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特集・コラム 2023-01-06

名称独占資格とは?業務独占資格・必置資格・技能検定との違いや介護福祉の名称独占資格もご紹介

国家資格は、特定の職業に従事する際に国の法律に基づき、各専門分野で能力や知識を有していることを証明することができる資格です。この国家資格は、法律の規制により分類されていることをご存じでしょうか。

今回の記事では、そのひとつである名称独占資格をメインに特徴をご紹介します。さらに他の分類されている資格についてもご紹介しますので、比較しながら参考にしてください。

名称独占資格の特徴

国家資格とは、国の法律に基づき、特定の職業に従事する知識を有した者であることを証明する資格のことを指します。国家資格は、法律によって一定の基準が定められているため、民間資格よりも権威性が高く信頼性もあるといえるでしょう。

国家資格の分類のひとつである名称独占資格には、3つの特徴がありますのでご紹介します。

1.有資格者以外は名称を名乗ることができない

名称独占資格は、資格を有している者以外が、その名称を名乗ることができません。

例えば、名称独占資格のひとつである介護福祉士の資格を有していない場合、自分が「介護福祉士である」と名乗ることはできませんが、有している場合は「介護福祉士である」ことを名乗って仕事をすることができます。

資格を保有していることをサービス利用者にアピールすることで、知識がある人として安心と信頼を得ることができるでしょう。

しかし、名称独占資格はあくまで名称を名乗れることに過ぎません。そのため、業務自体は資格を持っていなくとも行うことができます。

2.無資格で名称を名乗ると罰則がある

名称独占資格は、名称を名乗り仕事をすることができる国家資格です。名称独占資格に該当する資格には、無資格者が名称を使用した場合の罰則規定が定められています。理学療法士と作業療法士を例に、「理学療法士及び作業療法士法」の第十七条と第二十二条を引用してご紹介します。

第十七条 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。

第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項の規定により理学療法士又は作業療法士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、理学療法士又は作業療法士の名称を使用したもの
二 第十七条の規定に違反した者

引用元:厚生労働省|理学療法士及び作業療法士法

理学療法士や作業療法士については、資格の名称を使用した場合、30万円以下の罰金に処されます。他の資格においても、名称の使用不可と罰則の規定が定められています。

3.国、都道府県、法律で指定された団体の試験で取得できる

名称独占資格は、国が主体となって行う試験の他にも、都道府県や法律で指定された団体が主体となり試験を開催しています。例えば、医師・看護師・作業療法士・理学療法士は、国が試験実施の主体となっており、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士は、国の指定を受けている公益財団法人社会福祉振興・試験センターが開催しています。

各国家資格の実施主体は、厚生労働省「国家資格の試験実施主体、受験手数料、受験者数、登録の要否等一覧」に記載されています。この資料には、受験手数料も記載されているため、ぜひ確認してみてください。

国家資格には名称独占資格以外にも規制の種類がある

国家資格には、名称独占資格以外に3つの種類があります。

・業務独占資格
・必置資格(設置義務資格)
・技能検定

それぞれが法律で定められており特徴が異なります。各資格の特徴と例をご紹介します。

1.業務独占資格

国家資格の中でも、業務独占資格という言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。業務独占資格とは、資格を保有することで独占的に業務を取り扱うことができる資格のことをいいます。資格の例として、医師や看護師、弁護士などが挙げられます。また、業務独占資格は名称独占の規定もあることが特徴的です。

業務独占資格を有していない者は、その資格に規定されている業務を行うことができません。

名称独資格と業務独占資格では主に罰則対象が異なる

業務独占資格には、名称独占資格と同様に罰則規定が定められています。しかし、両者では、罰則の対象が少し異なります。

名称独占資格は、無資格者が資格の名称を使用した場合に罰則されます。それに対して、業務独占資格は、無資格者の名称使用と業務を行った場合にそれぞれ罰則があります。

業務独占資格には、二つの罰則があることを覚えておきましょう。

2.必置資格(設置義務資格)

必置資格(設置義務資格)とは、特定の事業や業務を行う場合に、該当する有資格者を最低一人以上設置する義務がある資格のことをいいます。この規定は法律で定められており、特定の事業や業務を行う際に、資格者がいなければ行うことができません。

例えば、国家資格の宅地建物取扱士は、宅地建物取引の事業を行う際にこの有資格者を設置しなければいけません。必置資格には、その他にも衛生管理者・旅行業務取扱管理者・運行管理者などが挙げられます。

3.技能検定

技能検定とは、業務知識や知能を評価する国家検定制度をいいます。技能検定には、機械加工、建築大工やファイナンシャル・プランニングなど130職種の試験が該当します。技能検定試験は国が主体ではなく、都道府県または法律で指定された団体が試験を開催しています。

