生活相談員は研修でどんなことを学ぶの? 生活相談員の研修はどこで受けられる?
高齢化社会が進むにつれて需要が高まっているのが介護サービスです。その分介護関係の職種に就くことを検討される方も多くなり、厚生労働省の発表によると介護職員数は毎年増加傾向にあると言われています。介護職といえば特別養護老人ホームやショートステイ、デイサービスなどが挙げられますが、これらの福祉施設と利用者の間で窓口業務や調整業務をおこなう職種として「生活相談員」があります。
生活相談員として働く際は、日々介護に関する新しい知識や技術を習得し、能力の向上を図ることが大切です。そのため、各法人・企業では、生活相談員向けの研修をおこなっており、すでに生活相談員として働いている方の参加をうながしています。今回は生活相談員向けの研修で学べることや研修をおこなっている法人・企業をご紹介します。
生活相談員は研修でどんなことを学ぶの?
生活相談員は介護関係のサービスを提供する施設・事業所で必要とされ、その業務では、施設の利用者本人やその家族と話し合いながら、臨機応変なアドバイスをすることが求められます。
しかしながら、介護関係の施設を利用する方にもさまざまな事情があるでしょう。たとえば高齢の利用者と生まれつき障がいを持つ若い利用者では、求められるアドバイスも異なり、生活相談員にはこのような利用者ごとの事情を考慮することも求められます。
さらに、生活相談員はこのほかにも勤務する施設の形態や法律の改定など、さまざまなことに対応する必要があり、そのためには知識・技術のアップデートが不可欠です。研修では大まかにいうと、このアップデートのために必要な講義や実技を受けることができます。
講義|生活相談員としての知識を深める
生活相談員として働くうえでは、つねに新しい知識の習得に努めなければなりません。とくに介護業界においては少子高齢化が進むほど需要が高まることが予想されています。そのため、業界全体の変化に対応していくという意味でも、新しい知識を身につけるための研修への参加が不可欠となるでしょう。
生活相談員向けの研修における講義では、介護業界の最新情報や現況を知ることができます。これは、ただ生活相談員として働いているだけだと業界全体の変化に対応できなくなってしまうことがあるためであり、ふだん働いている施設の外の状況を把握できるという意味でも大きな意義があるでしょう。
さらに、講義ではスキルアップのための実践的な知識を身につけられます。このような講義では介護関係の学会の理事長や大学の教授の話を聞くことができるため、より専門的な知識を身につけることも可能です。
このほか、講義ではほかの参加者とのディスカッションなどをおこなうこともあり、同じ職種に従事する人の考え方や経験を参考にできるという点でもメリットがあります。
実技|施設や事業所ですぐに役立つ技術を学ぶ
生活相談員の仕事では介護を必要する人やその家族と面談をすることが多く、高いコミュニケーション能力が求められます。生活相談員向けの研修では、このようなコミュニケーション能力を高めるための実技講習を受けることが可能です。
また、実技講習はグループにわかれてロールプレイ方式で学ぶことができるため、ほかの参加者のやり方を参考にしたり、わからない点を相談したりすることができる点でもメリットがあります。
一方、生活相談員の仕事は、ほかの介護職に比べると利用者の身体に直接触れるような業務が少ないため、実技講習の重要度は若干低いです。このことから、実技講習をおこなわず、講義を受けるだけの講習も多いという傾向があります。
生活相談員の研修はどこで受けられる?|研修をおこなっている法人・企業を紹介
生活相談員向けの研修は、介護関係の事業をおこなう法人や企業が主催する形で、定期的に実施されているのが特徴です。多くの場合、このような生活相談者向けの研修は事前に募集要項などを公表し、参加希望者がそれに応募する形で実施されます。
そのため、参加を希望する方は日ごろから研修の実施情報を収集しておき、定員に達する前に応募することが大切です。続いては、具体的な生活相談員向けの研修を4つ挙げ、それぞれの最新の募集要項などをご紹介します。
公益社団法人 全国老人福祉協議会
「公益社団法人 全国老人福祉協議会」は、特別養護老人ホームなどをはじめとした高齢者向け介護施設の運営円滑化などを目指す法人です。こちらの法人では毎年度1回の頻度で生活相談者向けの研修をおこなっており、平成30年度の研修は平成31年2月25~26日にかけて、「TKP東京駅大手町カンファレンスセンター」にて実施されました。
