ホームヘルパーの派遣サービスとは? 介護施設との働き方の違いを解説!
ホームヘルパー(訪問介護員)は、介護施設での勤務と異なり、サービス利用者の自宅へ直接訪問して、派遣サービスを提供する仕事です。利用者にとっては、一番心やすまる自宅で過ごせること、またご家族にとっても、介護のサービスを受けることで負担が軽減されます。ここではホームヘルパーの仕事内容、資格取得までのプロセスをご説明します。
ホームヘルパー(訪問介護員)の派遣サービスとは?
ホームヘルパー(訪問介護員)は介護施設勤務の職員と違い、介護の派遣サービスを必要とするご家庭へ直接出向いてサービスを提供するお仕事です。サービス利用者が可能な限り自宅で自立した生活が送れるよう食事・排泄・入浴などの介護や、掃除・洗濯・買い物・調理など生活の支援を行います。
訪問介護の利用対象者は、要支援1~2、要介護1~5の人です。ここからはホームヘルパーが提供するサービス内容についてご説明します。
事業所などから利用者の自宅を訪問する
ホームヘルパーは事業所からサービス利用者の自宅を訪問します。一方、介護施設勤務は、介護施設に来た利用者を介護する仕事です。利用者の自宅へ行くか、利用者が施設に来るかという大きな違いがあります。
ホームヘルパーは、介護保険法にもとづく、訪問介護を提供する専門職です。よって、国が定めた研修を修了する必要があります。しかし、介護福祉士のように国家資格を必要とはしません。
ホームヘルパーは、介護職員初任者研修、介護職員実務者研修を有する職業で、厚生労働省が定めた事業所実施している「介護職員初任者研修課程」を修了することが必要です。130時間の抗議および演習、さらに筆記試験による修了評価を実施します。
介護サービスや家事援助サービスを提供する
ホームヘルパーは利用者のご家庭を訪問し、どのような介護サービスを提供するのでしょうか。サービス内容は大まかに、身体介助をする「介護サービス」と、生活援助をする「家事援助サービス」の2つがあります。ここからはホームヘルパーが提供するサービス内容についてご説明します。
介護サービスの一例
ホームヘルパーが提供する「介護サービス」とは、訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、身体に直接触れて行なう介護サービスです。具体的な内容として、食事の手伝いや見守りをする「食事介助」、お風呂で身体を洗い、洗髪をする「入浴介助」、おむつ交換などの「排泄介助」があります。
そのほか、床ずれ予防のため、体位を変える「体位変換」、衣類の脱ぎ着を手伝う「衣類着脱介護」、散歩など歩行の介助をする「散歩補助」などがあります。どのサービスも利用者が可能な限り自立した生活ができるよう、手助けするサービスです。
家事援助サービスの一例
ホームヘルパーが提供する「家事援助サービス」とは、サービス利用者が家族と同居せず一人暮らしの場合、または本人や同居の家族が何かしらの理由で家事ができない場合、必要な身の回りの世話をするサポートです。身体介助とは異なり、利用者の身体に直接触れて何かをする、ということではありません。
たとえば食事の準備(調理・配膳)、掃除、洗濯、部屋の片付け、整理整頓、ゴミ出しや日用品の買い物代行などを行います。あくまでも、サービス利用者が必要とする生活援助に限ります。これらは訪問介護ならではで、介護施設ではほぼない内容です。
ホームヘルパーは「家事代行」ではありません。利用者の家族のためにサービスを提供することはしません。ほかの家族のための掃除・洗濯、来訪者への接客など、介護を必要とするご本人以外のお世話をすることはありません。
利用者や家族の精神面ケア
ホームヘルパーは利用者の自宅を訪問するため、介護施設よりも利用者やそのご家族に深く関わることになります。そのため、利用者やそのご家族がどのような精神面でストレスを感じているか、苦痛に感じているかをより深く実感することになるでしょう。
ホームヘルパーは介護サービスの提供により、利用者やその家族の負担を少しでも軽減することができます。サービスを提供される側の心の負担を少しでも軽くできるよう、丁寧な対応を心がけることが必要です。自宅介護ならではの利用者は家族の悩みなどのケアをします。
しかし、過度に関わることは危険です。あくまでも「プロの介護サービスを提供する」に徹することも大切です。
利用者の家族を対象に介護技術の指導
ホームヘルパーは、利用者の自宅で介護サービスを提供します。その際、ご家族に必要な技術指導をすることもあります。ホームヘルパーは24時間介護をすることはできません。ヘルパーが不在のとき、ご家族がどのように介護をすればよいか、専門知識を提供することで、利用者もご家族も、より快適な生活を送ることができます。
