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特集・コラム 2024-06-03

理学療法士の資格を取得するには?試験の概要や勉強法、活躍の場をご紹介

リハビリを通して、日常生活に欠かせない身体的な運動機能の維持・回復をサポートする理学療法士ですが、どのように資格を取得すればいいのかわからない方もいるでしょう。

本記事では、理学療法士の仕事内容や国家試験の概要、資格を取得するために学ぶ内容、教育機関ごとの特徴やおすすめの勉強方法、気になる就職先について解説します。

理学療法士を目指そうと考えている方はぜひ参考にして、理学療法士になるための道筋を明確にしましょう。

理学療法士ってどんな仕事?


物理療法や運動療法を用いて、基本動作(寝返り、起き上がる、立ち上がる、歩くなど)の回復・維持を目指して、医学的なリハビリテーションを行う医療系の専門職です。

怪我や病気で身体に障害があったり、障害の発生が予想されたりする方向けに上記のリハビリサポートを行います。

理学療法士の仕事については、以下の記事でもご紹介しています。

理学療法士の仕事内容とは?働き方や活躍の場所、資格取得までのルートを紹介

引用元

公益社団法人 日本理学療法士協会:理学療法士とは

理学療法士国家試験に合格する必要がある

理学療法士として働くためには、理学療法士国家試験に合格しなければなりません。試験に合格すると、理学療法士及び作業療法士法にもとづく厚生労働省の免許を受け取れます。

リハビリの専門家として働く理学療法士は、身体機能の維持・回復だけでなく、家族への介助指導や生活改善に向けたアドバイスなど、生活全般に関するサポートをします。

混同されがちな作業療法士との違いは?

理学療法士と作業療法士の主な違いは次の表のとおりです。

理学療法士 作業療法士
目的 基本動作の回復・維持 応用動作の回復・維持、加えて社会適応サポート
内容 筋力維持、起き上がり、立ち上がりサポート、座位保持 運動やスポーツ、料理などを通じて心身をサポート
活動の場 病院、リハビリ病院、老人保健施設、スポーツ関連施設など 病院、リハビリ病院、老人保健施設、精神病院、児童養護施設、障害者福祉施設など
合格率(第59回) 89.2% 84.1%

引用元

厚生労働省:第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について

理学療法士国家試験の概要


理学療法士国家試験では、一般問題と実地問題、もしくは口頭試験及び実技試験が実施されます。試験内容や受験資格、試験日程を確認し、試験の合格率もチェックしましょう。

試験内容

教育機関で学習する基礎科目には、リハビリテーションの基礎・歴史、外科・内科、運動学・解剖学・神経学などがあり、筆記試験では一般問題として出題されます。

専門科目として学ぶ科目は、理学療法評価学・地域理学療法・理学療法治療学・運動療法学・日常生活技術学があり、筆記試験では実地問題として出題される領域です。

重度の視力障がい者向けには、筆記試験の実地問題の代わりに口頭試験及び実技試験が実施されます。出題されるのは、運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・理学療法といった科目です。

引用元

厚生労働省:理学療法士国家試験の施行

受験資格

理学療法士の受験資格を得るためには、文部科学大臣が指定する下記のいずれかの養成校で専門カリキュラムを履修し、専門知識と技術を学ぶ必要があります。

・4年制大学
・短大(3年制)
・専門学校(3〜4年制)

また、海外で理学療法の学校や養成施設を卒業し、上記と同等の知識・技能があると認められる人は、書類審査による厚生労働大臣の認定を経て受験資格を得ることができます。

なお、作業療法士の資格を持っている方は養成校で2年以上学べば資格取得が可能です。

また、さらに専門的な知識を身につけたいなら、そのまま大学の修士課程や博士課程に進学して、研究者の道を歩む選択肢もあります。

引用元

公益社団法人 日本理学療法士協会:理学療法士になるには

試験日程・試験会場

令和6年に実施された理学療法士国家試験の日程は筆記試験が2月18日(日)、口述試験及び実技試験が2月19日(月)でした。令和7年も2月中旬に試験が実施されるでしょう。

引用元

厚生労働省:理学療法士国家試験の施行

試験合格率

過去3年間の理学療法士国家試験の合格率は以下のようになっています。

試験回 受験者数 合格者数 合格率
第59回試験 12,629人 11,266人 89.2%
第58回試験 12,948人 11,312人 87.4%
第57回試験 12,685人 10,096人 79.6%

例年の合格率は8割前後で推移しており、9割近い合格率の年もあるようです。

引用元

厚生労働省:第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について

厚生労働省:第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について

厚生労働省:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について

大学や短大、専門学校では学ぶものは違うの?


