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特集・コラム 2023-06-23

柔道整復師とは? やめたほうがいいと言われるのはなぜ?|魅力と将来性を紹介

「柔道整復師はやめたほうがいい」と聞いたことがある方も多いでしょう。柔道整復師は、患者の怪我や打撲、損傷に対してサポートをおこなう仕事です。やりがいのある仕事である一方で、労働条件に不満を抱き、やめてしまうケースもあるといわれています。

本記事では、柔道整復師の概要、やめたほうがいいと言われる理由、柔道整復師の魅力と将来性について紹介します。柔道整復師になろうと考えていて詳しい仕事内容を知った上で職業を選びたい方は、参考にしてみてください。

柔道整復師とは?

柔道整復師とは、日常生活やスポーツをおこなう中で発生した打撲・捻挫・脱臼など、各種のケガに対して、外科的手術や薬品ではなく、手を用いた応急措置や医療補助的方法によって、身体機能の回復を目指す仕事。患者の触診診断をおこない、柔道整復師の業務範囲内か、医療的な処置に従事できる医師や看護師の業務範囲内かを判断するのも仕事の一環です。

引用元:厚生労働省:柔道整復師

柔道整復師の仕事内容とは?

柔道整復師の仕事内容は、骨・関節・筋組織・靭帯に関わる損傷に対して、手術をおこなわず、整復や固定などをおこない、人間の自然治癒による回復を促すのが特徴です。

各種の損傷に対して、ギプスや包帯による固定・テーピングによって患部を固定。患部が治癒してきたら、手技・運動・物理療法などで、正常な運動機能をサポートします。

引用元:厚生労働省:柔道整復師

柔道整復師を目指すには?

専門学校や短大、大学で解剖学・衛生学・生理学・病理学を学び、柔道整復の技能・知識に関するカリキュラムを3年以上受講した上で、柔道整復師試験に合格する必要があります。

柔道整復師はやめたほうがいいと言われる理由とは?

整骨院や病院などで柔道整復師として働いていると、職場によっては、勤務時間の長さや身体への負担、人間関係のせいで、仕事を辞めたいと考える方も少なくありません。ここでは、柔道整復師がやめたほうがいいと言われる理由について、詳しく見ていきましょう。

勤務時間が長く、帰りが遅くなることも

整骨院や接骨院などにおける柔道整復師の仕事は、患者さんの施術がおもな業務となります。

しかし、実際の勤務では施術以外にもさまざまな業務が発生し、とくに閉院後はオンラインでの予約情報の処理や事務作業、お店のブログの更新などのあらゆる業務をおこなわなければなりません。

そのため、柔道整復師の仕事は勤務時間が長くなりやすい傾向があり、帰りが遅くなることもあります。とくにプライベートの時間を大切にしたい人の場合、つらいと感じることも多いようです。

体力的に辛い、腱鞘炎などの身体の不調

柔道整復師は、施術としてマッサージや整体などをおこないます。この施術は基本的に立っておこなう必要があるので、体力的に辛いと感じる人は少なくないようです。

また、毎日施術をおこなっていると、腱鞘炎や腰痛などの具体的な症状があらわれ、その痛みが増大することで日常生活にまで支障が出てしまうこともあります。

このように柔道整復師の仕事には自分自身の身体を酷使しなければならないため、セルフケアが欠かせません。

技術面の不安

柔道整復師の仕事では、施術をとおして、患者さんの身に生じている不調を改善させる必要があります。この目的を達成するうえでは、相応の知識とスキルが必要となり、とくに仕事に慣れないうちは技術面で不安を感じることが多いようです。

技術面での不安を解消するためには、より高度な知識・スキルを身につける必要があり、それらは日々の業務のなかで積み上げていくことが可能です。そのため、柔道整復師の仕事では、働きはじめてからも学ぶ姿勢を保ち続けることが重要となります。

患者とのコミュニケーションがむずかしい

柔道整復師として治療をおこなっていくうえでは、患者さんとコミュニケーションをとり、どのような施術が必要なのかなどを考えることが不可欠です。しかし、人によっては患者さんとのコミュニケーションをむずかしいと感じ、それが仕事に対する不安へと変化してしまうケースも少なくありません。

また、患者さんとコミュニケーションをとらないとクレームにつながってしまうこともあり、日々の業務では患者さんへの話しかけ方などを学んでいくことが大切です。

同僚や先輩、後輩など人間関係の悩み

柔道整復師の仕事では、ほかの多くの仕事と同じように、職場における同僚や先輩、後輩との人間関係で悩みを抱え、それが仕事のそのものへの苦手意識へと変化してしまうケースも少なくないようです。

柔道整復師の場合、職場での良好な人間関係の構築は、自身の技術を高めるうえでも不可欠となります。とくに仕事に慣れるまでは業務内容などについて質問するなどし、同じ職場で働く人たちと積極的にコミュニケーションをとることが大切です。

周りにマッサージ店や整骨院が多く経営に不安がある場合も

柔道整復師が活躍している場所は多岐に渡り、整骨院のほかにもマッサージ店や接骨院などのさまざまなものが挙げられます。そして、自身が働く施設などの近くに同じような施設があると経営がむずかしくなってしまうこともあり、そのことが仕事への不安へと変わってしまうケースもあるようです。

