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特集・コラム 2022-12-07

理学療法士試験の合格率はどのくらい?合格に向けた勉強方法や理学療法士の就職先をご紹介

理学療法士は、国家資格を取得することでその業務にあたることができます。理学療法士を目指すのであれば、試験勉強は避けて通れません。国家資格は、合格率が低いイメージを持たれる方がいるかもしれませんが、理学療法士試験の合格率は高いです。

今回の記事では、理学療法士試験の合格率と合格に向けた勉強方法、就職先についてご紹介します。

理学療法士国家試験の合格率はどのくらい?

試験を受験するにあたり、合格率は気になるものかと思います。最新の理学療法試験の合格率や過去の合格率の紹介に加えて、他の国家資格の合格率も比較します。

また、理学療法士試験は新卒者と既卒者で合格率に特徴があります。そちらも合わせて参考にしてください。

理学療法士国家試験の概要を紹介

理学療法士は国家資格のため、厚生労働省が実施する理学療法士国家試験を受験する必要があります。口述および実技試験は、重度視力障がい者のみが対象となります。

実施場所は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・香川県・福岡県・沖縄県の8都道府県。口述および実技試験は、東京都でしか実施されないので注意が必要です。

試験内容は、一般問題と実地問題にわけられているのが特徴。一般問題は解剖学や生理学などの基礎知識、実地問題は運動学やリハビリテーション医学などの専門知識が問われます。

理学療法士国家試験の概要を紹介|受験願書を取り寄せるにはどうすればいいの?

第57回の合格率は79.6%

理学療法士試験は、令和4年2月20日に実施されたものが最新です。厚生労働省「第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について」で公表されている理学療法士試験の合格率は、79.6%です。次に過去試験の合格者等の数をご紹介します。

第53回から第57回の合格者数の推移

2018年から2022年の理学療法士試験の受験者数と合格者数、合格率を見ていきましょう。
第53回から第57回の合格者数の推移受験者数は、毎年1万人を超えており、合格率は2020年が最も高いです。直近3回の試験では、合格率が75%を超えていることが分かります。

新卒者と既卒者の合格率

先ほどの表を参考にすると既卒生の合格率も分かります。それを踏まえて新卒者と既卒者の合格率の違いを見ていきましょう。
作業療法士国家試験の合格率新卒者の合格率は、毎年安定している一方で、既卒者の合格率は年によってバラつきがあります。既卒者は、働きながら勉強時間を確保する必要があるため、充分な勉強時間が確保できていないことも理由の一つに挙げられるでしょう。

作業療法士国家試験の合格率と比較

作業療法士は、理学療法士と同様に病気や障害のある方にリハビリテーションをおこなう仕事です。理学療法士が歩く・立つなどの基本動作をメインに訓練する一方、作業療法士は入浴・トイレ・食事などの生活のなかで必要な動作の訓練をおこないます。

作業療法士国家資格の合格率は近年80%前後と、理学療法士とほぼ変わらない数字になっていました。そのため、作業療法士と理学療法士試験でどちらがむずかしい・やさしいということはないようです。

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理学療法士試験の合格基準を紹介!


実際に試験を受けるのであれば、どのくらいの点数を取れば合格できるのかが気になるのではないでしょうか。

ここでは、2022年におこなわれた第57回の試験の情報にもとづいた合格基準をご紹介します。

配点|一般問題1問1点・実地問題1問3点

問題は、一般と実地の2つにわけられます。配点は、一般問題は計160問(1問1点)、実地問題は計40問(1問3点)です。実地問題は一般問題と比べ1問3点と配点が高く、より実践的な難易度の高い問題となります。

合格基準点|総得点164点以上・実地問題40点以上

2022年におこなわれた第57回の合格基準ですが、一般と実地で配点が異なります。

・一般問題 1問1点(158点満点)
・実地問題 1問3点(114点満点)

総得点272点満点中164点以上かつ、実地問題114点満点中40点以上が合格基準となっています。

理学療法士試験に向けた効率的な勉強方法


理学療法士試験の合格率は高いですが、安心してはいけません。理学療法士に必要な知識は多いです。また、カリキュラム後半では、実技演習が本格的に始まります。そのため、試験勉強に割ける時間が限られてしまいます。

その中で、試験に合格するためには効率的に勉強する必要があります。試験合格に向けた勉強方法を4つご紹介します。

1.勉強スケジュールを立てる

勉強スケジュールを立てることは、試験へ向けた重要な取り組みです。理学療法士試験は2月に開催されるので、スケジュールを立てるにはこの開催月から逆算して考えます。実技演習が始まる時期を考慮して、最低でも試験が開催されるまでの1年で計画するといいでしょう。

勉強スケジュールを立てる際は、基礎知識・専門知識・苦手の分野の勉強・過去問を解くの4つをベースに考えます。前半は基礎知識と専門知識に取り組み、後半からは苦手分野の勉強と過去問をメインにして、必要に応じて基礎・専門知識の勉強をします。

スケジュールを立てることが苦手な方も、大雑把でも構わないので予定を立ててみてください。また、実行していく中で修正していくのもいいでしょう。

2.苦手な分野を知り対策する

試験において、苦手分野の対策は避けて通れません。苦手分野が足を引っ張り、試験に合格できなかった、ということも十分に考えられます。苦手分野を克服するには、苦手となった部分まで遡って学び直したり、苦手分野だけをまとめたノートを作成するといいでしょう。

