ホームヘルパーの家事援助の内容とは? ほかにはどんな支援をするの? 医療行為はどこまでできる?
ヘルパーの仕事内容は、介護保険法に基づいて実施されます。ケアマネージャーがサービスを利用する人の要支援・要介護度に合わせて作成したケアプランをもとに業務をおこなうのが特徴です。今回は、ホームヘルパーがおこなう家事援助の内容や他のサービス内容、実施できる医療行為の範囲などについて詳しくご紹介していきます。
ホームヘルパー(訪問介護員)の家事援助の内容とは?
こちらでは、ホームヘルパーがおこなう家事援助の具体的な内容についてお話しします。
調理や掃除、買い物の代行など
ホームヘルパーがおこなう家事援助サービスについては、以下のとおりです。
・調理
・掃除
・洗濯
・買い物の代行
まず、調理に関しては利用者が食べる分だけを限られた時間の中で作っていきます。あくまでも、利用者向けのサービスであるため、その家族の分まで作るということはできず、利用者が食べる最低限の料理を準備するのが基本です。
掃除も業務内容となっており、ホームヘルパーは利用者が使っている家のスペースや場所を掃除します。例えば、利用者が使っているリビングや台所、トイレ、階段、お風呂などが掃除対象です。
ちなみに一度綺麗に掃除をしたところは、一週間のうちに何度も掃除をすることはありません。また、利用者が使っている場所というのがポイントなので、それ以外の場所を掃除することはできないことになっています。
それから洗濯に関してですが、洗濯機に汚れた物を投入し、洗って干す・乾いたら畳んでしまうというのが一連の作業です。洗濯物の干し方や干す場所などは、利用者によって異なります。そのため、長年おこなってきた利用者のやり方を尊重しつつ、できる範囲で実施することが大切です。
また、ホームヘルパーは利用者に代わって買い物にも行きます。買い物では、必要な日用品や食料などを購入しますが、これも必要最低限のものに限られるため、利用者の趣味や嗜好品、家族のものをついでに購入するということはできません。買い物は利用者が使う必要最低限のものであるのがポイントです。
サービスは利用者が必要とする生活支援のみ
ホームヘルパーが提供する生活援助のサービスについて、サービスとして提供できる内容とそうでない内容をきちんと理解しておかなければいけません。生活援助サービスは、介護保険法に基づき、利用者の要支援・要介護度に合わせて、利用者ができないと判断したものに関して実施していくことになっています。
厚生労働省によると、「直接利用者の援助に該当しないサービス」「日常生活の援助の範囲を超えるサービス」に関しては、ホームヘルパーのサービスとして提供できないことを理解しておきましょう。
「直接利用者の援助に該当しないサービス」として当てはまるのが、利用者の家族のためにおこなう家事や来客が来たときの対応などです。これらは利用者以外の人を対象とした行為になるため、ホームヘルパーは家族や利用者にお願いされたとしても実施することはできません。
また、「日常生活の援助の範囲を超えるサービス」に当てはまるのが、庭の草取りやペットのお世話、大掃除、窓のガラス磨き、お正月の準備などです。ホームヘルパーがおこなう生活援助サービスは、あくまでも利用者が最低限の生活を維持できるようにするためなので、それを超えたサービスはおこなうことはできません。
家事援助以外の提供サービスを解説!
