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ヘルスケア 2022-06-25

大分の暮らしや就職の魅力は?~大分県が進める、ひとりひとりに合わせた移住や福祉・医療分野への就職支援~【前編】

「日本一のおんせん県おおいた」として全国に温泉をPRしている大分県。仕事帰りに気軽に温泉を楽しむことができるほど暮らしに温泉が溶け込んでおり、派手ではないけれど田舎過ぎないコンパクトな街並みが人気で毎年移住者が増えています。
そんな大分県が、一生モノの資格取得の支援まで踏み込んだ、今までにない移住就職支援プロジェクトを立ち上げました。移住施策に携わっている大分県庁の職員お二人にお話を伺いました。

【プロフィール】
大分県企画振興部おおいた創生推進課移住定住促進班
宮原珠美さん 茶園広一朗さん
これまでさまざまな移住施策を行ってきた、大分県による移住就職支援事業の推進者。住まいや仕事、生活、自治体のルールのことまで、移住希望者の不安や困りごとに寄り添ってくれる移住相談のプロフェッショナル。

未経験者でも大丈夫。働きながら一から福祉・医療系の資格取得ができる大分県の移住就職支援プロジェクト


――今回、大分県主催で福祉・医療スキルアップ移住推進事業を始められるとのことで、まずは事業の概要と、事業を始めるに至った背景について教えてください。

宮原 これまでも大分県は移住を希望される方に住まいや子育て、移住体験等の支援、また最近ではプログラミングスキルの取得をサポートし移住後の就職までの一貫した支援にも取り組んでおり、5年連続1,000名を超える方に移住していただいています。

近年コロナ禍による影響もあり、「都会の密を避け地方で生活したい」という方々が徐々に増えているのか、昨年度は大分県の移住者が1,416名と、過去最高の数字となりました。

――1,416名ですか!そんなにも全国各地の方々が大分県に移住されてくるのですね。

宮原 はい。しかし移住者数が増加するにつれ、自分が希望する仕事がなかなか見つからないという声も聞くようになりました。一方で、大分でも福祉・医療現場は慢性的な人材不足を抱えています。ただ福祉の仕事の中には未経験の方でも入職できる仕事や社会人の方が取得できる資格もあり、キャリアアップして安定した生活を送ることができます。

そこで今回、大分県に移住する方に福祉・医療系の仕事や資格取得のご提案をして、県内での仕事を見つけていただきたいと事業を立ち上げました。

――なるほど。具体的には、どんな職種の資格取得に支援をしてくれるのですか。

宮原 今回対象としているのは、看護職(看護師・准看護師)と介護職(介護職員初任者研修)と保育士の3つです。この3つの職種に必要な資格を大分県に移住される方が取得する際に支援をします。

県福祉保健部でも人材確保の事業を行っていますが、おおいた創生推進課が連携し、3つの職種を横断的にまとめて支援することによって、移住を希望する方に幅広い職種の選択肢が提供可能になりました。

移住・就職までワンストップで。移住希望者一人ひとりに寄り添ったオーダーメイドな手厚い支援

――看護職について、具体的な支援の内容について教えてください。

茶園 まず、看護職に就職するには看護学校に通学する必要があるため、県内の看護学校への入校奨励金として20万円を支給します。これは正看護師・准看護師どちらも対象ですが、正看護師の資格を取得するとなると授業や演習などが多く、仕事との両立が難しくなってしまいます。
そこで社会人の方で働きながら資格取得をしたい場合は、まずは准看護師になるための学校から通い始めることをご提案しています。

――なるほど。移住希望者の生活スタイルによって、提案の仕方を変えているのですね。介護職の支援内容も教えてください。

茶園 はい。介護職については、無資格でも入職できる仕事ではありますが「介護職員初任者研修」という資格を取得すると手当がついたり、訪問介護に携わることもできます。入職率が上がるだけでなく、将来のキャリアアップにも繋がるため、全国どこから受講しても最大9万円まで受講料の支給をします。

――最大9万円は手厚いですね。保育士の資格所得の支援については、どんな内容ですか。

茶園 保育士を目指す場合は、国家試験に合格する必要があり、保育士養成学校で学ぶ以外に試験によって取得する方法がありますが、試験での合格率は約20%(厚生労働省「保育士試験の実施状況(令和3 年度)」を参照)と非常に難しい試験です。支援として、保育士試験の受験対策講座を無料で受講していただけるほか、保育士資格を取得されるまでに、保育補助者として働ける道もあります。興味のある方には、保育補助者になるためのサポートもしています。

――資格の種類も支援の内容もさまざまですね。

宮原 はい。職種によって資格の取り方が違うので、初めて聞く方には少し難しいと感じるかと思います。そこで、初めての方でも分かりやすく理解して頂くために、この3職種に精通した「スキルアップアドバイザー」を設置し、移住希望者をきちんとご案内する仕組みにしています。

