保育士の実技試験とは? 試験内容を紹介|受験対策のポイント5つを紹介
保育士になるためには、筆記試験の合格後に保育技術を確認する実技試験を受けなければいけません。「筆記試験の対策方法はわかっていても、実技試験ではどのような試験内容で、どんな対策をするといいのかわからない」と悩んでいる人も多くいるのではないでしょうか。
この記事では、実技試験の内容や受験対策のポイントについてご紹介します。
保育士資格試験の実技試験とは? 試験内容を紹介
保育士資格試験の実技試験は、筆記試験を全科目合格したあとに受けることとなる試験です。実技試験にも合格しなければ、保育士の資格を取得することはできません。
今回は2022年度の実施要項にもとづいて、保育士試験の概要・筆記試験の概要・実技試験の内容を詳しくご紹介します。
保育士試験とは|筆記試験・実技試験
保育士の専門学校や大学を卒業することで資格を取得できますが、保育士試験に合格することでも資格を得ることが可能です。
開催は年2回で、筆記試験と実技試験があります。実技試験は、筆記試験の合格者のみ受験することが可能です。
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筆記試験はどんな問題が出る? 合格率は?
筆記試験では、以下の9科目が出題されます。
・保育原理
・教育原理
・社会的養護
・子ども家庭福祉
・社会福祉
・保育の心理学
・子どもの保健
・子どもの食と栄養
・保育実習理論
筆記試験はすべての科目で60%以上の得点が必要です。合格率は2020度で約25%となっています。
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実技試験は3分野|2つ選択して受験しよう
実技試験は、「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野があり、そのなかから2分野を選択して受験をします。
各科目は50点満点となっており、それぞれ30点以上で合計60点以上獲得することが合格の基準です。実技試験を受けるためには、筆記試験ですべての科目に合格することが必要になります。
なお、幼稚園教諭免許を持っている場合、実技試験が免除となるので受験する際は確認しましょう。
1. 音楽に関する技術|ピアノやギターで課題曲の両方を弾き歌う
ピアノやギター、アコーディオンのなかからどれかを使用し、課題曲を2曲演奏しながら歌うことになります。ピアノに使用していい楽譜は、市販の楽譜もしくは添付楽譜を編曲したものです。ギターとアコーディオンでは、添付楽譜を尊重して演奏します。
求められる能力は、歌と伴奏の技術とリズム感、また豊かな表現力です。子どもの様子を見ながら、よい表情で弾くことが重視されます。
2. 造形に関する技術|情景・人物描写などの造形表現をおこなう
問題文で設定された保育の場面で、ある条件を満たしながら絵画で表現します。問題文は試験当日提示です。
試験で使用できるものは、鉛筆またはシャープペンシル・色鉛筆・消しゴム・腕時計のみ。クレヨンなどは使用できないので注意しましょう。
求められる能力は、状況を想定し、情景や人物を描写すること。絵を見ただけで状況を理解できるような表現力が求められます。
3. 言語に関する技術|3歳児クラスの子どもが集中して聴けるお話をおこなう
4種類のお話のなかから1つを選び、子どもの集中力を損なわないようにお話をおこないます。3歳児クラスの子ども15人程度対して身振り手振りを交えながら、3分間のお話をするという設定です。試験中は絵本や道具の使用はできません。
求められる能力は、充分な発声や表現力、子どもたちが飽きないような話し方です。お話の内容は、だれもが知っている日本や海外の昔話が選択されます。
目指せ合格! 受験対策のポイントを5つご紹介
「実技試験の内容はわかったけど、どんな対策をしたらいいのかわからない」という人もいるでしょう。
ここからは、それぞれの実技科目における、おすすめの受験対策をご紹介します。
1. 音楽に関する技術の対策|課題曲を繰り返し練習する
課題曲はあらかじめ知ることが可能なので、課題曲が分かり次第、練習をはじめましょう。コードのとおりに演奏すること、また表現力を高めるために大きな声で歌うことが重要です。演奏や歌詞を間違えてしまっても、笑顔で最後まで歌い切ることも大切になります。
音楽教室などで保育士実技試験の対策レッスンをおこなっている場所もあるので、活用を検討してみてもよいかもしれません。
2. 造形に関する技術の対策|テーマに合わせて描けるように
当日までテーマが伝えられないので対策はむずかしいように思われますが、例年、保育士と子どもが登場する点が毎年共通しています。また、保育のワンシーンを描くことがテーマとして多いようです。
上手な絵を描くということよりも、だれがなにをしているかをわかるように描くことが求められるので、過去問を見ながら例題を練習していくことが対策になります。
3. 言語に関する技術の対策|子ども達に伝わる工夫を
課題となるお話は、あらかじめ提示されています。試験時間は3分間なので、選択したお話を子ども達の理解度に配慮しながら、時間内に終わるような構成を考えましょう。
お話のうまさや演技というよりも、3歳児でもストーリーを理解できて、集中しながら楽しくお話を聞き続けられるような言語表現をできることが重要です。
最初は絵本の読み聞かせなどから開始して、段階的に本番を想定した練習をしましょう。
4. 計画を立てて余裕を持って練習しよう
すべての科目に共通していることですが、計画を立てて余裕を持って練習をすることも重要なポイントです。どの分野にしても、しっかりと練習をしなければ不合格になることもあるでしょう。
筆記試験終了時点から実技試験までは約2カ月半、筆記試験合格がわかってから実技試験までは1カ月ほどあります。試験対策開始の時期は人それぞれかもしれませんが、いずれにしてもいつまでにどのくらい上達している必要があるかを考えて、計画を立てるとよいでしょう。
5. 試験本番を想定した練習方法を取り入れよう
試験の本番を想定した練習方法を取り入れることも、3分野に共通した重要な対策ポイントです。友人や家族などに協力してもらい、実践的な練習を積み重ねることで、本番への不安も和らぐでしょう。
得意な科目を選択してしっかり準備しよう!
保育士の実技試験は筆記試験に合格した人しか受けられない試験です。「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野があり、そのなかから2分野を選択して試験を受けて合格する必要があります。
あらかじめ課題内容がわかる分野もあるので、計画的に試験対策をすることで合格に近づくことが可能です。自分の得意な科目を選択して、試験本番を想定した練習方法を取り入れながらしっかりと準備しましょう。
引用元サイト
全国保育士養成協議会 令和4年保育士試験 受験申請の手引き[前期用]
全国保育士養成協議会 受験申請の手引き
全国保育士養成協議会 保育士試験を受ける方へ
全国保育士養成協議会 令和3年筆記試験(前期)問題
厚生労働省 保育士試験の実施状況(令和2年度)