自宅サロンで叶える、子育てと仕事のちょうどいいバランス セラピスト・溝上奈々子さん
2020年から自宅にサロンを開業したセラピストの溝上奈々子さん。前編ではヨガインストラクターをやめ、セラピスト1本にしぼったことが、飛躍のきっかけになったことを伺いました。
後編では、溝上さんが自宅サロン開業に至った経緯について伺います。出産、コロナ禍を機に踏み切った自宅サロンの経営。お客さまが増えていき、別の場所にサロンを構えようと考えたこともあったそうですが、子育ての時間も大切にしたいとの思いから、自宅サロン経営を続けているそうです。
今回、お話を伺ったのは…
溝上奈々子さん
セラピスト
子育てをしながらパート勤務をしていた30歳のときに、ヨガインストラクターを目指すことを決意。それと同時に体について学ぶきっかけになればとセラピストとしての仕事も始める。2015年にヨガインストラクターとしてデビューし、セラピストと並行して活動を続けていたが、2023年を機にセラピスト1本にしぼる。
現在は自宅で漢方アロマトリートメント専用サロンを経営しており、2ヶ月先まで予約の埋まる人気のセラピストに。10歳4歳の2児の母でもある。
母親業もあきらめない。自宅サロンが今のベストな選択
――自宅サロンの形態で開業した理由は?
2018年に2人目の妊娠が発覚して、セラピストとして働いていたサロンを辞めなくてはいけなくなったことがきっかけでした。セラピストの仕事が本当に好きだったのですが、産休などの制度はなかったので泣く泣く辞めることになってしまって。その後、自宅でたまにヨガの生徒さんにマッサージをするようになりました。2020年頃にはコロナ禍でヨガインストラクターとして活動していたスタジオも借りられなくなってしまったので、ヨガもセラピストも自宅でやってみてはどうかと思い、本格的に自宅サロンを開業したんです。
今は空いている部屋がないので、普段は寝室に使っている部屋を毎朝片付けて、施術ベットをおいてお客さまを迎えています。
――毎日メイキングをしたりと、自宅サロンを維持するのは大変ではありませんか?
そうですね。お客さまが増えてきたこともあり、最近まで、別の場所にサロンを構えようかと思っていたこともありました。ただ、子ども達もまだ10歳、4歳と、子育てに手がかかる時期でもあるので、仕事だけでなく、母としての自分も大切にしたい思いがあります。
そう考えたときに1日1組お客さまを迎え、子ども達と過ごす時間も大切にできる自宅サロンはベストな選択ではないかと。子ども達がもう少し大きくなったときには、気持ちがまた変わっているかもしれませんが、今のところは自宅サロンを続けていくつもりでいます。
自宅サロンではなく、プライベートサロンの意識をもつ
――自宅サロンの経営で心がけていることは?
「自宅サロンだから」と言い訳せずに、プライベートサロンとしてお客さまにくつろいでもらうための工夫をしています。まず自宅内の環境を整えることが欠かせないですね。生活感があるものは見えないようにしたり、インテリアにこだわったり。自分がお客さまになったつもりでサロン内を歩いてみて、どういう動線にしたらお着替えをするスペースに来やすいかなと、配置にも工夫しています。ほかにも食べたものの匂いが残らないように、お客さまが来店される前日には匂いが残る食事は控えたり、換気を充分にすることも心がけていますね。
また新規のお客さまが自宅サロンにくるというのは、少なからず緊張することだと思うので、笑顔で迎えること、そして私は常にお客さまに心を開き、接しやすくいることも心がけています。
――1日1組しかお客さまをとらないのも、そういった理由からですか?
はい、お客さまが施術後の時間をゆっくりとれるようにしています。ドライヤーなども自由に使っていただきゆっくりお支度をしていただいたら、最後にお茶を飲みながら、体の疲れ具合のお話や、セルフケアについてお伝えします。
また1組しかとらないのは、子ども達との時間を大切にしたいという意味合いもありますね。いろいろ詰め込みすぎてしまうと、仕事に追われて私がイライラしてしまうこともあると思うので、今のペースを崩さないでいこうと思っています。
セラピストとしても、講師としても、学びをとめない
――最後に今後の目標を教えてください。
自分を過信せずに学び続け、求めてもらえる自分でいることです。一昨年からヘッドマッサージの講座を始めたのですが、あるヨガの先生にそのことを伝えたら「講師であり続けるには、生徒でい続けなさい」と言われ、この言葉がすごくそれが心に残っています。受講生もだんだんと増えてきて、今年は初めて大阪と福岡に講師として呼んでいただくことも決定しているので、常に学び続け、講座をバージョンアップしていきたいと思っています。
また講師としてだけでなくお客さまの体に触れさせていただくセラピストとしても、学び続ける重要性を感じています。体の知識はどんどん更新されていくので、それを追い続け、お客さまが気付いていない不調や体の変化を見つけられるセラピストでありたいと思います。
自宅サロンと聞くと、店舗を構えるまでの準備期間というイメージがあったのですが、溝上さんのお話を聞き、工夫次第で充実させられることがわかりました。子育てと仕事の両方を大事に独立したい方は参考にしてみてくださいね。