今までまったく福祉に目が向いていなかった方にも気軽にご相談していただけるような、移住・就職までワンストップで伴走して支援する体制をとっています。

――移住・転職後にミスマッチが起きないよう、どのような対策をされていますか。

茶園 先ほどのスキルアップアドバイザーのほかに、3職種それぞれのメンターも設置しているので、移住希望者さんの適性に合った職場の相談が可能です。また、移住前に大分県の視察費用も支給し、実際の職場や学校見学に訪問した上で最終的に移住や職種を決めていただきます。

――移住する前に就職先や、通う学校の見学にいけるのは移住者にとっても安心ですね。視察では、他にどんなことをするのですか。

宮原 まずは、移住希望者の住みたいエリアを拠点として一緒に巡回していきます。例えば、豊後高田エリアに移住を希望していたら、豊後高田エリアの事業所を見学します。住みたいエリアは、それぞれですからその方に合わせて見学場所も変えていきます。またその際にかかる大分県までの旅費も支援させていただきます。東日本地区は最大4万円、西日本・沖縄地区は最大3万円、九州地区は最大6千円を支給いたします。

――移住希望者にとても寄り添ってくれるのですね。募集定員は何名ですか。

茶園 3職種それぞれ10名としています。1職種10名の方を同期の仲間として、就職後お互いが相談しやすいように、移住者同士のつながりづくりも一緒に支援をしていこうと考えています。

魅力がいっぱいの大分県で楽しく安定した暮らしをしていただきたい。担当者の熱い想い

――今回このような事業をするにあたっての担当者お二人の想いを教えてほしいです。

茶園 移住をする際の最大の壁は、「仕事の確保」だと考えています。今回のような施策を通してより手厚く支援することで、少しでも「大分県に移住してよかったな」と思っていただけると嬉しいです。

宮原 資格って一生モノですよね。今回取得支援をする福祉・医療系の資格があれば、例えば50代、60代になっても働けるし、60代から週3パートで好きなときだけ働くということも可能です。手前味噌ですが、一生モノの資格取得の支援まで踏み込んでいる自治体は、なかなかないと思います。

「新しい生活を探したい」と移住を希望される方が多くいるものの「地方には仕事がない」と考えている方も多いと思います。しかし、福祉の仕事は地方でも絶対に必要とされます。
これを機に福祉系の資格を取得して、プライベートも楽しみながら仕事にやりがいを持ち、安定した暮らしを提供できるように、大分県として最大限の支援をしていこうと思います。
まずは幅広くご自分の選択肢を考えていただけるといいなと思っています。

転職の不安を拭い去る、移住した先輩たちの体験談が聞けるオンラインイベント


――7月にオンラインイベントを開催されるそうですが、どのような内容でしょうか。

茶園 茶園 この事業にご興味ある方に向けて、スキルアップアドバイザーとそれぞれの職種で現在働かれている方を集めたイベントを開催予定です。トークセッションを通して、大分で働くことや暮らすことをより具体的に、よりリアルに検討できるイベントになっています。

――どんなお話をする予定ですか。

それぞれの職種の方がどのような1日を送っているのか、お仕事の大変さリアルな実情も交えたお話を聞いていただきたいと思っています。

また、福祉・医療系の職種に持たれがちなマイナスイメージを払拭できるような企画もご用意しています。
職員の方の身体的な負担を軽減していくためのノーリフティングケアやICT技術を活用した業務の効率化などの現場で取り組む働き方改革の状況もご紹介できればと思います

――とても興味深いお話が聞けそうですね。

茶園 他にも、大分で暮らす魅力についてもお伝えしていきたいと思います。
都会と地方の良いとこ取りをしたコンパクトシティとしての魅力を感じてもらうため、当日は現地と生中継しながら繁華街や温泉地、自然の豊かさをお伝えする予定です。

――生中継でおつなぎするんですね!それはより移住のイメージが膨らみそうですね。

宮原 はい。より具体的にイメージを持ってもらえるような企画をご用意していますので、ぜひお気軽に参加していただけると良いかなと思っています。

茶園 この3職種をまとめて見られるイベントもなかなかないと思います。参加していただいたら、案外考えてもみなかった道が拓けるかもしれません。将来の選択肢のひとつとして、イベントを参考にしていただければと思います。

――申し込み方法などの詳細の情報はありますか。

宮原 大分県移住・交流ポータルサイト「おおいた暮らし」から詳細をご覧いただけます。

大分県移住・交流ポータルサイト「おおいた暮らし」

お問い合わせは、スキルアップアドバイザーの太田 直希さんのメールアドレス(ijyuu@sakurairohoikuen.jp)宛てにお送りください。太田さんご自身も他県からのIターンで移住されており、その経験を活かしてご相談者の方に寄り添ったサポートをさせていただきます。お気軽に何でもご相談いただければと思います。


後日公開する後編では、大分県の魅力や福祉職の魅力、移住や就職への相談サポートの内容について、スキルアップアドバイザーの太田さんにお伺いしたインタビューをお届けしますので、ぜひそちらも合わせてお読みください。

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