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特集・コラム 2021-10-26

介護タクシー開業にかかる費用とは?|3つの許可要件について解説

介護タクシーは、通院介助などをおこなう介護保険事業によるサービスです。比較的、開業しやすいといわれていますが、実際に開業するとしたら、どの程度の資金が必要になるか知りたい人もいるのではないでしょうか。

また、開業するにあたっての許可申請も、どのような要件があるか理解することは重要です。今回は、介護タクシー開業にかかる資金と許可要件についてくわしく解説します。

介護タクシー開業にかかるおもな費用とは?


介護タクシーの開業にかかる費用には一体どんなものがあり、どのくらいかかるものなのでしょうか。ここでは、車両代やタクシーメーターなどの開業に必要な費用について、くわしくご紹介していきます。

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1. 車両代・タクシーメーターなど

まずは、車両に関係するものの費用がかかります。おもに車両代が大きな割合を占めますが、車の大きさ、さらに新車か中古車にするかでその購入額は変動するのが特徴です。

目安としては、軽自動車なら200万円前後、普通自動車なら300万円前後。車両以外にも、タクシーメーターの設置に10〜15万円ほどかかります。

2. 免許・資格の取得費用|介護保険タクシーには介護職員初任者研修も必要

そもそも介護タクシーなどを運転するドライバーは、普通二種免許を取得していなければ運転することができません。また必要なのは上記の免許だけではなく、介護職に携わるものとして、介護職員初任者研修の講座を習得し、資格に合格する必要があります。

普通自動車二種免許は20万円前後、介護職員初任者研修は10万円前後の費用が必要となることを覚えておきましょう。

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3. 賃料|営業所・車庫など

営業所・車庫・駐車場などの賃料も、開業費に含まれる費用です。ただし、これらの費用は借りる地域や土地の広さによって異なるため、一概にいくらだとはいえません。

また、その地域の管轄となる運輸局によって要件も違うため、要件を満たす場所を借りる必要があります。ただし、要件を満たしていれば、自宅を営業所や駐車場として利用することも可能です。

4. 運輸局登録免許税

運輸局に許可申請の書類を提出して、法令試験と事情聴取を実施したあとには、審査がおこなわれます。ここで許可証が発行された場合には、登録する際に運輸局登録免許税(3万円)の納付が必要です。

5. 備品購入代|車椅子など

車椅子や領収書などの消耗品、筆記用具・印鑑などの事務用品、テーブル・椅子・電話などの備品を購入するための費用も必要です。これらの備品は、全体として20万円前後は見積もっておいたほうがよいでしょう。

6. 運転資金

最後にかかる費用としては、運転資金があります。おもに人件費としてかかり、2〜3カ月分の運転資金が必要です。たとえば、1人あたり20〜25万円の給与だとすると40〜75万円×人数分が目安となります。

人件費以外にも、燃料費や賃料、備品購入代なども運転資金に含まれるので150万円前後準備する必要があるでしょう。また、残高証明に関しては事業計画書の50%以上の資金が必要です。

介護タクシー開業に使える補助金を紹介!


介護タクシーの開業は、少ない資金ではじめやすいといわれています。しかし、数百万円単位ともなるとかんたんに準備できる金額ではありません。そこで助けになるのが、補助金制度です。ここからは、介護タクシー開業に使える補助金についてご紹介します。

介護タクシー事業に利用できる補助金にはどんなものがあるの?

地域公共交通確保維持改善事業費補助金

まずは、国土交通省が支援する地域公共交通確保維持改善事業費補助金です。そのなかでも、介護タクシー開業に関わる部分は、地域公共交通バリア解消促進等事業が担当となります。

目的としては、公共交通のバリアフリーを進めることです。費用の補助率は3分の1で、要望のある事業者に対して可能な限り補助をおこなう考えなので、要件を確認して申請するとよいでしょう。

横浜市UDタクシー(タクシー事業者福祉車両)導入促進事業

こちらは横浜市限定になりますが、UD(ユニバーサルデザイン)タクシー事業者福祉車両導入促進事業による補助金です。目的は一般のタクシー事業者に対して、横浜市内のUDタクシー導入促進になります。

