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介護・看護・リハビリ 2020-04-24

本音を吐き出してもらう。それが私の営業スタイル 介護リレーインタビューVol.3【営業小川博子さん】#2

介護業界における職種や仕事内容をより具体的にお伝えしていく本連載。第三回目は、営業職についてご紹介します。

地域で段階を踏んだ介護サービスを受けられるように、首都圏を中心にさまざまな種別の介護施設を構えるツツイグループ。営業として日々忙しく施設を回る小川博子さんに、「介護業界における営業とはどんな仕事か」を教えていただきました。

前編で、仕事内容についてお話を伺ったところ、施設の入居者の方に対しては、入居前の案内だけで終わらずに入居後のフォローまで責任を持って行うということでした。この後編では、小川さんが考える介護業界における営業の役割について語っていただきました。

《プロフィール》

小川博子さん(47歳)…一般事務やホテルで勤務したのち、ツツイグループに営業未経験で入社。今はエリアマネージャーとして営業部のトップに立つ。これまで案内してきたお客様は4,000人以上!

挫折の経験&やりがいを感じたこと

「小川さんに相談して良かった」の一言に尽きる!

――今まで挫折したことはありますか?

駆け出しの頃は、外交活動にとても苦労しました。朝から夕方まで一日中ぐるぐる回っても、どこからも相手にしてもらえなかったり、会いたいと思っても会ってもらえなかったりで…。地道に続けても中々芽が出なかったときは、モチベーションを保つのが大変でしたね。あと、施設と上手く連携が取れず入居推進が思うようにいかなかったときには、現場スタッフとの間に溝ができてしまったことも。人間関係に歪みが入ると結構こたえますよね…。

――どんなことをして乗り越えられたのですか?

私、幸いなことに仕事の悩みや嫌なことは引きずらない性格なんですよ! 忘れっぽいとも言えるのですが(笑)、そこが長所でもあるのかな。汗をかくのが大好きなので、休日はヨガに通ったりサウナに行ったり、ジョギングしたり…。そうやってストレスを発散してきました。あと、愛犬と散歩するのも私にとって最高の癒しです!

休日の一コマ。いつも愛犬と一緒に汗を流しています!

――契約に至るまでに工夫された点はありますか?

こうしたら正解というのはないのですが…。入居に至らない理由として、ご家族とご本人の間で気持ちのギャップがあったり、金銭面とかサービス面で条件が合わなかったり、挙げればキリがないのですが、やっぱり「とことん相談にのる」のみですね。お客様の腹にたまっているモヤモヤを聞き出すこと、そして求めていることに精一杯お応えするのが、自分にとって一番の近道だと思います。ちなみに、行き詰まりを感じた時は、固定概念に捕らわれていないかを自分に問いかけています。思い切って自分の考え方を変えると、見え方も変わって新しい発想や行動がどんどん出て来るんですよ。原因を相手に探すのではなく、まずは自分自身を振り返ること。それが一歩前に進むコツです。

――嬉しかったことや、やりがいを感じたことを教えてください!

何といっても、「小川さんに相談して良かった」と言ってもらえることですね。また、病院やケアマネジャーさんたちに「小川さんに任せれば安心」と言っていただくと、「信頼してもらえているんだな」と嬉しくなりますね。

目指すべき営業スタイル

自分が話すのは2割。あとの8割はお客様がお話ししている

――長いお客様だとどのくらいの期間担当されるのですか?

入居後のフォローを含めるとそれぞれのお客様と長くお付き合いしていますよ。長くお住まいの方だと15年以上の方もいます。

――15年以上も!