理学療法士は、大学と短大、専門学校で学ぶ内容に大きな違いはあるのでしょうか。ここでは、教育機関の種類によってどのような違いがあるのかを解説します。

理学療法士が通う学校については、以下の記事もチェックしてみてください。

理学療法士の学校って?種類やカリキュラム、おすすめの学校について紹介

大学の特徴|4年間で専門知識やスキルを幅広く学ぶ

大学は、専門学校に比べて教養科目が充実している点が特徴。理学療法士の国家資格取得だけではなく、外国語など一般教養の授業も受けることができます。「グラウンドや体育館が必要」「図書館が必要」といった法的要件があるので、このような施設・設備が整っているという点も大学の特徴です。

また、理学療法やそのほかの学問を深く研究するための研究室が備わっているという点も特徴のひとつでしょう。臨床実習では大学附属の病院や介護施設、個人のクリニックなどで実習することが多いです。

大学がおすすめなのはこんな方!

大学がおすすめなのは、次のような方です。

・卒業後、理学療法士以外の進路を選択肢に残したい人
・大学という充実した施設で学生生活を送りたい人
・理学療法士の資格取得だけでなく、一般教養などさまざまな学問を学びたい人

国家資格取得後に理学療法士として働くのではなく、理学療法をさらに深めるための研究に就きたいという方は大学がよいでしょう。将来のために理学療法士以外の進路を選択肢に残したいという人にも、おすすめです。

杏林大学|リハビリテーション学科 理学療法学専攻

理学療法士の国家資格を取得できる大学のひとつに、杏林大学があります。こちらの大学ではリハビリテーション学科を設置しており、理学療法学専攻では、理学療法の知識と技術を基礎から応用にいたるまで深く学ぶことが可能です。

また、杏林大学医学部付属病院や近郊の大学附属病院、実績のある病院などでの臨床実習が可能で、現場に則した実践的な学習を受けられます。

卒業後は理学療法士として医療機関や介護施設・スポーツチームなどに就職するだけでなく、大学院や研究機関で研究職として採用される実績もあるのが特徴です。

引用元

杏林大学:リハビリテーション学科 理学療法学専攻

短大の特徴|短期間で必要なカリキュラムを学ぶ

短大は、3年間のカリキュラムで職業や生活に役立つ科目を学べるのが特徴です。厚生労働省の定義によれば、短大は地域の身近な高等教育機関として、短期間で大学としての教養教育やそれを基本とした専門教育を提供する点にあるとされています。

実際に、大学と比較すると短大の県内進学率は際立って高く、地域の身近な高等教育機関としての役割を果たしていることがわかります。

短大がおすすめなのはこんな方!

短大がおすすめなのは、次のような方です。

・必要単位だけを取得して短い期間でで理学療法士を目指したい
・私立の4年制大学よりも安く学校に通いたい
・途中から4年制大学への編入も視野に入れている

受験要件に必要な3年間と必要最低限のカリキュラムで理学療法士を目指したいと考えている方には、短大がおすすめです。学費が4年制私大より安いのもポイントです。

平成医療短期大学|リハビリテーション学科 理学療法専攻

理学療法士の資格を取得できる短大の一つが、平成医療大学です。高い専門性・人間性・社会性を身につけられるカリキュラムが魅力で、保険・医療・福祉に関する基礎から応用的な知識はもちろん、実践的なカリキュラムでリハビリテーションを学べます。

コミュニケーション能力や倫理観、チームワークを重視した授業スタイルで、卒業後に理学療法士として活躍していくための基礎的な能力を効果的に身につけられますよ。

引用元

学校法人 誠広学園 平成医療短期大学:リハビリテーション学科 理学療法専攻

専門学校の特徴|3年または4年で実践的に学ぶ

専門学校では理学療法士の国家資格取得を目指し、現場で働くための実践的な教育を集中して学ぶことができます。大学のように一般教養を学ぶことはなく、理学療法士としての「資格取得」と「就職」に特化しているのが特徴です。

また、修学期間を「3年」か「4年」か選択できることも専門学校の魅力でしょう。なるべく短期間で国家資格取得を目指すか、時間をかけてしっかりと学ぶかを選ぶことができます。

専門学校がおすすめなのはこんな方!