たとえば、床ずれ防止のために身体をどう動かせばいいか、食事の介護はどのようにすればよいかなど、プロの介護士でなくとも、知識さえあれば誰にでもできることはたくさんあります。そういった知識や経験をご家族に提供することで、利用者やご家族の生活向上につながります。
通院のサポートなど生活に必要な支援
ホームヘルパーは、サービス利用者が通院時に外出する際に、サポートを行います。たとえば、利用者が病院等へ行くための準備、自宅から目的地までの移動(介護タクシーなど)の付き添い、目的地に到着した後、受診等の手続きなどを利用者に代わって行います。
そのほか、日用品の買い物、選挙の投票、官公署への届出のサポートもします。ただし、日用品以外の買い物や外食は、日常生活上の必要性の範囲を超えるものとみなされ、サポートの対象外となります。
派遣サービスで働くには?ホームヘルパーの資格を取得しよう
訪問介護員(ホームヘルパー)として働くためには専門の資格を取得しなければなりません。ここでは、資格取得までのプロセスについてご説明します。
資格を取得するには?指定講座を受講しよう
ホームヘルパーは「介護保険法」にもとづく訪問介護の派遣サービスを提供する専門の職業です。ホームヘルパーになるには、「介護職員初任者研修」と「生活援助従事者研修」の2つを受講しなければなりません。ここではそれぞれどのような受講内容かについて、ご説明します。
ホームヘルパーに必要な資格① 介護職員初任者研修
ホームヘルパーになるためには、「介護職員初任者研修」を受講し、修了証明書を交付してもらう必要があります。介護職員初任者研修とは、平成24年度まで実施されていた「訪問介護員養成研修(ホームヘルパー1~3級)および「介護職員基礎研修」が一元化されたものです。これは、在宅、施設を問わず、介護事業に携わろうとする方を対象としています。
研修科目と時間数
「介護職員初任者研修」の研修内容は介護についての知識やスキルを学びます。講義と演習で構成され、約130時間を要します。その内訳は以下の通りです。
・職務の理解 6時間
・介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
・介護の基本 6時間
・介護・福祉サービスの理解と医療の連携 9時間
・介護におけるコミュニケーション技術 6時間
・老化の理解 6時間
・認知症の理解 6時間
・障害の理解 3時間
・こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
・振り返り 4時間
修了試験をクリアしよう!
自宅でのテキスト学習と教室に通学しての学習を組み合わせたカリキュラムとなります。すべてのカリキュラムを修了、さらにレポート等などに合格した後に、養成校にて1時間程度の「修了試験」が実施されます。試験に合格すれば「修了証明書」が発行され、介護に関する正しい知識とスキルを得たことが証明されます。これは一生涯、全国で通用する資格です。
ホームヘルパーに必要な資格② 生活援助従事者研修
「生活支援従事者研修」は2018年4月から新たに新設された資格です。「介護職員初任者研修」と同じ内容で構成されていますが、初任者研修の約半分の時間数になります。生活支援従事者研修のカリキュラム内容と時間は以下の通りです。
研修科目と時間数
合計59時間の内訳は以下の通りです。
・職務の理解 2時間、
・介護における尊厳の保持・自立支援 6時間
・介護の基本 4時間
・介護・福祉サービスの理解と医療の連携 3時間
・介護におけるコミュニケーション技術 6時間
・老化と認知症の理解 9時間
・障害の理解 3時間
・こころとからだのしくみと生活支援技術 24時間
・振り返り 2時間
介護職員初任者研修との大きな違いは「こころとからだのしくみと生活支援技術」の時間数で約51時間の差があります。
修了試験をクリアしよう!
生活援助従事者研修も、自宅でのテキスト学習と教室に通学しての学習を組み合わせたカリキュラムとなります。すべてのカリキュラムを修了後、30分程度の修了試験があります。それに合格すれば資格取得となります。
ただし、新設された資格のため、実施されていない自治体があるかもしれません。お近くの自治体等にお問い合わせください。
ホームヘルパーの派遣サービスは在宅介護を支える仕事!
少子高齢化がすすみ、施設ではなく自宅で過ごされる利用者が増えています。利用者にとって、自宅で過ごせることはなによりも安心して派遣サービスを受けることができます。また、利用者を支える家族にとっても、ホームヘルパーはとても大きな存在です。ホームヘルパーはやりがいのある専門職と言えるでしょう。
参照元
・介護求人パーク ホームヘルパー(訪問介護員)とは?~介護の仕事ガイド
(https://5159289.jp/contents/kaigo/kind/homehelper/)