介護福祉の名称独占資格

介護福祉系の名称独占資格を6つご紹介します。

・介護福祉士
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・保健師
・理学療法士
・作業療法士

それぞれの仕事内容と試験を受けるための受験資格をご紹介しますので、今後試験を受験される方は、ぜひ参考にしてください。

1.介護福祉士

介護福祉士は、社会福祉法と介護福祉法に基づいた名称独占資格です。介護福祉士は、介護を必要としている高齢者や障がい者の方へ向けて日常生活の介助や相談、指導を行うことが主な仕事です。

介護福祉士の資格を得るためには、厚生労働大臣が指定する養成施設の卒業、または3年以上の介護等の業務を行っている者で、さらに試験に合格する必要があります。

詳細を確認したい方は、厚生労働省「介護福祉士の概要について」を参考にしてください。

社会福祉士

社会福祉士は、介護福祉士同様、法律に基づいた名称独占資格です。社会福祉士は、身体や精神に障害がある、もしくは日常生活を過ごす上で支障がある方のために福祉の相談や助言、指導を行うことが主な仕事です。

それ以外にも、福祉サービスの提供や保健医療サービスを提供している関係者と連携・調整も行います。

資格を取得するには、福祉系の4年制大学を卒業、もしくは社会福祉指定養成施設を卒業した者で、国家試験に合格しなければいけません。

詳細については、厚生労働省「社会福祉士の概要について」を参考にしてください。

精神保健福祉士

精神保健福祉士は、精神保健福祉法に基づいた名称独占資格です。精神保健福祉士は、精神科病院等で医療を受けている精神障がい者など心に病を抱えている方が社会復帰できるように生活支援・相談・訓練を行うことが主な仕事内容です。

精神保健福祉士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要があります。受験資格はさまざまで、保健福祉系大学・福祉系大学・一般系大学の卒業、またはそうでない者で満たすべき要件が異なります。

詳細を知りたい方は、厚生労働省「精神保健福祉士について」を参考にしてください。

保健師

保健師は、保健師助産師看護師法に基づいた名称独占資格です。保健師は、地域に住む住民に対して保健管理など健康に関する相談を受けることが主な仕事内容です。病院・行政機関・企業・学校など活動できる場所が多く、働く場所によって業務内容が異なります。

保健師の資格を取得するためには、国家試験に合格しなければいけません。受験資格は、文部科学大臣が指定する学校・都道府県知事が指定する保健師養成所を卒業した者、他にも該当要件があります。

詳細を確認したい方は、厚生労働省「保健師国家試験の施行」を参考にしてください。

理学療法士

理学療法士は、理学療法士及び作業療法士法に基づいた名称独占資格です。理学療法士は、医学のリハビリテーションの専門職として病気や怪我で身体に障がいがある方へ、座る・立つ・歩くといった基本動作能力の回復や維持できるプログラムを作成、実行することが主な仕事内容です。

理学療法士はの資格を得るためには、試験に合格することが必要で、学校や養成施設で理学療法士の知識修得といった受験資格を満たさなければいけません。

詳細は、厚生労働省「理学療法士国家試験の施行」で確認できます。

作業療法士

作業療法士は、理学療法士と同じ法律で定められている名称独占資格です。作業療法士は、理学療法士の治療で基本動作能力が回復している方へ、日常生活がスムーズに送れるように食事・入浴・着替えなどを支援します。

作業療法士の資格を取得するためには、国家試験に合格する必要があります。受験資格を得るには、学校や養成施設で知識を修得していなければいけません。その他にも受験資格となる要件があります。

詳細は、厚生労働省「作業療法士国家試験の施行」を確認するようにしてください。

名称独占資格は社会的信頼性が高い

今回の記事では、名称独占資格の特徴、その他の規制の種類、介護福祉系の名称独占資格についてご紹介しました。名称独占資格は、国の法律で名称を名乗り仕事ができる資格です。ただし、この資格を保有していないと、業務に従事することができないというわけではないことも、覚えておきましょう。

名称独占資格は、無資格であったとしても仕事をすることができます。しかし、国家資格を取得すれば、専門分野の知識を有している証明になり、従事できる業務が増えます。

また、資格を保有することで、お客様からの信頼を得ることができるでしょう。これから専門職の業務にあたる方、すでに業務に従事していて資格を取得していない方は、これを機会に名称独占資格を取得してみてはいかがでしょうか。

引用元
文部科学省:国家資格の概要について
厚生労働省:介護福祉士の概要について
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省:精神保健福祉士について
厚生労働省:看護師、助産師及び准看護師の名称独占について
厚生労働省:保健師国家試験の施行
厚生労働省:理学療法士及び作業療法士法
厚生労働省:理学療法士国家試験の施行
厚生労働省:作業療法士国家試験の施行
厚生労働省:国家資格の試験実施主体、受験手数料、受験者数、登録の要否等一覧
厚生労働省:技能検定制度について

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