自分で解決することが難しい場合は、周りに聞くことで効率よく進められます。

ここで注意しておくことは、苦手分野に時間を使い過ぎないことです。苦手分野に時間をかけ過ぎると、他の勉強が疎かになります。苦手な分野は、必要最低限にしましょう。

3.過去問を繰り返して解く

過去問を解くことで、苦手箇所の発見や、試験問題の傾向を知ることができます。大切なことは、過去問を1周解くだけで終わらせるのではなく、繰り返し解くことです。なぜなら繰り返して解くことで知識が定着するからです。

解答を覚えてしまうくらいの気持ちで過去問に取り組むことも、いいかもしれません。

4.模擬試験を活用しよう

スクールなどで実施している模擬試験を活用するのもおすすめです。なかには、オリジナルの解説がついており、復習がしやすく効率的に学習できるものがあります。

模擬試験の受験者と自分の成績を比較できるので、モチベーションアップにもなるでしょう。ひととおり過去問を解いたら、このような模擬試験に取り組むのもおすすめです。

合格後の手続きについて


理学療法士は、試験に合格して終わりではありません。合格後に、必要な書類を準備して手続きをします。この手続きをしないと、理学療法士として働くことができません。理学療法士試験合格後の手続きについてご紹介します。

免許を申請する

理学療法士試験に合格すると、試験を受ける際に登録した住所へ合格証書が届きます。合格証書が届いた後は、免許証を発行するために住所地の保健所で申請します。その際に必要なものは以下の通りです。

・理学療法士免許申請書(所定用紙)
・健康診断書(所定用紙)
・住民票の写し
・登録済み証明書
・9,000円(登録免許税)

理学療法士の申請概要や専用用紙は、厚生労働省ホームページの資格申請案内で確認・発行できます。

申請から免許取得にかかる期間

理学療法士免許の申請登録が終わると、2日以内に登録済証明書が発行されます。この証明書が発行されることにより、理学療法士の業務に携わることができるようになります。免許証が届くまでにかかる期間は、免許登録後からおよそ2〜3カ月です。

理学療法士の業務をおこなうためには、免許申請をした後に厚生労働省の有資格名簿に登録されなければいけません。免許申請をしていない、もしくは名簿に登録される前に業務に従事すると、行政処分の対象になるため注意しておきましょう。

理学療法士の就職先はどこ?

1.主な就職先は病院

理学療法士の職能団体である公益社団法人日本理学療法士協会の会員分布によると、病院に勤務している理学療法士の人数が7万人程度います。この人数は、全体の半分以上を占めています。

病院で働く理学療法士が多い理由は、病院の数と種類が多く、募集している理学療法士の数も多いことが挙げられるでしょう。病院には、総合・一般・大学・老人・小児などがあります。病院が対象としている患者によって必要な知識が少し異なるため、就職先を探す際はよく確認するようにしましょう。

2.介護老人保健施設

医療福祉中間施設の介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す方へ向け介護サービスを提供します。自身で生活を送れるように、リハビリテーションや生活時に対面する問題を想定した訓練をおこないます。

その他にも、福祉用具の選び方や利用者の家族へ介助指導、住宅改修の助言等をするため、身体の知識だけではなく福祉に関する知識も必要になるでしょう。

3.診療所(クリニック)

診療所は、病院に次いで公益社団法人日本理学療法士協会の会員が多いです。診療所は、主に体の痛みや機能障害の方を治療します。理学療法士が働く診療所は、主に整形外科が多く、脳神経外科や循環器内科などで働く場合もあります。

就職する診療所の診療科によって担当する疾患が異なるため、事前に担当疾患を確認しておくようにしましょう。

4.デイサービス・通所リハビリテーション

デイサービスや通所リハビリテーションでは、主に介護認定を受けている高齢者へ必要な介護やリハビリをおこないます。主に運動療法・物理療法・住宅環境改善の提案をします。ただし、就職先によっては、他の職種の業務もおこなうことがあります。

5.講師

講師は、理学療法士を目指す方を対象に、授業や進路相談をおこないます。臨床の仕事は実地演習の際におこないますが、介護等を対象にした仕事ではないため、ほとんどありません。理学療法士に関する知識はもちろんのこと、指導能力を必要とします。

理学療法士試験の合格率は高い


理学療法士試験の合格率と、合格に向けた勉強方法を主にご紹介しました。試験合格率を見ると、全体の合格率は毎年安定的に高いです。しかし、新卒者と既卒者に分けて見た場合、新卒者の合格率は安定している一方で、既卒者の合格率にはバラつきがあります。

理学療法士試験に合格するためには、計画的な勉強スケジュールを立てることが大切です。しかし、計画通りに日々勉強しなければいけません。試験勉強で困っている方は、ぜひ今回ご紹介した勉強方法を取り組んでみてください。

引用元
厚生労働省:理学療法士国家試験の施行
厚生労働省:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第56回理学療法士国家試験及び第56回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第55回理学療法士国家試験及び第55回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第54回理学療法士国家試験及び第54回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:第53回理学療法士国家試験及び第53回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省:資格申請案内
公益社団法人 日本理学療法士協会:統計情報|協会の取り組み

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