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介護・看護・リハビリ 2022-07-16

ケアマネジャー(ケアマネージャー)はどんな仕事?資格取得の方法や気になる平均年収を解説

ケアマネジャーは居宅ケアマネや施設ケアマネに代表されるような「職種」であり、介護支援専門員という「資格」でもあります。ここでは、介護業界において重要なポジションに位置するケアマネジャーの仕事内容や年収・ケアマネジャーになるための試験・ケアマネジャーの将来性・ケアマネジャーとその他の職業との関係性など、詳しく解説します。

そもそもケアマネージャー(介護支援専門員)とは?


ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、介護を必要とする方に最適なケアプラン(介護サービス計画)を作成し、サービス利用者一人ひとりの状況に応じた介護サービスの調整や管理を行う仕事です。介護を必要とする方と介護サービス事業者をつなぐ大切な役割を担うため、介護保険制度を熟知し、医療や福祉業界のさまざまなサービスを理解する必要があります。

平成12年(2000年)4月に介護保険制度が始まるにあたって誕生した、比較的新しい資格のケアマネジャーは、「ケアマネージャー」と記載されることがありますが、厚生労働省では「ケアマネジャー」、もしくは正式名称である「介護支援専門員」と表記されています。
社会的に需要が大きいケアマネージャー(ケアマネージャー)の仕事ですが、国家資格ではありません。現在は国家資格ではなく各都道府県が認定する公的資格に属します。(2022年6月現在)。また、国家資格は法律に属するものですが、ケアマネジャーのような公的資格には、法律的な規制がかかっていない点が特徴です。

国家資格ではない「ケアマネジャー(ケアマネージャー)」の資格ですが、介護保険法の理解と、介護現場のマネージメント能力を証明できる資格として、需要が大きい資格です。将来的に介護の現場で活躍したい方におすすめの仕事といえます。

ケアマネージャーの具体的な3つの仕事


介護が必要となった方が市町村の窓口から事業者情報を受け、まず初めに出会うのがケアマネジャー(ケアマネージャー)です。ケアマネジャー(ケアマネージャー)は本人や家族の希望を聞き、どのような介護サービスをどの程度利用するか、といったケアプラン(介護サービス計画)を一緒に考えていきます。

このケアプランなしでは介護サービスを受けることはできません。ケアプランの作成は介護保険で賄われるため、介護を必要とする方は利用料無料で受けることができます。

ケアプランを元に介護サービスが開始された後も、定期的に利用者を訪問して状況を確認します。サービス事業者や主治医とも連携し、問題がある場合は見直しや調整を行います。

1.ケアプランの作成と関係者との連携

ケアマネジャー(ケアマネージャー)の主な業務は、介護サービス対象者に必要なサポートを家族や関係者と相談しながら、最適なケアプランを作成することです。具体的には、以下のような流れでケアプランを作成・実行します。

・介護サービス対象者から必要なサポートや悩みを聞く
・介護サービス提供者と連携して、ケアプランを作成する
・ケアプランを実行しながら、家族や関係者と面談をして内容を改善していく

ケアプランを作成して、実行、効果の確認までの一連のプロセスを担うのが、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の重要な仕事なのです。

2.利用者の介護給付金を管理する

福祉施設の運営者は、提供している福祉サービスに対する「介護給付金」をもらうために、各都道府県の「国民健康保険団体連合会」に申請する必要があります。

この申請業務に必要な書類が、ケアマネジャー(ケアマネージャー)が作成する「給付管理表」です。給付管理票を申請するには、以下のプロセスが必要とされています。

・給付金や利用者の負担金額を明記したサービス利用票を作成
・サービス利用表をもとに、サービス提供票を事業者に交付
・表に沿ったサービスが行われたかを精査して、給付管理票を作成

福祉サービスを利用する人、提供する人の業務内容を把握して、給付管理票で介護給付金を管理する重要な役割を担っているのです。

3..要介護認定の調査・申請

各市区町村からの業務委託で、高齢者が暮らす自宅や施設を訪問して、要介護認定かどうかをチェックするのも重要な業務の一つです。チェック対象となる高齢者の体調、もしくは居住環境等をチェックして、介護が必要かどうかをチェックします。場合によっては、要介護認定の確認書類を代行申請することもあるでしょう。

【就職先別】ケアマネージャーの働き方


ケアマネジャー(ケアマネージャー)の基本的な業務は、ケアプラン作成・介護給付金の管理・要介護者の認定です。しかし、働く場所によって、働き方に特徴が見られます。ここでは、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の業務が、職場によってどのように変わるのかをみていきましょう。