平成30年度は、「ソーシャルワークの基本」と「施設利用者の権利の代弁者としての生活相談者のあり方」について再考することが研修の目的です。そのため、参加者はこのテーマに応じたスキルを身につけることに努めています。
こちらの法人がおこなう研修のテーマは年度ごとに異なり、継続して参加すればとくに高齢者の介護業界における変化にも対応できるでしょう。今年度の募集要項はまだ公表されていませんが、随時発表されることが予想されますので、参加希望者は公式サイトの小まめなチェックを忘れないようにしましょう。
全国有料老人ホーム協会
「公益社団法人 全国有料老人ホーム協会」では、おもに有料老人ホームで働く生活相談員を対象とした研修をおこなっています。平成30年度は「生活相談員等対人援助研修」が「KFC国際ファッションセンター」にて実施され、有料老人ホームで生じやすい問題への対処方法や利用者とのその家族との向き合い方などを学ぶ講習がおこなわれました。
同協会の研修は会員登録をおこなっている施設で働く生活相談員であれば、受講料が割引されるというメリットがあります。また、会員登録をおこなっていない施設の生活相談員も通常受講料を支払えば参加することが可能です。こちらの協会がおこなう研修に関しても、今年度の詳細は発表されておらず、参加を希望される方は小まめな情報チェックをおすすめします。
お茶の水ケアサービス学院|介護フォローアップ研修
「お茶の水ケアサービス学院」は、上述した2つの法人とは異なり、資格取得などをとおして幅広い介護関係の人材育成をおこなっている団体です。そのため、受講できる研修の種類は多岐にわたり、そのなかには生活相談員向けのものも含まれます。
生活相談員向けの研修としておすすめなものが「介護フォローアップ研修」のなかの生活相談員向け研修です。この研修は日本全国でおこなわれており、たとえば「ショートステイにおける相談援助の課題と生活相談員の役割」を学ぶ研修は東京と大阪の2カ所で参加ができます。
また、こちらの団体がおこなう研修は10~11月に集中しており、今年度分の研修はまもなく締め切りとなるものがほとんどです。申し込み書は公式サイトからダウンロードできるため、参加希望者はできるだけ早く申し込むようにしましょう。
デイサービス生活相談員ネットワーク|介護事業所の生活相談員日曜集中講座
「デイサービス生活相談員ネットワーク」では、デイサービスをおこなう施設で働く生活相談員向けの研修を数多く実施しています。この研修では、すでに生活相談員として働いている方向けの総合的なマネジメント講座だけでなく、生活相談員の資格取得を目指す初心者向けの講座なども受けることが可能です。
研修は「介護事業所の生活相談員日曜集中講座」をはじめ、年間を通して土日に都内で実施されることが多く、平日に働いている方にとっては受講がしやすいといえるでしょう。最新のものでは9月に生活相談員交流会が実施されており、研修の内容によっては気軽に参加することもできます。現時点で次の開催日程は発表されていませんが、開催頻度は非常に高いため、小まめに公式サイトを確認しておくのがおすすめです。
研修会に参加してスキルアップしよう!
生活相談員向けの研修会は、さまざまな法人・企業が実施しています。また、研修の内容や実施頻度、実施場所などは法人・企業によって異なることから、ご自身の都合に合った研修をおこなっているところを探してみるとよいでしょう。
研修ではふだんの業務で気づくことのなかった問題について考えたり、業務を円滑におこなうための知識や技術を身につけたりすることが可能です。したがって、生活相談員として働く方は自分に合った研修会に参加し、スキルアップを図ることもつねに意識しておくとよいでしょう。
出典元
厚生労働省 介護労働の現状
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000071241.pdf
公益社団法人 全国老人福祉協議会
http://www.roushikyo.or.jp/contents/seminar/other/detail/286
全国有料老人ホーム協会
https://www.yurokyo.or.jp/news_detail.php?c=18&sc=24&id=756
お茶の水ケアサービス学院|介護フォローアップ研修
https://www.o-careservice.com/f-up/120/index.html
https://www.o-careservice.com/f-up/
デイサービス生活相談員ネットワーク|介護事業所の生活相談員日曜集中講座
http://soudan-in.net/index.php?seminar
http://soudan-in.net/index.php?koryukai_20190908