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特集・コラム 2023-07-07

認定理学療法士とは?資格の概要や取得ルート、3つのメリットを紹介

日本理学療法士協会が実施している認定理学療法士とは、一体どのような資格なのかよくわからないという方もいるでしょう。

認定理学療法士は、2022年4月に取得方法が変更された資格です。新生涯学習プランの一環で、従来の理学療法士向けの新人教育プログラムから、より専門性の高い理学療法士の養成を目指す資格になりました。

しかし、資格制度の変更に伴い、資格の概要や取得ルート、他の理学療法士との違いなど、よくわからない部分も多いのではないでしょうか?

本記事を読んで、認定理学療法士の資格の概要や取得ルート、資格を取得するメリットを理解した上で、認定理学療法士の資格取得プランを検討してみましょう。

認定理学療法士とは?

認定理学療法士とは、理学療法士(PT)の人材の質向上や、より専門性に特化した人材を確保する目的で創設された資格です。2022年4月からは、新生涯学習プランの一環で登録理学療法士の資格が新設され、認定理学療法士・専門理学療法士の取得方法もリニューアルされました。

同プログラムには、研修プログラムのほか、実践的な臨床認定プログラムがあります。座学にとらわれない、幅広い研修プログラムで実力を着実に高められる点が特徴です。

また、以下の21の認定分野があり、専門分野を決めてカリキュラムを選定します。

・脳卒中
・神経筋障害
・脊髄障害
・発達障害
・運動器
・切断
・スポーツ理学療法
・徒手理学療法
・循環
・呼吸
・代謝
・地域理学療法
・健康増進・参加
・介護予防
・補助具
・物理療法
・褥瘡・創傷ケア
・疼痛管理
・臨床教育
・管理・運営
・学校教育

引用元:公益社団法人 日本理学療法士協会:認定理学療法士制度

免許は5年更新制なので、資格取得者の知識・スキルの水準が担保されます。

学習する分野と領域

認定理学療法士の試験で学習する必須カリキュラムの分野・領域は、下記の通りです。

・医療安全学(医療倫理):医療倫理
・医療安全学(医療安全管理):医療管理・医療安全
・医療安全学(理学療法管理):理学療法の質保証・リスク管理
・医療安全学(感染管理):感染管理の理論・理学療法における感染管理
・チーム医療論(タスクシフト・シェア含む):チーム医療の理論・他職種協働の課題
・相談・指導:相談・対人関係・助言・指導
・認定・専門理学療法士の役割(科学・政策提言):根拠に基づく理学療法・理学療法ガイドライン・政策提言
・医療面接:医療面接の理論・医療面接の方法・医療面接の実際
・臨床推論:診療のプロセス・臨床推論の理論・臨床検査の理論
・運動学習:運動の制御と運動学習・運動学習の臨床応用
・人事管理・労務管理・職場コミュニケーション:人事労務管理・職場コミュニケーション
・足病変予防の理学療法(共通編):足部の正常な機能と構造・足病変の疫学、症状、病態生理・足病変の予防

引用元:公益社団法人 日本理学療法士協会|認定・専門理学療法士 指定研修カリキュラム シラバス

必須カリキュラムを終え、臨床認定カリキュラムの必須・選択科目を履修して、日本理学療法学術研修大会に参加すれば、認定理学療法師の認定試験に応募できます。

臨床カリキュラムは、選択する分野によって大きく変わる点を覚えておきましょう。

認定理学療法士になるのは難しい?

認定理学療法士になるのが難しいのかは、はっきりとは断定できません。2019年に実施された認定理学療法士の認定試験の合格率は90.9%でした。

しかし、新制度への移行後に実施された認定試験の合格率を確認しないと、現行制度における試験難易度は明らかにならないでしょう。

引用元:公益社団法人 各資格の取得状況

登録理学療法士と専門理学療法士との違いは?

認定理学療法士と同じく新生涯学習プランで新設された資格に登録理学療法士が、リニューアルした資格に専門理学療法士があります。これらの資格の違いは、下記のとおりです。

・登録理学療法士:前期研修・後期研修の後、研修を受けて認定
・認定理学療法士:認定分野の中から、専門分野でカリキュラム・試験を受ける
・専門理学療法士:専門の教育分野を履修し、論文・著作を提出し、試験を受ける

登録理学療法士は、前期研修・後期研修の後、研修を受ければ資格が認定されます。前期研修を受けるのに最低2年間、後期研修を受けるのに最低3年間の実務経験を要します。

認定理学療法士は、21分野の中から、特定の分野における専門性の高い人材が認定される資格。専門理学療法士は、特定の専門分野で査読を受けた論文・著作の提出を求められ、ある特定の分野において非常に専門性が高い人材が認定される資格です。

