作業療法士の初任給はどれくらい?就職後に収入アップを目指す方法とあわせて紹介
作業療法士として働くにあたって、給与はどれくらいもらえるのか気になる方も多いですよね。初めて就職する場合は、給与の仕組みについてよく分からない人もいるかもしれません。
この記事では、作業療法士の初任給について紹介します。給与から引かれる税金や社会保険料などもおさえておきましょう。また、就職後に収入アップを目指す方法についてもお伝えします。
作業療法士の平均初任給は約24万円|初回賞与は約5万8,000円
令和4年賃金構造基本統計調査によると、作業療法士の平均初任給は約24万円、初回の賞与は約5万8,000円でした。入社後1~4年経つと、所定内給与額は約26万円、賞与は約64万円にアップします。
入社して最初の賞与は、評価期間が短かったり、評価期間に試用期間が含まれていたりすることがほとんどのため、基本的には気持ち分程度の金額です。
引用元
e-Stat:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
手取り額は18~20万円程度|社会保険料などが引かれる
支払われる給与から社会保険料などが引かれるため、実際の手取り額は総支給額によっても異なりますが、2~3割程度減ります。初任給が約24万円であれば、手元に残る金額は18~20万円程度です。
給与から天引きされるもの|税金と社会保険料
毎月の給与と賞与から天引きされているのは、税金と社会保険料です。以下の表で制度について確認しておきましょう。
<税金>
引用元
国税庁:No.2260 所得税の税率
総務省:個人住民税の現年課税化について
<社会保険>
引用元
厚生労働省:令和5年度雇用保険料率のご案内
日本年金機構:○令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
厚生労働省:介護保険とは | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
施設形態・地域・学歴などによっては給与に差が出る場合もある
給与は、施設形態・地域・最終学歴などによって差が出る場合もあります。
作業療法士の就職先となる施設形態を医療・介護・福祉の3種で分け、ハローワークに掲載されている求人情報の給与を確認しました。
介護施設は25万円を超える求人が多く、20万円以下の求人はほとんどありません。福祉施設は20~25万円程度が相場で、25万円を超えるところもありました。一方医療機関は、20~24万円が相場で、一部で25万円以上を超えるところもあります。
地域で見ると、最低賃金の影響などでも地方と都市部では差があり、関東地方が高い傾向です。
もちろん、施設によっても差があり、施設形態で給与額が決まるということではありませんが、傾向としては介護施設→福祉施設→医療機関の順で給与が高いようです。
最終学歴は、大卒者が短大や専門卒の人よりも高く設定されています。
他の医療・福祉・介護職との比較
令和4年賃金構造基本統計調査に基づき、医療・福祉・介護職の給与額を、高い順に見てみましょう。
区分 | 所定内給与額
(経験年数0年) |
医師 | 約43万円 |
薬剤師 | 約32万円 |
歯科医師 | 約32万円 |
獣医師 | 約29万円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 約27万円 |
保健師 | 約26万円 |
診療放射線技師 | 約26万円 |
看護師 | 約25万円 |
助産師 | 約25万円 |
作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士 | 約24万円 |
歯科衛生士 | 約24万円 |
その他の社会福祉専門職業従事者 | 約23万円 |
臨床検査技師 | 約23万円 |
その他の保健医療従事者 | 約22万円 |
准看護師 | 約22万円 |
保育士 | 約22万円 |
栄養士 | 約21万円 |
引用元
e-Stat:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
収入をアップさせる方法
作業療法士として働きながら、収入をアップさせる方法について紹介します。自分に合った方法で収入アップを目指してくださいね。
同じ職場で経験を積み役職に就くことを目指す
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作業療法士は、入社して間もないうちから一気に昇格を目指すことは難しい職業です。しかし同じ職場で着々と経験を積み、主任や科長、さらには部長などの役職や管理職のポストに就くことで、収入が上がっていくことを期待できます。
