手荒れを乗り越えて、好きな美容師の仕事を続けられています。
この世に手業を生業にしているサービス業はどれぐらいあるのでしょうか?手一つで人を喜ばせたり、疲れを取ったり、美しくしたり、癒やしたり・・・。これってすごいことですよね。
このコラムは、手業を生業にしている美容からヘルスケアの業界の方々にフォーカスをしたプロフェッショナルインタビューです。その人の手が語る物語をお楽しみいただければ幸いです。
モアリジョブ編集部
私の手にしか、できないシゴト。 田村結花さん
――美容師を目指したきっかけは?
田村 小さい頃からおしゃれをするのが好きで、興味があり、叔母がメイクをするのをよく見たりとかしていましたね(笑)。進路を決める際に「美容師だったら洋服も好きなのを着られるし、髪型も自分の好きな髪型ができるよ。」って言われたのがきっかけで、美容の道に進もうと思い、美容師を目指しました。
――美容師になったばかりの頃の気持ちは?
田村 毎日ワクワクしていました。新人なので、お客様の施術にはまだ入ることが出来なかったのですが、シャンプーやドライ(髪の毛を乾かす)の担当をやらせてもらっていました。その中で、まだお客様担当でもない私に、「ありがとう」と感謝の言葉を言ってくださるお客様がいると、やっぱり美容師になって良かったなとか、接客業の醍醐味ってこういうところなのかなって感じました。
――美容師になられてからの失敗談を教えてください。
田村 色々ありますね・・・。お客様をシャンプーしている時に、襟をちょっと濡らしてしまったりとか、前日夜遅くまで練習をしていて、翌日は寝不足で、営業中にちょっと眠くなってしまって、ちょっとウトウトしてしまったことでしょうか(笑)。
――成功談は?
田村 はっきりと成功談と言えるものではなくて、美容師あるあるだと思うのですが・・・。お客様から「あなたにやってもらって良かった」とお声を頂いたり、私個人を認めていただけた時が、今までの頑張りが報われているなって感じました。お客様からお声をいただけた日は、頑張ってきて良かったと、仕事終わりにルンルンで帰りましたね(笑)。
――思い出のお客様はいらっしゃいますか?
田村 他のスタッフのお客様で、ヘルプとかに入っていく中で親しくなったお客様でしょうか・・・。今でも心に残っているんですけど、担当でもない私がお店を辞める時に、涙を流して悲しんでくれたんですよね。そのお客様と深い繋がりと言うか、関係になれたのは、今でもいい財産だなって思います。
――今まで美容師を辞めたいと思ったことは?
田村 ありますね。美容師になったばかりとスタイリストになった頃に・・・。
――何が原因だったんですか?
田村 アシスタントの頃は、単に仕事がキツイとか、いつになったらスタイリストになれるんだろうという葛藤とかで辞めたいと思ったこともありました。それを乗り越えて、スタイリストになってからは、手荒れの酷さが原因ですね。手荒れが体にまで広がってしまって・・・。メンタルではなく、体に大きな症状が出てしまい、これからどうしようかなってものすごく考えました。
――美容師としては致命傷の手荒れですが、手荒れが出た後も美容師として働いていたんですか?
田村 手荒れが原因で、勤めていた美容室を辞めました。美容室を辞めた後も美容業界に携わりたいと思い、その中でも手荒れの心配がないかなと、エステの脱毛サロンに転職しました。エステサロンに転職してしばらく経つと、このまま本当に美容師を辞めてしまっていいのか葛藤がありました。せっかく美容師免許を取って、スタイリストにまでなって、お客様の髪の毛を切れるのに、美容師免許が必要ない仕事を続けていていいのかと・・・。美容師に戻って自分の技を生かしたい、美容師を諦めたくない、捨てきれないと思い、美容師に戻りました。美容師に戻って久しぶりにお客様の髪の毛を触りながら、「そうこの感覚」ってワクワクしましたね。
――美容師として再就職した先がスヴェンソンですか?
