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ヘルスケア 2022-03-20

背骨と骨盤を意識して日常の動作に新しい感覚を【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.53 ピラティスインストラクター Kayoさん #3】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

全3回に渡り、「zen place pilates」でインストラクターとして活躍するKayoさんにインタビュー。「ピラティスを通して新たな気付きを与えたい」というKayoさんは、グループレッスンとプライベートレッスンを担当し、多くのお客様にピラティスを伝えています。

最終回となる今回は、Kayoさんが行っているレッスンにフォーカス。ピラティス指導で大切にしていることや、インストラクターが知っておくべきエクササイズについてお聞きします。

レッスンで伝えるのは新しい動作への気づき

「zen place pilates 代官山」「zen place pilates 渋谷」エデュケーター。航空会社やメーカーで営業事務を経験後、2015年に株式会社ZEN PLACEに入社。

——まずはレッスンの流れについて教えてください。

まずアセスメントと言って、その方の姿勢を見ます。ピラティスは骨盤や背骨を大切にしているので、そこを中心に体の動かし方のクセや特徴を確認するんです。そして、より良い方向に導くためのワークを提案します。

ワークではまず自分の体に意識を向け、ワークの動作の中でふだん当たり前に行っている動きに気づいていただきます。そのうえで、さらに動きの流れの中で体の使い方を修正していくんです。

プライベートレッスンもグループレッスンも流れとしては同じ。レッスンの55分間は基本的に動きっぱなしです。

——インストラクターとしてプライベートとグループに感じる違いは?

プライベートレッスンのほうが、声掛けや姿勢のサポートなど、より細かく指導ができます。ワークのチョイスも、その人の体の状態に沿ったものが提案できます。

グループレッスンは姿勢の指示なども言葉で伝えないといけませんし、性別や世代の違う方々を同時に指導することになるので、言葉選びや伝え方の面で難しさがありますね。

クライアントさんと自分は、お互いに学び合う対等な関係

ピラティスの学びを深めるためにインストラクターになったKayoさん。
現在もクライアントさんへの指導を通して学ぶことが多いそう

——レッスンで大切にしていることは何ですか?

大切なのは「クライアント自身がどう感じるか」というところ。同じエクササイズでも日によって感じ方は変わります。そういった身体感覚に意識を向けることは、自分のエクササイズの実践でも心がけていることです。

自分がどう感じているかを意識できると、ワークの中で「こんな体の使い方があるんだ」という気付きにつながります。レッスンの時間よりも、他の日常の方がはるかに長い時間です。そこで新しい体の使い方を意識することで、自分の力で変わっていってもらう。そのためのリード、サポートとして私がいるんだという意識は常に持っています。

——クライアントさんとのコミュニケーションで大切にしていることは?

関係作りをしているときは、自分があまり話し過ぎないようにしています。話し出しちゃうと、本当にバーッとしゃべっちゃうんです(笑)。だから相手がもっと話しやすいようにできたらいいな、というスタンスでいようと心がけています。

ある程度関係が築けたクライアントさんとのコミュニケーションは、何も気をつけていません(笑)。もちろん人として失礼がないことは大前提ですが、冗談を言い合ったり、いいものを紹介し合ったり、ふつうの友達に近い感覚で。いわゆるクライアントとインストラクターという関係ではなくコミュニケーションを取っています。

こちらが「指導者」というスタンスは持たず、対等な関係でいるようにしたいんです。ピラティス歴は私の方が長くても、相手の方が人生の先輩だったりしますから。だから私が相手から学ぶこともたくさんあるし、私もピラティスをお伝えするしという、フラットな関係作りを心がけています。

ピラティスレッスンで知っておくべきポイント

——ピラティスレッスンを行ううえでインストラクターさんが知っておくべき大切なことと、それを意識できるエクササイズを教えてください。

骨盤と背骨のアライメント「ロールダウン」

ピラティスでは、骨盤と背骨を始点とした体の動かし方を重視しています。だから指導に当たり、姿勢を見るための指標として背骨の動かし方をしっかりチェックしていきます。

「ロールダウン」は、インストラクター側が背骨の動きをチェックするとともに、その方自身が背骨を動かす感覚に気づく準備運動であり、ワーク前後の違いを感じる指標になる動きです。

まっすぐ正面を向いて立ち、背骨を丸めながら上体を曲げて戻す動作を2~3回繰り返す。インストラクターは真横と真後ろからチェック。

横からは矢状面の背骨の動き、後ろからは動作の左右差やねじれがないかを見ています。その人の動作のクセを見ることで、ワークのチョイスのヒントに。ねじれがある場合は回旋系のエクササイズを入れたり、背骨の動きが悪ければ背骨を動かすエクササイズを多めにしたりと、その日の指標になります。

骨盤と背骨が整い習慣化しやすい「ペルビックカール」

ピラティスにとって重要な背骨のエクササイズの基本となるワークの1つ。ウォームアップとして取り入れることが多いです。

エクササイズでは、筋肉というより骨を意識してもらうイメージ。骨を意識する結果、筋肉が使われます。

骨盤を後傾させ続けながら、背骨1つ1つを順番に動かしていくので、骨盤と背骨を意識しやすくなります。骨を動かした結果、腹筋と太もも裏の筋肉が強化される効果も。

仰向けになり、こぶし1つ分あけて膝を立て、腕は両わきに置く。骨盤はニュートラルポジションに。

息を吐きながら、お尻側から背骨1つ1つを順番にゆっくり上げる。骨盤の後傾をキープしながら持ち上げていくことで、腹筋や太もも裏の筋肉が使われる。

上がりきった姿勢で息を吸い、息を吐きながら首側から背骨1つ1つを順番にゆっくり下ろしていく。骨盤の後傾はキープし続け、太もも裏と腹筋を意識して。

レッスンスタート時に、尾骨の先端から背骨を動かしていく意識を伝えます。また背骨を動かしている時は、先に胸が上がったり腰から落ちたりしないように、背骨を流動させるような動きを指導。部位に触れて声掛けすることで、意識すべきポイントを指示していきます。

——ありがとうございました!最後に今後の目標を教えてください。

これからも、たくさんの人にピラティスを伝えたいです。コロナ禍になり、体を動かさなくなった方も増えましたし、見えないところで精神的なダメージを持っている方は多いと思います。私のクライアントさんでも、コロナ禍で気持ちが下がってしまったときの駆け込み寺として通ってくださる方もいます。プライベートレッスンで私たちと話したり、グループレッスンでクライアントさん同士の交流を持ったり。スタジオが、ピラティスを通して少しでも生活が豊かになるきっかけとなる場になればうれしいです。

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

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Information

zen place pilates 代官山スタジオ
住所:東京都渋谷区代官山町15-9 代官山センタービル4F
TEL: 03-6452-5986(代官山スタジオ直通)
※プライベートレッスン専用スタジオ。グループレッスン希望の場合は、03-4405-1245まで。

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zen place pilates
TEL:03-4405-1245

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