認定理学療法士になるには?5年ごとに更新が必要

認定理学療法士になるためには、まずは登録理学療法士の資格を取得した上で、認定理学療法士指定の研修プログラムを受け、認定試験に合格しなければなりません。

ここでは、資格を取得するまでの流れについて確認しましょう。

受験に必須のカリキュラムを履修する

認定理学療法士の認定試験を受験するためには、登録理学療法士の資格を取得後、指定研修カリキュラムを受け、臨床認定カリキュラム(必須・選択)を受けた後、日本理学療法学術研修大会に参加しなければなりません。

日本理学療法士協会に申請し、受験資格を満たしているかどうかがチェックされます。

認定理学療法士の試験に合格する

受験資格を満たしたら、認定理学療法士の試験を受験します。2022年4月からリニューアルされた資格制度なので、試験の難易度や合格率は未だに明らかになっていませんが、新制度が定着していくにつれて、試験の概要についての詳しい情報が出てくるでしょう。

5年ごとに資格を更新する必要がある

認定理学療法士、及び登録理学療法士・専門理学療法士の資格は、5年ごとに更新する必要があり、一度取得したからといって一生使える資格ではありません。認定理学療法士として働きはじめた後も、知識とスキルを継続的に向上させていく努力が必要です。

認定理学療法士の資格を取得する3つのメリット

認定理学療法士の資格を取得するメリットは、知識やスキルが身につくことに加え、就職や転職にも役立つ点です。取得するメリットを再確認して、資格取得を目指しましょう。

1.自分自身のスキルを確認できる

認定理学療法士の資格を取得することで、自分自身の現状の知識やスキルについて再確認できます。目標とするキャリアを達成するためには何が必要で、どんな経験を積めばいいのかを確認する上で、認定理学療法士の資格取得は大きなきっかけになるでしょう。

2.研修や学術会への参加で知識やスキルが身につく

認定理学療法士になるためには、研修や臨床実習、学術会への参加という経験をすることになります。学習経験や他の理学療法士と交流する機会を得て、知識やスキルをブラッシュアップすることで、介護・医療現場におけるさらなる活躍が期待できるでしょう。

3.転職でアピールできる

認定理学療法士の資格を取得すると、転職の場面で評価される可能性が高いです。理学療法士の上位資格という位置づけであり、他の理学療法士と差をつけて、就職・転職を有利に進めたい方におすすめです。

認定理学療法士に関してよくある質問

認定理学療法士に関して、よくある質問がいくつかあります。それぞれの質問と答えを知って、認定理学療法士の資格取得に活かしましょう。

臨床認定カリキュラムのオンライン受講は可能か?

臨床認定カリキュラムを受講できる教育機関によって異なります。カリキュラムの受講を検討している教育機関のホームページから、オンライン受講の可否を確認しましょう。

好きなタイミングで資格を更新してもいいの?

認定理学療法士の資格更新は、5年ごとの更新年度に行います。事前受講は不可能です。ただし、旧制度における認定理学療法士の認定試験の合格者は、2年間の猶予期間内であればいつでも試験を受講できます。

他団体の学会や研修会は点数として加算されるの?

他団体主催の研修会や学会、集会への参加は点数に加算されません。毎年5月に開催される日本理学療法学術大会に参加するようにしましょう。

認定理学療法士の特徴やメリットをおさえて、資格取得を目指そう!

認定理学療法士は、2022年4月から開始された新生涯学習プランによってリニューアルされた資格です。登録理学療法士の資格取得後に、21の認定分野の中から、自分が専攻する分野の基礎・応用の臨床カリキュラムを受験し、認定試験に合格することで認定理学療法士になれます。

新制度への移行後に、認定理学療法士の認定試験はまだ実施されておらず、難易度や合格率に関しては未知数ですが、資格を取得すれば理学療法士よりも一段上の資格として、就職・転職に役立つはずです。

認定理学療法士の資格の特徴やメリットをおさえて、資格取得を目指しましょう!

引用元
公益社団法人 日本理学療法士協会:認定・専門理学療法士制度について
公益社団法人 日本理学療法士協会:認定理学療法士制度
公益社団法人 日本理学療法士協会:認定・専門理学療法士 指定研修カリキュラム シラバス
公益社団法人 日本理学療法士協会|各資格の取得状況
公益社団法人 日本理学療法士協会|FAQ・お問い合わせ

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