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介護・看護・リハビリ 2020-01-31

グループホームの設立の理由とその魅力について

高齢化社会である日本では、介護支援も徐々に広がりつつあり、さまざまな設備も増え続けています。その中でもグループホームは、認知症の方たちが家庭に近い環境で共同生活を送れる場所。本来は病気や障害を抱える人も対象ですが、「認知症対応型共同生活介護」と呼ばれる施設も増えています。今回はこの「グループホーム」の設立の理由と、その魅力について書いていきます。

家庭的な環境の中で生活を送れるのが「グループホーム」

グループホームの一番の魅力といえば、何といっても家庭的な環境で生活を送れることが挙げられます。老人保健施設では利用者がわかりづらかったトイレなどの設備も強化されているほか、「自分たちのできることは自分たちでする」というコンセプトの元に設立されているため、認知症高齢者の心も安定・沈静させる効果があることがわかっています。

また、グループホームは少人数制で、同じ部屋に大勢の利用者がいる老人保健施設よりも一人ひとりにゆっくりと心のこもったケアに当たるため、認知症の利用者同士でも相手のことを理解でき、気心の知れた友人のような存在となります。

基本的に一人ひとりの住居は個室で、プライバシーを守ることもでき、利用者同士で話したいときにはリビングルームで団らんすることができます。グループホームは、認知症高齢者にとって生活しやすい環境を整え、彼らの自尊心を保ち、心を癒す生活が実現されているのです。

グループホームに入居するための資格と、その費用

グループホームに入居できるのは、65歳以上の要支援2または要介護1以上の介護レベルが認定されている認知症高齢者に限られています。また、そのほかの条件として、自分で身の回りの世話ができる、感染症にかかっていない、共同生活に適応できるといった条件があります。条件は地域によってさまざまなので、詳細は施設に問い合わせる必要がありますので、利用を考えているご家族は、対応地域で十分に調べて相談すると良いでしょう。

また、グループホームで提供されるサービスは、認知症について正しい知識を持った介護スタッフによる見守り・食事・掃除・洗濯の「サポート」が主なサービスとなっています。グループホームの入居費は、初期費用が0円から数百万円、月額の平均はおよそ15~30万円ほどです。老人保健施設の平均利用料と比べると倍近くかかってしまいますが、より自宅に近い環境での生活ができるため、利用する方は増えています。

グループホームの今後の課題

グループホームの今後の課題としては、全国に設立された数が圧倒的に少ないこと。全国の65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症であると推計されており、10年後にはこの数が1.5倍となる見通しとされています。このため、政府では認知症について学んで理解を深めるための認知症サポーターの目標数を600万~800万人と上積みしているのが現状です。増え続ける認知症の対策として、治療薬の研究開発も推進される中、グループホームの重要性も増しているのです。

また、65歳未満で認知症を発症する若年性認知症も増え続けており、家族を抱える世代を支援するための支援も進めています。介護に従事する人に対しても、認知症の状態に応じた適切なケアができるような、最低限必要な知識と技能を学べる研修制度も創設されました。いまや高齢化を迎えた日本では、こういった高齢者向けの課題が山積みですが、徐々に増えて入るものの、圧倒的にその数が少ないことが課題となっています。

介護施設というよりも、もうひとつの我が家にいるような生活ができるグループホーム。グループホームで働く側も、簡単な調理や掃除を「一緒に」するので、介護施設よりも人気の高い職業となっています。医療のケアや生活介護の必要が少ない場合の認知症の場合は、グループホームを活用することで、利用者も自らのことは自らで行い、症状が和らぐ事例が増えています。選択肢のひとつとして、グループホームの利用は介護施設より気軽にでき、「利用者の心のケア」に直結する施設になりつつあるのです。

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