。
スポーツトレーナーの仕事内容と種類
先ずは順番にスポーツトレーナーと、理学療法士の仕事内容や種類、仕事場所について紹介していきます。スポーツトレーナーは、名称の通り、スポーツのトレーナーを仕事とする人を指します。
スポーツトレーナーの仕事内容
スポーツトレーナーは、スポーツ選手をサポートして技術面や体力面、精神面まで様々な方向からバックアップを行います。
しかし、どのくらい専門的なサポートが出来るかはスポーツトレーナーの知識や技術次第となるため、一概にどういったサポートが出来るかは言えません。
また、資格については後半に説明していくのですが、スポーツトレーナーになるためには資格は必要なく、何も資格を持っていない人でも名乗ることは出来るのです。しかし、専門的な知識がなければサポートは出来ないので、仕事としてやっていけるかはすぐに分かるでしょう。
習得している知識や技術によってサポートの仕方が変わる
スポーツトレーナーと言っても、どのような専門知識や技術を持っているかで変わるため、必要とされている知識や技術を持っているかが大切になります。
雇う側のチームや選手が求める能力をスポーツトレーナーが持っているかどうかがマッチすることで、スポーツトレーナーとしての仕事が出来るので、マッチングのタイミングもあるのかもしれません。
スポーツトレーナーの仕事の種類
具体的に、どういった種類のスポーツトレーナーがあるかというと、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理カウンセラー、公認アスレティックトレーナー、認定アスレティックトレーナーなどがあります。
しかしこれら以外にもスポーツトレーナーとして活躍している人はいるため、どれが良いか悪いかではなく、それぞれの知識や技術を生かして選手のためにサポートできるかが大切です。
医療的にサポート
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、医師、看護師、理学療法士、作業療法士といった資格を持っている人がスポーツトレーナーの場合、選手のケガ予防や、ケガの際の応急処置、復帰までのリハビリなどのサポートを行います。
特に医師であれば、スポーツドクターとして国際大会やイベントなどでも活躍しています。また、資格によって出来る施術、出来ない施術はあるので、資格ごとに確認が必要です。
生活面をサポート
栄養士、心理カウンセラーといった資格を持っている人であれば、選手の生活面に視点を置いてサポートを行います。栄養士であれば普段の食事の見直し、時期や遠征先によって食材の調達から調理まで、密着して行動することも多くなります。
また、心理カウンセラーであればメンタルトレーニング、日常から競技時まで生活を含めた相談によるカウンセリングなど、幅広く対応していくことになります。
総合的にサポート
トレーニングの専門知識、テーピングなどの応急処置、データ管理など、総合的に行うのが公認アスレティックトレーナー、認定アスレティックトレーナーになります。
スポーツトレーナー自身の経験や能力にもよりますが、ストレッチやトレーニング、練習や試合時、ケガの時のテーピング、選手の管理など幅広く業務をこなす専門家です。
資格については後ほど述べますが、国内外の民間資格があり上級資格は簡単には取得できません。また、アメリカでは国家資格として認定されているので、国外で経験を積んだり、資格を取得する人もいます。
競技を引退した選手がスポーツトレーナーになる
医学的な専門的知識を持っている人や、その他の能力を持った人はもちろん、同じ競技で活躍していた選手が引退して、スポーツトレーナーとして再度競技に関わる人も少なくありません。
専門的な知識を持った人のサポートも必要ですが、同じ競技をしてきた人にしかわからない精神的な部分や技術的な部分などのサポートも大切になってきます。
スポーツトレーナーが活躍できる場所
スポーツトレーナーが主に活躍している場所と言えば、スポーツジムになります。他にも、企業のスポーツ施設に勤務したり、介護施設などで運動の補助を行う人もいます。
活躍している人は、プロのスポーツチームや選手個人と契約を結んで、専属スポーツトレーナーとしてサポートを行っている人もいます。
また、個人で独立をして一般の人も含めて、スポーツトレーナーとして仕事を行っている人もいるので、様々な場所・場面でスポーツトレーナーは活躍しています。
理学療法士の仕事内容と種類
理学療法士は、国家資格として病気やケガなどによって運動するための機能が低下した人に対して、運動機能の維持や改善を行う専門家になります。
理学療法士の仕事内容
理学療法士は、痛みや日常の動作に不具合が生じた人に対して、動作療法や温熱、電気などの道具や機器を使って治療を行っていくのが主な仕事内容になります。
仕事場所によっても、使用する道具や手法は変わってきますが、基本は運動療法が行われます。
運動療法
スポーツの現場や、本格的な設備の無い場所での施術・治療を行う場合、運動療法をメインに行っていきます。選手や患者の動作を見て、それに対して身体の動作が正常に動くよう、骨や筋肉などを正常な位置に戻したり、ほぐしたりするなど、症状によって対処していきます。
また、痛みが発生しないように動き方や力の掛け方を指導することで、運動機能を維持させたり、改善することも行います。
道具や機器による治療
病院や診療所などの、医師が常駐しているような施設であれば、医師の指示のもと電気治療や温熱機器を使っての治療、リハビリも可能になります。
理学療法士の仕事の種類
理学療法士はスポーツの現場以外にも、病院や介護施設、個人でも施術を行っています。どこで誰に対して行うかで、少し施術内容も変わってきます。
