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介護・看護・リハビリ 2022-03-02

思いがけない転職で気づいた! 自分らしく働くことの大切さ/介護リレーインタビュー Vol.28【介護福祉士 小谷昇平さん】#1

介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、業界の魅力、多様な働き方をご紹介する本連載。今回お話を伺ったのは、訪問介護サービスを行う「ユニバーサル介護センター永福」の介護福祉士・小谷昇平さん。

前編では、小谷さんの経歴や、ご利用者さんとの向き合い方についてお話を伺います。

人と関わる仕事がしたい!思いがけず飛び込んだ介護職の道

――はじめに、小谷さんの経歴を教えてください。

実は、今の仕事は3つめなんです。高校を卒業して初めて就職したのは、製造業の会社。自動車の部品などを作っているところで、工場の製造ラインで毎日黙々と作業を行っていました。よく言えば、一度覚えた作業を繰り返すだけなんですが、悪く言ってしまうとちょっとつまらなくて……。人としゃべることもほとんどなければ、淡々と同じことを繰り返す毎日が、嫌になってしまったんですね。僕には合ってないな、と。それで結局、1年程度で辞めてしまいました。

――そうだったんですね。2つめのお仕事は何だったんですか?

次の仕事は介護職です。でも、今の会社のような訪問介護ではなくて、入居型の施設で介護サポートを行う仕事でした。それも、「介護職を目指したい!」と思って始めたのではなくて、製造業の仕事をやめたあと、これからどうしようかなと思っていたときに紹介された求職者支援訓練が、介護の研修で。前職で人との関わりがなさすぎて、次は人と関わる仕事をしたいと思っていたので、やってみることにしたんです。そしてそのまま紹介された会社に入社しました。

――思いがけず飛び込んだ介護職だったんですね。そこでのお仕事はどうでしたか?

そうですね……、じつは辛かったです。これは向き不向きがあると思うのですが、入居型なので1日8時間みっちりご利用者さんと一緒に過ごすことになるんですよね。夜勤があるときは約17時間です。もちろん、そもそもが人を相手にした仕事ですし、今の訪問介護でも相手を気づかうという意味では同じですが、それが長時間休みなく続くと辛くなってしまって……。おそらく、四六時中誰かと一緒にいることが平気な人と、少しでも自分一人の時間を持たないと疲れちゃう人っているじゃないですか。それに似ていると思います。僕には続けられなくて、約2年で辞めてしまいました。

――なるほど。同じ業種でも働き方って重要ですね。

はい。とはいえ、入居型の介護は信頼関係を築きやすかったり、小さな変化に気づいてあげることができたり、いい面もいっぱいあるんです。なのでこればっかりは働く人の性格もあるんでしょうが、僕には向いてなかったですね。正直、次はもう介護職はやめようとさえ思っていました。

――でも、次も介護職を選んだわけですよね。それには、どういった気持ちの変化があったんですか?

せっかく実務経験があるのにもったいないな、というのもありますが、なんだかんだ「もう少しがんばってみたい!」と思えたことでしょうか。前回は働き方が自分に合ってなくて、精神的に余裕がなくなってしまったのが原因だってわかったので、違う働き方ならがんばれるかも、と。

縁あって今の会社に就職して3年になりますが、ここは訪問介護なので、1人のご利用者さんと一緒に過ごすのは1時間程度。移動時間に自分の時間も取れるし、気持ちを切り替えることもできる。精神的に余裕を持って、自分らしく働けていると思います。

「相手の生活スペースに入る」というのを忘れずに。近すぎず、遠すぎず、適度な距離感を保つ

――小谷さんがお仕事で大切にしていることは何ですか?

どの仕事でも同じかもしれないですが、まずは「安全第一」ですね。特に相手は介護を必要としている方なので、無理は絶対禁物。決まったルーティーンもありますが、その日その時の体調などを見つつ、生活の介助を行います。

あと、僕たちはご利用者さんのお宅に訪問して業務を行うので、「その人の生活スペースにお邪魔している」っていう気持ちを忘れないこと。そのお家のルールに従うのはもちろん、干渉しすぎないのも大切です。

――たしかに、よそ様のお宅にお邪魔しているわけですもんね。

はい。あとこれは訪問介護だけでなく介護全般に言えることだと思いますが、そもそも僕たちはその人の「生活」をサポートしているわけなので、他人行儀で気をつかいすぎてしまうと、相手にも気をつかわすことになるんですよね。人によっては、体調の変化を言い出しづらくなるし、僕たちも小さな変化に気づけなくなってしまう。かといって馴れ馴れしすぎるのももちろん失礼で、家族のようにはっきり物事を言い過ぎると、気分を害される場合もあります。

――難しい塩梅ですね……。

本当にそうなんです。あとまれに、距離感が近くなりすぎて、本来言わなくちゃいけないことも本人の気持ちを思うと辛くて言づらい……ってこともあるんですよ。親身になっているからこそ陥りやすいポイントだと思うのですが。
もちろんお互いの性格とかもあるので、一概に「これぐらいの距離感」とは言えないですが、近すぎず、遠すぎず、程よい距離感を保ちながら自然体で接すること。……意外と、というか一番難しいんですが、これが大事だと思います。


転職の経緯をせきららに語ってくれた小谷さん。同じ介護職でもさまざまな働き方があること、そして自分らしく働くことの大切さがよくわかるお話でした。「思いがけない転職だった」とおっしゃっていましたが、言葉の端々から伝わるご利用者様へのおもいやりや気遣いに、この業界に進むべくして進んだ方のような気がしました。

後編では、この仕事のやりがいや、今後の目標についてお話を伺います。

取材・文/児玉知子
撮影/喜多 二三雄

Information

ユニバーサル介護センター永福
住所:東京都杉並区永福3丁目21-4
TEL:03-3325-8676

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