田村 手荒れが原因で一度、美容師を辞めているので、手荒れをいかにせずに美容師を続けられるかを、一番に考えて美容室を探しました。通常のサロンだと、女性のお客様はカラーリングすることが多く、カラー剤でも手荒れを起こしてしまうので、カラーリングをしない、薬剤にあまり触れなくてすむサロンに転職しようと考えました。その中で、自分の条件に合っているのはメンズ専門のサロンなんじゃないかと考えて、メンズに絞って探していて、スヴェンソンに出会いました。
――今までのサロンスタイルとは違い、男性ばかりの対応に抵抗はありませんでしたか?
田村 抵抗はなかったですね。ただ、ウィッグは初めてで、製品(ウィッグ)の造りやお客様のウィッグを着ける前と後のお姿の違いには、少し驚きました。
――お客様のタイプはどうですか?
田村 今まで勤めていたサロンの客層とは違いますね。ご来店されるお客様は、ご自身の髪の毛が薄いことを理解されているんですね。会話の中で、「この頃薄くなっちゃってさ。」と、気軽にご相談いただきます。今までのサロンではない会話なので、最初の頃は、なんてお答えしていいか、対応が難しかったのですね。今では、お客様に対して、いかに傷つけづにお答えするかを考えて入客しています。
――お客様に提供する技術の幅の違いはありますか?
田村 私はウィッグを着けているお客様の対応はまだできないので、イマイチどのぐらいなのかは分からないんですけど、通常の美容室よりは狭いんだろうなと思っています。ただ、私が入客してお客様にご提供させていただいている技術に対しては、物足りないとかは特に感じてませんね。ご来店されるお客様は、普通の美容室と変わりないスタイルをご希望される方が多いので、今まで通りカットの技術を発揮することができています。
――田村さんにとっての恩師は?
田村 以前勤めていたサロンで、ずっと面倒を見てくださった先輩ですね。日々の勉強はもちろんですけど、営業中とか営業後の関係ないところでも、食事に連れて行ってくれたり、相談に乗ってくれたり、仕事だけではなくプライベートでも構ってくれるというか、面倒見てくれて・・・。その先輩がいなければ、もっと早くに美容師を辞めていたと思います。常に寄り添ってくれた先輩で、ものすごく感謝しています。
――仕事とプライベートのバランスはいかがですか?
田村 私は、美容師になってからも比較的上手く取れている方だと思います。スヴェンソンに入社してからは、プライベートがどんどん充実しているなって感じています。前職では、隔週休みだったので、週に2回の休みは取れなかったのですが、スヴェンソンでは、週に2回お休みが絶対もらえるので、より私生活に割ける時間が増えました。今は、仕事もプライベートも理想的なバランスが取れています。
――将来の自分はどうなっていると思いますか?
田村 スヴェンソンは、産休や育休などがしっかりしていて、女性に優しい会社なので、将来的に長く働けているだろうなと想像できるんですね。前職のサロンに勤めていた頃は、ハードワークや制度の問題で、結婚したら辞めてしまうだろうなと思っていました。今は、より長い未来まで思い描ける環境かなと。女性としてライフスタイルの変化があったとしても、美容師として、この会社で働いていきたいなと思っています。
――最後に、業界や美容師を目指している方に一言。
田村 私がここに入社して美容師を諦めずに済んだので、きっかけがあって美容師を辞めたいとか、美容師をやりたいけど手荒れとか、障害があって辞めようと悩んでいる人にとっては、スヴェンソンをお勧めしたいですね。手荒れが原因で、一度は美容師を諦めた私が、手荒れを気にせず働けているのは、手荒れ防止のための手袋やシャンプー剤、その他サポートを会社が用意してくれているからなんですね。会社には本当に守ってもらっていると思いますね。
前職に勤めていた時に、毎年・毎年、新入社員が入社してきていたんですけど、その中の半分ぐらいは辞めていってしまったんですね。それを見ていていつも思ったのが、美容師に合わない子は合わないのかなって・・・。残った新入社員を見ていると、自分で好きになれる部分を見つけていて、それをモチベーションに頑張れていたのかなと思います。これから美容師を目指している方には是非、自分の中での楽しみを見つけていただきたいと思います。また、私のように手荒れが原因で一度は美容師を諦めましたが、美容が好きという気持ちさえあれば、この素晴らしい仕事を続けていくことができるんだということもお伝えしたいですね。