例えば、スポーツの現場においては選手のケガに繋がる可能性のある動作を改善して予防したり、痛みが出た場合に痛みが出ないように動きを改善したりするのが基本的な施術になります。もちろん、ケガをした場合にはリハビリを行うことも出来ます。
また、病院であればリハビリ患者に対してのリハビリを中心に行い、介護施設であれば動作機能を維持することを第一に、必要があれば改善を行うこともあります。
個人で事業主として開業していれば、スポーツ選手だけでなく、日常動作に痛みや不具合がある人に対して施術を行って、動作の維持や改善を試みます。
競技的な側面から施術も行う
理学療法士には何かしらの競技者として活躍していた人もいます。そういった人は、競技者としての視点も取り入れながら、痛みや動作の不具合に対してアプローチを試みていきます。
理学療法士が活躍できる場所
理学療法士は医学的な専門知識を持っているため、様々な専門職に就くことも可能になります。
代表的な場所としては医療機関である病院やクリニックなどでリハビリ患者に対して治療を行います。また、保健センターや福祉センターなどの行政機関でも募集があれば就くことも可能でしょう。
地域に密着する仕事としては、介護施設やリハビリテーションセンターといったお年寄りの人に対して治療やサポートを行うこともあります。
医療器具を販売するメーカーなどに就職して、開発を行うことで、より多くの人へ貢献するという働き方も出来ます。
スポーツトレーナーとして働く
理学療法士であれば、医学的な専門知識を持っているため、スポーツトレーナーとしてサポートを行うことももちろんできます。プロチームや選手個人と契約をすることで、スポーツ選手をサポートすることも可能です。
また個人事業主として、特定のチームに所属せずに、業務委託といった形で選手やチームのサポートを行う人もいます。契約内容や、自分の働き方によって変わってくるでしょう。
スポーツトレーナーと理学療法士の違いとは？
スポーツトレーナーと理学療法士のそれぞれの仕事内容や仕事場について紹介してきたが、ここではそれぞれの違いについて詳しく説明していきます。
理学療法士はスポーツトレーナー？
理学療法士はスポーツトレーナーとして仕事をしている人もいますが、もちろん理学療法士として仕事をしている人もいます。また、いずれかをメインで行いながら、もう一方の仕事をしている人もいます。
つまり、理学療法士がスポーツトレーナー、もしくは両方として仕事をしている人がいるという事になります。
スポーツトレーナーとしてそれぞれの仕事内容の違い
理学療法士がスポーツトレーナーとして仕事をしている場合、どのような仕事内容かというと、病院などの道具や機器は医師の指示がない限りは使用できないので、基本的には運動療法を行っていくことになります。
動作や身体を動かして、正常でない部分を改善したり、痛みを悪化させないように維持を図ったりします。身体の内部構造など、専門的な観点から施術を行うのが理学療法士の知識を持ったスポーツトレーナーの仕事内容になります。
一方、公認または認定スポーツトレーナーの資格を持っている人は、一般的なテーピング技術やトレーニング知識など、医学的な知識がありますが、理学療法士が行う施術はすることができません。
あくまで一般的なケアやトレーニングになるため、施術などの専門的な行為は不可能になります。
資格における違い
決定的に違うのは、スポーツトレーナーと理学療法士の資格における違いです。国によっても違いはありますが、日本の場合ではどうなのかを紹介します。
日本のスポーツトレーナー
日本のスポーツトレーナーの資格は、民間団体が発行している民間資格になります。日本スポーツ協会や特定非営利活動法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会が発行している資格になります。
いずれもスポーツトレーナーとして必要な知識や技術が求められ、必要な期間の学習と、試験の合格によって資格を得ることが出来ます。
しかし民間資格のため、資格を持たない人がスポーツトレーナーとして仕事をすることも可能になります。資格を持っていない人でも、素晴らしい知識や技術を習得している人もいますが、そうでない人が名乗って仕事をしている場合も現状ではあります。
海外のスポーツトレーナー
スポーツトレーナーの本場であるアメリカでは、スポーツトレーナーは国家資格として認められています。そのため、スポーツトレーナーに対する認知も高く、日本では考えられないくらい充実した環境が整えられている施設もあります。
高校や大学、企業などでもスポーツトレーナーは専用のルームが用意させており、スポーツ選手や、運動に関する相談を日々行っています。
日本で民間資格を取得したスポーツトレーナーが、アメリカで経験を積みながら資格を取得することもあるので、スキルアップやキャリアアップを目指したい人はアメリカ留学も検討してみると良いでしょう。
理学療法士
理学療法士は日本では国家資格として認められています。厚生労働省や文部科学省に認定された専門学校や大学などで3年以上の学習を行い、国家試験に合格した人のみ資格が発行されます。
どのような道に進むのかしっかりと決めてから選ぶようにしてください
どの道を選んでもスポーツトレーナーとして選手をサポートすることは可能です。しかし、どういった方向からサポートを行うのかは、スポーツトレーナーと理学療法士では大きく違うため、合う方を選択するようにしましょう。
もちろん、両方の資格を取得してスキルアップをしている人も多くいるので、そういった積極的な姿勢をいつでも忘れずに選手や自分と向き合って仕事をしていくと良いでしょう。
スポーツトレーナーと理学療法士では資格の取り方も、必須条件もそれぞれ違うので、しっかりと下調べを行い、時間や費用などの情報を整理してから計画を立てて実行するようにしていきましょう。