ホームへルパーは、利用者が最低限の生活を送れるよう、家事援助以外にもさまざまなサービスを提供します。こちらでは、家事援助以外に当たるサービスについて詳しくご紹介していきます。
介護サービス|身体介助
ホームへルパーがおこなえるサービスとして、「身体介助」があります。具体的な介助としては、食事や排せつをはじめ、入浴、衣服の着脱や移動介助などです。
利用者が安全に、安心して生活を送ることができるように介助をおこないます。利用者の身体状況に合わせて、誤嚥や転倒によるけがなどをはじめとしたリスクに注意しながら、慎重におこなうことが大切です。
利用者や家族の精神的ケア
ホームへルパーがおこなうのは、利用者の身の回りのお世話だけではありません。身体的な面のみならず、精神的なケアをおこなうという重要な役割を担っています。介護サービスを受ける利用者や、利用者を見守る家族は精神的なストレスや悩み・不安を抱えやすくなりがちです。
ホームヘルパーはサービスを提供しながらも、利用者やその家族の相談に乗り、思いを傾聴しながら、必要なときには周りのスタッフと状況を共有して、問題解決のために精神的ケアをおこなうという場面もあります。そのため、利用者や家族を思う気配りやコミュニケーション能力が求められる仕事です。
通院の手助けなど
利用者が自分で病院へ行くことができなかったり、家族になんらかの事情があって付き添いも難しかったりする場合は、ホームヘルパーが通院の手助けをおこなうことがあります。利用者を車に乗せて一緒に病院へ行ったり、利用者の代わりに薬の受け取りに行ったりするなどの手助けです。
利用者が安全かつスムーズに通院できるよう、乗車・移送・降車は慎重に実施します。しかし、すべての施設でできるものではなく、一部の施設ではサービスとして実施していないところもあることを理解しておきましょう。
ホームヘルパーができる医療行為とは?
次に、ホームヘルパーが実施できる医療行為についてご紹介します。医行為ではないと考えられるものと、規制の対象とする必要がないものが該当します。まずはホームヘルパーができる行為を表にまとめてみましたので確認してみてください。
【医行為ではないと考えられるもの】
水銀体温計・電子体温計を使った計測(腋下)
耳式電子体温計での計測(外耳道)
自動血圧測定器での血圧測定
入院治療が必要ない人に対するパルスオキシメータの装着
(新生児以外)
軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の処置
(専門的な判断や技術は不要で汚物で汚れたガーゼの交換を含む)
軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く)
湿布の貼付
点眼薬の点眼
一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)
肛門からの坐薬挿入
鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助
【規制の対象とする必要がないと考えられるもの】
爪ヤスリを使用したやすりがけ
歯ブラシや綿棒、巻き綿子などを使用しての
歯や口腔粘膜、舌に付着した汚れの除去
耳あかの除去(耳垢塞栓の除去を除く)
ストマのパウチにたまった排泄物の廃棄と交換
(肌に接着したパウチの取り替えは含まない)
カテーテルの準備、体位の保持(自己導尿の補助)
浣腸(市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器の使用)
服薬管理はできる?
服薬管理に関してですが、結論からいうとホームヘルパーは服薬管理をすることはできません。「服薬管理」ではなく、実施できるのは「服薬介助」になります。
これはサービスの中で身体介助のひとつとして提供できる内容になり、利用者が決められた薬を忘れることなく、きちんと飲めるようにするための行為です。あくまでも利用者自身が薬を飲むという行為ができることを前提に、声掛け・内服後の確認、片付けまでを実施します。
ホームヘルパーがおこなえる医療行為の範囲が明確にはなっていますが、医療行為に関する研修や講義などは義務にはなっていません。安全な医療行為をおこない、事故を防止するためにも、行為に関する知識や技術はきちんと習得しておくことが大切です。
ホームヘルパーの家事援助は利用者の生活を支援するサービス
ホームヘルパーがおこなえる家事援助サービスなどは、幅広く多岐にわたっているのが特徴です。専門的な知識と技術でホームヘルパーは、利用者の最低限の生活を支える大切な役割を担っています。身体的面だけではなく、精神的なケアもおこないながら、利用者やその家族が、日々安心して過ごすことができるよう、訪問介護のスタッフと連携したり、きめ細やかな配慮をしたりすることも大切です。
出典元
・厚生労働省 訪問介護
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group2.html
・全国ホームヘルパー協議会 ホームヘルパーってどんな仕事
https://www.homehelper-japan.com/%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E8%B3%87%E6%96%99%E9%9B%86/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E4%BB%95%E4%BA%8B/
・全国福祉協議会 訪問介護員
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikaku/setsumei/05.html
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2895&dataType=1&pageNo=1
・けあサポ 服用管理の範囲
http://www.caresapo.jp/fukushi/qa/houmon/pd4fc80000000z4e.html