専門学校がおすすめなのは、次のような方です。

・一般教養は不要で、理学療法を集中して学びたい人
・卒業生の資格合格率・就職率を重要視したい人
・専門学校ならではの国家試験サポート・就職サポートを受けたい人

手厚いサポートがある点が、専門学校の魅力です。卒業後は理学療法士としての就職を決めている人、短期間で集中的に理学療法士に必要なことを学びたい人は、専門学校を選択するとよいでしょう。

東京メディカルスポーツ専門学校|理学療法士科(夜間部アリ)

理学療法士の専門学校の一例としては、東京メディカルスポーツ専門学校があります。この専門学校では、将来やりたいことや目標に合わせた授業選択が可能です。担任や各講師陣のダブルサポートにより着実に国家試験合格を目指せること、就職希望者の就職率100%である点が同校の特徴といえます。

また、夜間部も開講しており、自身のスケジュールに合わせて時間割を作ることも可能です。フレキシブルに学習を重ねることができます。

引用元

東京メディカル・スポーツ専門学校:理学療法士科

理学療法士国家試験を取得するための勉強方法


理学療法士として働くためには、理学療法士国家試験に合格する必要があります。例年の合格率は8割前後と高いので、コツをおさえて勉強すれば問題なく合格できるはずです。

効率的に勉強できる時間帯を有効活用する

理学療法士国家試験に合格するための勉強のコツは、自分が集中できる時間帯に学習する習慣を身につけることです。

また、朝起きてから2〜3時間が脳が最も活発に働く時間といわれています。この朝の時間帯と、記憶に定着しやすい夜の時間帯に集中して勉強するのもよいでしょう。

集中力を高める工夫をする

勉強にどうしても集中できない場合は、ガムを噛んで集中力を維持したり、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインを摂取して眠気を覚ましたりするのがおすすめです。また、お気に入りのアロマを焚いて気分をリフレッシュするのもいいでしょう。

過去問を解いて問題の傾向に慣れる

理学療法士国家試験に合格するためには、問題の傾向に慣れて、出題範囲や出題される問題にどのような特徴があるのかを分析し、本番の試験に備えておく必要があります。過去数年度分の過去問を何度も解いて、試験で合格点以上とれるように準備しましょう。

理学療法士の資格を活かして働ける職場と役割


理学療法士の資格を活かして働ける職場には、医療施設や福祉施設、教育施設などが挙げられます。勤務先のタイプ別の業務内容や与えられる役割について見ていきましょう。

医療施設

理学療法士が勤務する医療施設には次のような施設があります。

・一般病院
・大学病院
・リハビリ病院

長期入院している患者に対しては体力・筋力維持のためのリハビリを提供したり、生活習慣病にかかっている患者さんに対しては健康維持のための運動指導をしたりします。

ケガや病気を負ったことで精神的に落ち込んでしまっている患者もいるので、身体機能だけでなく、精神面でのケアを提供するケースも想定されるでしょう。

高齢者向け施設

高齢者向け施設で働く理学療法士は、高齢者の体力・健康維持に向けたリハビリを施す機会が多いです。問題なく歩けるかチェックしながら、リハビリサポートをしていきます。事業所によっては通所介護と訪問介護をどちらも担当することもあるでしょう。

福祉施設

福祉施設では、障害を持つ方に対しての基本動作の回復・維持をはかり、日常生活における自立と就業サポートを行い、場合によっては福祉用具の選定も担当します。日々の業務を通じて、患者さんの日々の変化をチェックする観察力も求められるでしょう。

教育現場や研究機関

より優れた理学療法技術を確立するために、大学や専門の研究機関で理学療法について研究する理学療法士もいます。患者に日々寄り添いながら、新たな技術の開拓に向けて日夜研究を続けていくのが、研究者として活躍する理学療法士の特徴です。

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理学療法士になるためにカリキュラムを修了して、国家試験に合格しよう!


この記事では、理学療法士の業務内容や理学療法士になるために必要な資格の概要、学ぶ場所ごとの特徴や勉強方法、職場ごとの特徴についてご紹介しました。

理学療法士になるためには3年以上のカリキュラムを修了して、理学療法士国家試験に合格しなければなりません。試験の合格率は高いですが、受験資格を満たすためには数年間にわたって専門学校や短大、大学などに通わなければならない点に注意しましょう。

理学療法士国家試験に確実に合格するためには、試験問題の演習を行なって、スキマ時間を利用しながら効果的に勉強を継続することが大切です。

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