居宅介護支援事業所で働く場合

自宅で暮らす要介護の高齢者の自宅に出向いて、ケアプランを作成します。具体的には、「居宅介護支援事業所」から担当する高齢者の自宅に出向き、ケアプラン作成のためのヒアリングと現場観察を行います。ちなみに、「事業所」という名前がついていますが、個人でも開業できる点が特徴です。

老人ホームで働く場合

老人ホームに入居している、もしくはこれから入居する予定で、介護を必要とする高齢者に対して、ケアプランを作成します。老人ホームでは、介護ヘルパーや看護師など、介護対象者を間近に観察している人から意見をヒアリングできます。そのため、より効率的、かつ効果的なケアプランを作成できる点が特徴です。

地域包括支援センターで働く場合

地域包括支援センターで働く場合、「介護対象者を少しずつ自立させていく」ことを念頭に置いたケアプラン作成が求められます。地域包括支援センターとは、要介護認定を受けた高齢者の症状を悪化させないための、介護サービスを提供している施設です。働いている人の中には、保健師や社会福祉士などが多いです。

「いかに介護が必要な状態になってしまうことを予防するか」ということを念頭に置きながら、ケアプランを作成しなければいけないという特徴があります。

ケアマネージャー(介護支援専門員)になるには


ケアマネジャー(ケアマネージャー)になるためには、ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格する必要があります。試験は、あくまでも「実務研修を受講する資格を得るための試験」であり、試験に合格するだけではケアマネジャー(ケアマネージャー)の資格を取得することはできません。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)合格後に44時間以上の「介護支援専門員実務研修」を受講することにより、各都道府県に、登録申請を出すことができます。受理されると、各都道府県知事が発行する介護支援専門員証が交付され、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の資格を取得することができます。

ただし、ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)には受験資格があります。受験資格を得る方法は多数ありますので、次の章で説明します。

ケアマネージャー(介護支援専門員)の受験資格


ケアマネジャー(介護支援職員)の受験資格を得るためには、以下のような条件を満たす必要があります。どの条件でも、合計で5年以上、要介護業務に従事した期間が900日以上という条件が定められています。

要介護者に対する業務だとしても、線引きが難しい業務もあります。そのため、場合によっては、実務経験を証明する書類の送付を求められる場合もあるでしょう。

ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の内容


ケアマネージャー試験の具体的な内容と勉強方法を知ることで、将来的にケアマネジャー(ケアマネージャー)の仕事に就くための準備ができます。ここでは、ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の内容をみていきましょう。

試験に合格するための方法

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は、専門職が強い資格試験ではありますが、国家試験ではないため、試験自体の難易度はそれほど高くありません。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)は公的資格のため、試験は各都道府県が管轄、実施します。試験問題は五肢択複式(5つの選択肢から2〜3個の正解を選ぶ方式)です。試験日は毎年10月の日曜日で、12月上旬(都道府県による)頃から合格発表が行われます。

令和4年度の受験の申し込み方法は、各都道府県で異なりますが、大まかな流れは以下の通りです。

①受験料を支払い、資格証明書・実務証明書を準備する

②6月1日〜6月30日までの間に申請書に記入し、受験申し込みをする

③書類審査の結果、受験資格がある方に受験票が届く

受験料は各都道府県によって異なりますが、東京都の場合は、受験料が12,900円。ケアマネジャー試験に関するお問い合わせは、各市区町村の窓口や電話で確認してみましょう。

ケアマネージャー試験後は実務研修を受ける必要がある

ケアマネジャー(ケアマネージャー)として勤務していくためには、ケアマネジャー試験の合格後に実務研修を修了して、ケアマネジャー試験の資格保持者として、正式登録しなければなりません。具体的な研修内容は、以下の通りです。


「介護支援専門員証」は、5年ごとに更新しなければなりません。継続的にケアマネジャーとして勤務するなら、忘れずに専門員証を更新していきましょう。

ケアマネージャーの給料・年収


ケアマネージャーの平均的な給料・年収はどうなっているのでしょうか?『令和2年度 民間給与実態統計調査』によれば、日本人全体の平均給与は433万円でした。

それに対して、「求人ボックスナビ」が公表しているデータによれば、ケアマネージャーを含めた福祉に従事している方の平均年収は346万円で、全体から見ると低い水準です。

具体的には、初任給が20万円程度で、月給は29万円程度となっています。ただし、国家資格や公的資格の有無・勤務歴の長さによって、年収は増えていくでしょう。

以下の見出しでは、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の年収を増やす可能性の高いスキルを紹介します。