そのため、柔道整復師としての就職・転職を目指す際には、周囲に同じような施術をおこなっている施設がないことを確認する必要もあります。

給料が安い

厚生労働省が発表した『令和4年度 賃金構造基本統計調査』によれば、柔道整復師の給与は、下記のようになっています。鍼灸師なども含んだデータです。

引用元:厚生労働省:令和4年度 賃金構造基本統計調査

他の介護・医療職と比較すると決して高くなく、給与水準の低さから、仕事を辞めたいと考える方も少なくないのが現状なのです。

やめたくなった時の選択肢が少なめ

柔道整復師は専門領域が狭く、辞めた時の転職の選択肢が少ない点が「柔道整復師になるのはやめたほうがいい」と言われるゆえんなのでしょう。柔道整復師に関連した職にしか転職できず、やめたいと思った時に困ってしまうシチュエーションが想定されるのです。

本当にやめた方がいいの? 柔道整復師の魅力と将来性とは

柔道整復師はやめたほうがいいという意見だけでなく、資格取得を目指すべきという意見もあります。ここでは、柔道整復師の魅力と将来性について見ていきましょう。

スキルを磨き経験を重ねれば高収入に

一般的に言って給与水準がそこまで高くない柔道整復師の仕事ですが、職場経験を積み、スキルアップをして役職に就くことで、高収入を目指すことも不可能ではありません。

柔道整復師にプラスアルファのスキルと知識をつけて、他の人には任せられない仕事をこなすことができれば、高年収を稼げる可能性もあるのが魅力です。

独立で大きく成功することもできる

柔道整復師は、独立開業を目指すことで年収1,000万円も夢ではありません。競合が多く厳しい業界ではありますが、柔道整復師としてのスキルに営業スキル、お客様一人ひとりが満足できる施策を講じることで、独立して大成功するのも夢ではないでしょう。

女性施術者の需要も高まっている

近年では女性の柔道整復師のニーズも高まっており、女性の養成学校入学者も増えています。柔道整復師は、患者の反応や微妙な身体の異変を察知して、気配りや施術をおこなっていく必要があり、女性としての価値観を有効活用できるケースも多いのです。

女性の方でも活躍できる仕事として、柔道整復師はおすすめの職業だといえます。

スキルや知識を活かした転職が可能

柔道整復師をやめたくなっても、専門職として働いた知識や経験は、別の職場への転職活動でも活かせます。柔道整復師は医療・介護現場にとどまらず、スポーツ施設や保険診療の場でも活躍でき、資格を活かせる職場が多いことでも知られているのが特徴です。

柔道整復師の主な転職先については、下記で紹介しています。

柔道整復師の主な就職先を紹介! 病院勤務・整形外科で働く柔道整復師の仕事内容とは?

整形外科などの医療機関

柔道整復師の施術は、整形外科などでおこなわれているリハビリの一環で必要となることもあります。このことから、とくにリハビリをおこなっている整形外科は、柔道整復師の転職において候補のひとつになるでしょう。

整形外科におけるリハビリで柔道整復師は、理学療法士や作業療法士と協力しながら患者さんの身体機能の回復を図ります。また、その過程で患者さんの身体に痛みなどが生じた場合などには、柔道整復師が施術をおこなうことも珍しくありません。

介護業界

介護業界全体では慢性的な人手不足に陥っていることもあり、継続して人材の募集がされています。とくに有資格者が活躍できる場所はこの業界内に限定しても数多くあり、柔道整復師にとっては転職先候補のひとつになるでしょう。

柔道整復師が活躍する介護業界の具体的な施設としては、老人ホームやデイサービスなどがあります。これらの施設では常時就労希望者の受付をおこなっているケースも珍しくないことから、できるだけ早く新たな職場を見つけたい方にもおすすめです。

また、リハビリのやり方を教え、リハビリのメニューを考案する機能訓練指導員といった仕事もあります。

具体的な機能訓練指導員の仕事内容に関しては、下記の記事を参考にしてみてください。

機能訓練指導員として働く柔道整復師の仕事内容とは|柔道整復師の機能訓練指導員は需要がある?

スポーツジムのインストラクターやトレーナー

柔道整復師として身につけた知識や施術スキルは、スポーツ関係の仕事で役立てることも可能です。一般的な職種としてはスポーツジムのインストラクターやトレーナーが挙げられ、これらもまた柔道整復師の転職先候補となるでしょう。

スポーツジムのインストラクターやトレーナーは先生として利用者のトレーニングに関与し、体力の増強やダイエットなどの目的達成を目指します。これらの目的においては柔道整復師としての経験を活用でき、資格を保有していることで、転職活動でも有利になるでしょう。

柔道整復師は魅力のある職業! キャリアプランをしっかり練ろう

柔道整復師は専門性があり、転職や独立開業といったキャリアプランも実行できる仕事で、非常に魅力的な職業だといえます。しかし、職場によっては、身体的な負担や勤務時間の長さ、人間関係のいざこざが仕事をやめたいと感じる要因になってしまう可能性もあるでしょう。

柔道整復師になってから後悔しないように、しっかりとキャリアプランを考えた上で、資格の取得を目指しましょう!

引用元
厚生労働省:柔道整復師
厚生労働省:令和4年度 賃金構造基本統計調査

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