購入費用の補助金は、ユニバーサルドライバー研修の受講が条件です。金額は該当年度の市予算の範囲内で市長が決定した額で、上限は車両1台あたり12万円となります。

千葉県福祉タクシー導入促進事業

こちらも千葉県限定になりますが、千葉県福祉タクシー導入促進事業による補助金があります。目的は、高齢者や障がい者などの交通手段の確保です。

車両本体と車載機器の整備に関する経費が補助対象となります。補助金は補助対象経費の3分の1で、上限は1台あたりスロープのある車両が60万円、リストのある車両が80万円です。

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介護タクシー開業に必要な要件とは? 3つの許可要件を解説

チェックリスト

介護タクシーの開業に必要な要件には、一体どういうものがあるでしょうか。ここからは、開業に関わる3つの許可要件についてご紹介します。

1. 人員要件

介護タクシーを開業する場合の人員要件は、以下の3種類の基準を満たす必要があります。

・運転者に普通自動車二種免許と介護職員初任者研修の取得者がいること
・運転管理者がいること(運転者と整備管理者の兼務可能)
・整備管理者がいること(運転者と運転管理者の兼務可能)

また、過去2年以内に免停となるなど欠格が見つかった場合は、申請の際にその人員を外すようにしましょう。

2. 設備要件

設備要件についても、以下の基準を満たす必要があります。

・営業区域内に休憩室や仮眠室のある営業所もしくは事務所があること
・営業所もしくは営業所の使用権限が3年以上であること
・土地や建物が法令に違反していないこと、事業に応じた大きさであること
・営業所に隣接した車庫があること(車両の長さ・幅+1m以上のスペースが必要)
・リフトやスロープなどがある福祉車両が1台以上あること

設備要件はとくに内容が多いので、よく確認しましょう。

3. 資金要件

資金要件においては、2種類の条件を満たす必要があります。

・事業を開始するにあたって必要なものの購入見積額が適切であり、資金計画が確実かつ合理的でなければならない
・申請日以降、つねに50%の所用資金、かつ100%以上の事業当初資金などの自己資金が確保されていること

所用資金や事業当初資金は、車両代・賃料・備品代などから計算されます。くわしくは運輸局で確認してみてください。

要件をクリアして許可申請書を提出しよう|法令試験と事情聴取

上記の要件をクリアできたら営業所を構える運輸局の管轄を確認してから、許可申請所を提出する必要があります。ここで不備などがあると補正指示を受けるので、記入時にはじゅうぶんに注意しましょう。

申請書が受理されたのちには、法令試験と事情聴取を受けなければなりません。法令試験で出される問題は道路運送法などで、○×方式とかんたんな筆記回答です。問題が30問あるうち、24問正解する必要があります。

スムーズな開業を目指して準備をはじめよう!


介護タクシーの開業には、車両代・資格取得代・賃料などの開業資金を事前に準備しておく必要があります。資金計画は、適切に示されていることが重要なので、開業にかかる費用はしっかりと確認しましょう。

万が一、資金が足りないという場合には、補助金制度なども利用できるので検討してみてください。スムーズな開業を目指して、開業資金と許可要件は早めに準備しておくことが大切です。

引用元サイト
国土交通省 補助金のご案内(タクシー関係)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr3_000018.html
国土交通省 地域公共交通確保維持改善事業
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000041.html
国土交通省 地域公共交通バリア解消促進等事業
https://www.mlit.go.jp/common/001371175.pdf
横浜市 UDタクシー(ユニバーサルデザインタクシー)導入促進事業
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/fukushi-kaigo/fukushi/annai/gaishutsu/sharyo/ud.html
千葉県 令和3年度千葉県福祉タクシー導入促進事業
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/fukushi-taxi/fukushi-taxir3.html
国土交通省 東北運輸局 一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーを除く。)経営許可申請書作成の手引き
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/jk/2k-tebiki/01.pdf

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