入居担当した方には今でも近況を伺ったりしていますし、ご家族様ともお付き合いは続いています。「介護区分が上がったから特別養護老人ホームを検討したいな」とか、「元気になったから在宅介護に戻ってみようか」などの相談も私のところに来るんです。ツツイグループの他施設に移られるお客様も結構いらっしゃるんですよ。ツツイグループは、色々な種別の施設が揃っていますからグループ内で移動しやすいのも特徴なんです。

――ツツイグループさんは首都圏にたくさんの施設を構えていますよね。

そうなんです。住み慣れた地域で、お客様が安心して住み続けることができるような環境づくりをしていくことがツツイグループの目指すところなんです。

――だから15年以上ものお付き合いになるのですね。確かに、ずっと同じ担当者に相談にのってもらえるのはお客様からすると心強いですよね。

誰に相談すれば良いのかがわかっているだけでも、お客様の心の負担は軽くなると思うんです。一から相談するのと、お悩みや家庭事情、ご本人の希望など、ここに来るまでの背景を全部わかった上で相談にのってもらえるのとでは安心感がかなり違ってくるのではないでしょうか。

――小川さんがこの仕事をはじめられた当時と今、介護業界にどのような変化を感じていますか?

18年前に比べると施設の数はかなり増えました。とくに有料老人ホームは今みたいに多様化していませんでしたから比較対象も多くなかったんですね。しかし、その頃に比べると色々な企業がこの業界に参入してきて、客層や求められるものがだいぶ変わってきたように感じます。施設のタイプや金額帯などの幅が広すぎて、どう選んでいいのかわからないという質問をお客様からよく受けるようになりましたね。

――小川さんの営業スタイルで変化した点はありますか?

お客様の提示する条件もありますが、結局は人と人との出会いで決まることが多い気がします。だから、自分は良き相談相手というスタンスを変えないようにしています。施設の特徴や金額プランなどの説明はおそらく知識さえ持っていれば誰にでもできると思いますし。お客様に信頼してもらうには何が必要なのかをその都度考えることが大事だと思っています。

――介護業界または営業職のこれからの課題はありますか?

言うまでもないことですが、現場で一番苦労しているのは人材不足と定着です。スタッフが安定しているというのは、良いサービスを提供できるということです。スタッフが少なく入れ替えが激しいと利用者様も不安になってしまうし、「せっかく名前を覚えたのに…」とがっかりしてしまいます。だから、スタッフに安定的に働いてもらうのは会社としても何より大事なことです。

――営業人数ももっと増やしていきたいですか?

募集したいとは思っているのですが、とくにこの業界の営業は奥が深いと言いますか…。モノ売りではなく、お客様の人生を提案する仕事なので、やみくもに集客する人材を増やせば良いという考え方は危険だと思っています。

――上手に説明できるスキルを持っていればいい、ではないのですね。

お客様の家庭環境に踏み込まなければ本当の問題解決にならないんです。ご家族やご本人に本音を吐き出してもらった方がこちらも最善を尽くせる。だから、私の場合はこちらから説明するというよりも、8割はお客様がお話ししていますね。

――吐き出すという単語がすごく刺さりました!

まずは傾聴から、です!

――最後に、介護業界を目指している人にメッセージをお願いします。

テレビを観ていると、介護業界に関しては悪いニュースが多いんですよね。だから、そんなニュースが流れていると、現場を知らない人たちにどんなイメージを持たれるかなといつも心配になってしまうんです。でも、現場スタッフは本当に一生懸命に利用者様とお話ししたりお世話したりしています。介護スタッフだけでなく、営業だって一人の人生に寄り添う気持ちで働いていますし、毎日勉強のつもりでいます。どうかそのことをみなさんには知っていてほしいですね。

【介護施設営業のココが魅力!】

1.入居者の方と長く付き合える
2.人生を提案できる
3.介護に悩みを抱える人に寄り添える

【編集後記】

「お客様の家庭環境まで踏み込んで本音を吐き出してもらう」というのが小川さんの営業スタイル。勝手ながら営業職を現場とは切り離して考えていましたが、施設で生活をはじめるお客様にとって、小川さんのような存在は必要不可欠なんですね。「すべてはお客様のため」という小川さんの営業精神からは、たとえ現場で介護をする仕事ではなくとも現場スタッフと同じくらいの熱量を持っていることが伝わってきました。

▽#1はこちら▽
入居前から入居後まで一貫して責任を持つ介護リレーインタビューVol.3【営業小川博子さん】#1>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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電話:03-5475-5050

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