給料がアップするスキル

ケアマネジャー(ケアマネージャー)に求められるのは、以下のようなスキルです。

・介護福祉士としての経験・知識
・介護現場のマネジメントスキル
・関係者との円滑なコミュニケーションスキル
・パソコンに関わるスキルや資格

介護福祉士をマネジメントするケアマネジャー(ケアマネージャー)の仕事では、介護福祉士としての勤務経験やスキルが、ケアプランの作成や指導に存分に生かされます。

現場経験を経ていると、どのように要介護対象者に対して接し、どのようなケアプランを作成するべきかを、自分の経験から検討しやすくなります。さらに、パソコンを使った管理業務も多いので、wordやexcelなどの基本的なパソコンの事務スキルを持っていると、職場で重宝される人材になれるでしょう。

このように、介護福祉士としての現場経験やノウハウ・パソコンに関するスキルや資格を持っていると、福祉現場で活躍できる人材になれるはずです。その結果、年収が高いケアマネジャー(ケアマネージャー)になるのも夢ではありません。

ケアマネージャーの将来性


大手求人サイトの「バイトル」によれば、令和元年度のケアマネジャー(ケアマネージャー)の有効求人倍率は3.66倍と、平成27年の有効求人倍率の1.87倍と比較しても、数年で約2倍も増加しています。
有料老人ホームやデイサービス、グループホームなどは増加傾向にあり、こういった施設でもケアマネジャー(ケアマネージャー)を募集しています。しかし、採用人数としては少ないケースが多いので、事業拡大で新設する事業所をチェックしたり、介護職など他の職務も兼務するといった選択肢を用意しておくことも必要です。
また、資格制度が始まった平成10年には45%近くの合格率だったケアマネジャー(ケアマネージャー)の試験は年々難しくなっており、平成26年度から令和3年度にかけての合格率をみても、20%前後で推移していることがわかります。
つまり、需要は大きいのに、試験に合格してケアマネジャーになれる人が少ない現状があるのです。介護保険制度や介護サービスの幅広い知識を持つ専門家として、今後もますます必要となっていくでしょう。

ケアマネージャーの魅力・やりがい


ケアマネジャー(ケアマネージャー)は、公的資格でありながら、ホームヘルパーや介護福祉士の上位資格と考えられており、社会的地位も高い職種です。事実、給与面でも介護・福祉関連の中ではかなり恵まれています。とくに、実務経験が豊富で、マネジメントスキルの高いケアマネジャーは、現場で非常に重宝される存在です。

魅力は給与面だけではありません。介護が必要となった方や家族が、まず始めに出会うのがケアマネジャー(ケアマネージャー)です。「どうやって介護したらいいのか」「いくらかかるのか」など不安な状況のなかで、なんでも相談できるケアマネジャー(ケアマネージャー)は本当に頼りになる存在です。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)がいなければ介護サービスは上手く機能しないため、その責任感が仕事のモチベーションに繋がるという意見も多く聞くことができます。介護サービスの内容を決めるケアマネジャーは、介護現場の雰囲気を決める存在と言っても過言ではありません。また、責任のある立場ですが、ケアマネジャーとしての業務をこなすことで、利用者のサービス満足度に直結するやりがいの大きい仕事だといえます。

自分の立てたケアプランによって介護サービスを受け、利用者や家族が前向きになったり、元気になってくれることがケアマネジャー(ケアマネージャー)のやりがいだと言います。また、サービスを提供したら終わりではなく、利用者や家族の心身や生活状況に応じて調整が必要になってくるので、ずっと利用者と関わっていける仕事です。

ケアマネジャー(ケアマネージャー)は介護生活の頼れるパートナーとして、利用者や家族をサポートする大きな役割を担っています。

ケアマネージャーの仕事内容を理解して、自分の進路決定に生かそう!


今回は、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の業務内容や必要な資格、将来性や働く上でのやりがいについて紹介しました。ケアマネジャー(ケアマネージャー)は、介護サービスを提供する基本となるケアプランを作成して、サービス利用者やその関係者との円滑なコミュニケーションをはかります。

少子高齢化で要介護認定を受ける高齢者が増えつつある中、ケアマネジャー(ケアマネージャー)の需要は今後も大きくなっていくでしょう。

自分で現場をマネジメントして、より良い福祉サービス提供をしたいと考えている方は、ケアマネジャー(ケアマネージャー)への転職を検討してみてはいかがでしょうか?

引用元サイト:
東京都 国民健康保険団体連合会|介護事業者等の皆様
公益財団法人 東京都福祉保険財団|令和4年度 介護支援専門員実務研修受講試験
厚生労働省『令和2年度 民間給与統計実態調査』

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