障害者支援施設とはなに?仕事内容・給料・役に立つ資格をご紹介
介護の仕事は、高齢者に限らず、障がいを持つ方のサポートをすることです。仕事内容は、高齢者と障がい者のどちらを対象とするのか、さらに施設によってそれぞれ異なります。障がい者施設への就職を検討している方は、違いを知っておくことでミスマッチを防ぐことができるでしょう。
今回の記事では、障がい者が利用する障害者支援施設の仕事内容や給料、役に立つ資格についてご紹介します。
障害者施設(障害者支援施設)とは
障害者支援施設とは、自宅で生活することが困難な障がい者へ向け、施設入所支援や障害福祉サービスを提供する施設のことを指します。施設入所支援とは、主に日常生活の支援・利用者の相談援助・夜間介護を行う支援です。障害福祉サービスは、障害者総合支援法に定められているサービスの提供です。
障がい者向けの支援サービスは種類が多く、ひとつのサービスに特化した施設もあれば、複数のサービスを提供する多機能型事務所もあるため覚えておきましょう。
次に、障害福祉サービスで覚えておいていただきたい3つのサービス、生活介護・自立支援・就労移行支援についてご紹介します。
生活介護
生活介護は、食事・入浴・排泄など昼間の日常生活で介護を必要としている方の介護や創作的活動・生産活動の機会を提供、その他援助を行うことをいいます。サービスを利用するための主な条件は以下の通りです。
・50歳未満で障害者支援区分3以上(施設入所支援も利用する場合は区分4)の方
・50歳以上で障害者支援区分2以上(施設入所支援も利用する場合は区分3)の方
自立訓練
自立訓練は、機能訓練と生活訓練の2つに分かれており、両者共に日常生活や社会生活を自立して送れるようにサービスを提供します。機能訓練では、身体機能の維持と向上するための支援や訓練を行い、生活訓練では生活能力の維持と向上に必要な支援や訓練を行います。
いずれも生活能力の維持または向上のために、一定の支援が必要な障がい者を対象にサービスを提供します。
就労移行支援
就労移行支援は、企業等に就職を希望する方へ向け、就職に必要な知識の習得や能力を向上するためのサポートを行うことをいいます。具体的には、履歴書の添削・面接の練習・職場探しのサポートなどが挙げられます。
基本的に就労を希望する、65歳未満の障がい者を対象にしています。65歳以上の場合でも支援を受けることは可能ですが、条件を満たさなければいけません。条件は、厚生労働省「障がい者総合支援法における就労系障害福祉サービス」より引用します。
”65歳に達する前の5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた方で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた方は、当該サービスについて引き続き利用することが可能”
引用:障害福祉サービスの内容 |厚生労働省
以上、生活介護・自立支援・就労移行支援の概要と対象者についでご紹介しました。障害福祉サービスは他にもあります。すべてのサービスを確認したい方は、厚生労働省「障害福祉サービスについて」を参考にしてください。
障害者支援施設の利用対象者
障害者支援施設の主な利用対象者は、障害支援区分4以上の18歳から50歳の方、もしくは50歳以上で障害支援区分3以上の方です。
他にも、自立訓練や就労移行支援を利用している方で、施設に入所しながら訓練などの実施が必要かつ効果的と認められた場合、もしくは通所しながら訓練を受けることが困難な方も利用対象に含まれます。
詳細を知りたい方は、厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」を参考にしてください。
利用者の状況
厚生労働省が公表した「令和元年 社会福祉施設等調査の概況」では、障害者支援施設等の数は5,636施設あり、在所者数は入居者数と通所者数を合わせて154,831人います。
また、厚生労働省の「障害福祉サービスの利用実態調査報告書」によると、利用者のへ平均年齢は、52.9歳です。最も利用が多いのは、60代で25.9%です。
障害者支援施設で働く方の職種と仕事内容
障害者支援施設では、サービス管理責任者・生活支援員・職業指導員・就労支援員の他に、理学療法士や作業療法士など、サービスに応じるためにさまざまな職種の方が働いています。ここでは、4つの職種の仕事内容をご紹介します。
サービス管理責任者以外の職種は、資格を必要とせず未経験から挑戦できます。業界の経験がなく、障害者支援施設で働くことを考えている方にはおすすめかもしれません。
サービス管理責任者
サービス管理責任者は、障害福祉サービス利用者のサービスプランを作成することが主な業務です。他にも事業所スタッフの指導や関連事業所との連携をとりながら仕事をします。サービス提供として重要な役割を担っています。
サービス管理責任者になるためには、資格が必要です。詳細は下記の記事をご確認ください。
サービス管理責任者資格の要件とは?仕事内容と働ける場所について解説
生活支援員
生活支援員は、入浴や衣類の着脱などの日常生活のサポートや、創作生産活動のサポートを主として行います。施設や事業所によっては、就労支援を行うことがありますが、それをメインで行うことはありません。日常生活のサポートをしたい方にはおすすめです。
生活支援員は資格が必要というわけではありませんが、資格を持っておくことで知識を習得し、サポート時の役に立ちます。下記の記事では、おすすめの資格を4つご紹介していますので、参考にしてください。
生活支援員の仕事とは? 目指すには資格が必要?|お給料はどれくらいもらえるの?