同じ職場で長く働きたいという人には、おすすめの方法です。可能であれば就職先を考えるときに、昇給率や査定について調べておくとよいでしょう。
他の資格を取得し活躍の場を広げる|手当が出る可能性もある
認定作業療法士・専門作業療法士・介護支援専門員など、ほかの資格を取得することで、活躍の場を広げたり職務手当をもらえたりすることもあります。
認定作業療法士は、作業療法の臨床実践・教育・研究・管理運営に関する一定水準以上
の能力を有する作業療法士として、日本作業療法士協会が認定する資格です。
5年以上の臨床経験と、生涯教育基礎研修を修了したうえで、5つの研修と事例報告をおこない、審査を受ける必要があります。
専門作業療法士は、認定作業療法士として認められた作業療法士が、特定の専門作業療法分野において「高度かつ専門的な作業療法実践能力」を有する場合に認められます。専門分野における4つのカリキュラムを修了し、資格認定試験の受験が必要です。
介護支援専門員は、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整をおこなう者として認められる公的資格です。実務経験5年以上かつ900日以上であれば、介護支援専門員実務研修受講試験に合格することで取得できます。
引用元
日本作業療法士協会:認定作業療法士の役割 専門作業療法士との関連
日本作業療法士協会:専門作業療法士とは?
厚生労働省:介護支援専門員(ケアマネジャー)
転職する
作業療法士が活躍できる施設はたくさんあり、収入アップやキャリアアップのために転職する方法もあります。
作業療法士のおもな就職先については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
モアリジョブ:作業療法士の就職先は?就職先別業務内容や魅力を紹介 |
病院や介護施設など、患者や利用者に作業療法をおこなう場所以外でも活躍しています。一般の会社で福祉用具や住宅改修のアドバイスをする人や、障がい者と一緒に飲食店で働く人。介護者が集まれるカフェを運営している作業療法士もいます。
インセンティブのある職場を選ぶ|訪問型リハビリ施設に多数
最近は、インセンティブのある職場も増えています。導入しているのは訪問型リハビリ事業所が多く、訪問件数実績や対応時間数に応じて数千円単位で支払われるようです。
インセンティブのある求人施設を調べたい人は、ぜひこちらのサイトをチェックしてみてください。
リジョブケア:【7月版】インセンティブあり 作業療法士 の求人・転職・募集
副業で稼ぐ
最近の医療機関や介護福祉施設では、副業を認めている場所も増えています。休日を利用して副業で稼ぐ方法も、収入アップには有効です。
実際に、非常勤の作業療法士を募集しているところもあり、正社員で作業療法士として働く傍ら、休日は別の場所で非常勤の作業療法士として働いている人もいます。
副業をすることで収入アップできるだけでなく、本業ではできない経験を積める可能性もあります。ただし、心や身体を休めることも大切であるため、無理のない範囲でおこないましょう。
作業療法士の初任給の平均は約24万円!介護分野の施設が給与は高い傾向|自分に合った方法で給与アップを目指そう
作業療法士の初任給の平均は約24万円。介護分野の施設が額面では高い傾向にあります。手取りは税金や社会保険料などで2~3割減るため、18~20万円が手元に入るでしょう。ほかの医療・介護・福祉職の給与と比較してみても、極端に低いというわけではありません。
収入アップを目指すには、同じ職場でキャリアアップを目指す・上位資格を取得し活躍する場所を広げる・転職する・副業で稼ぐといった方法があります。一気に昇給が目指せる職業ではないため、自分に合った方法で収入アップを目指しましょう。
引用元
e-Stat:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
日本作業療法士協会:認定作業療法士の役割 専門作業療法士との関連
日本作業療法士協会:専門作業療法士とは?
厚生労働省:介護支援専門員(ケアマネジャー)
国税庁:No.2260 所得税の税率
総務省:個人住民税の現年課税化について
厚生労働省:令和5年度雇用保険料率のご案内
日本年金機構:○令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
厚生労働省:介護保険とは | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」