職業指導員
職業指導員は、サービス利用者が社会生活を送るために、仕事で必要な知識の習得や技術向上をメインにサポートする職種です。
日常生活をサポートする生活支援に対して、職業指導員は、社会で生活していくための支援や働く上で必要な技術を習得させる訓練、指導を行います。例えば、パソコン・印刷・木工・農園芸などが挙げられます。
就労支援員
就労支援員は、企業等への就職を希望、かつ支援を必要とする方へ就労の支援を行います。就労支援員は職業指導員と違い、仕事探しをメインにサポートします。支援を必要とする方は、ひとりで仕事を選ぶことが困難だと考えられます。そこで就労支援員は、ハローワークや就職先候補の会社などと連携をとり、サポートをします。
職種別の給料
厚生労働省が公表した「令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果」によると、職種別の平均給与額は以下の通りです。
これらのデータは、福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)の届出を出している施設・事業所で働く常勤者の数字です。非常勤の場合は、上記と表と数字が異なるため、データを確認したい方は、厚生労働省のページから確認しましょう。
障害者支援施設と障害者グループホームの違い
障がいを持つ方向けのサービスといえば、障害者グループホームをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、障害者支援施設と障害者グループホームでは、経営母体と利用対象者が異なります。
障害者支援施設の運営は、国・地方公共団体・社会福祉法人であるのに対して、障害者グループホームは、NPO法人・社会福祉法人・株式会社などが運営しています。
また、障害者支援施設では利用対象に条件があるのに対して、障害者グループホームには利用対象に決まりがありません。
障害者支援施設で働く魅力
これから障害者支援施設で働くことを考えている方にとって、仕事に対する不安は大きいかもしれません。もちろん失敗してしまうこともありますが、障害者支援施設で働くことにはたくさんの魅力があります。
日々の介護や支援によって、サービス利用者が成長していく姿を見られることはやりがいを感じるひとつでしょう。また、障害者支援施設は幅広い年代の方が利用します。さまざまな方と関わり、年代ごとに必要な介護知識を得られることは、スキルアップに繋がります。
障害者支援施設で働く際に役立つ資格
障害者支援施設で働く方の職種と仕事内容の項目でもご紹介した通り、障害者支援施設では、サービス管理責任者以外の職種は基本的に資格を必要としません。しかし、資格を取得することは知識量が増え、仕事で役に立つ上にキャリアアップにも繋がります。おすすめの資格は5つあります。
・介護職員初任者研修
・介護福祉士実務者研修
・介護福祉士
・社会福祉士
・精神保健福祉士
職業指導員や就労支援員を目指す方は、キャリアコンサルタントの資格もおすすめです。
まずは職種を決めることから始める
障害者支援施設の仕事内容や種類を、主にご紹介しました。障害者施設の種類はさまざまで、施設によって役割が異なっています。また、各施設で働く職種の数は多く、仕事内容も違います。
障害者支援施設もしくは他の障害者施設へ就職しようと考えている方は、まず職種を決めることから始めましょう。仕事内容は自分に適しているか、能力を発揮できるか、事前に調べてから決めることをおすすめします。
厚生労働省:令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果
厚生労働省:「障がい者総合支援法における就労系障害福祉サービス