理学療法士が辞めたくなる5つの理由とは?辞めてよかったと思える決断のための準備を紹介
理学療法士は、患者の身体機能の回復や維持をサポートし、医療と福祉の架け橋となる重要な職業です。しかし、やりがいのある仕事である一方で、さまざまな理由から「辞めたい」と感じる理学療法士も少なくありません。
本記事では、理学療法士が「辞めたい」と感じる主な理由を5つ挙げ、それぞれの課題に対する対処法を紹介します。また、辞めて良かったと思える決断のための準備についても解説します。
記事を読めば、理学療法士の皆さんが自身のキャリアについて冷静に考え、最適な選択ができるようになるはずです。
理学療法士を「辞めたい」「向いていない」と感じる5つの理由
理学療法士として働くなかで、さまざまな理由から仕事に疑問を感じ、「辞めたい」「向いていない」と考える方も少なくありません。
ここでは、多くの理学療法士が共感する5つの理由を詳しく見ていきましょう。これらの悩みは決して珍しいものではなく、多くの同僚が同じような思いを抱えています。
1. ノルマがきつい
理学療法士の職場では、患者数や売上などのノルマが設定されていることがあります。ノルマがあることのプレッシャーは、ときに大きなストレス要因となり、仕事を辞めたいと考えさせる原因になります。
ノルマを達成するために、十分な治療時間を確保できなかったり、患者一人ひとりに丁寧に向き合えなかったりすることで、理想と現実のギャップに悩むこともあるでしょう。
このような状況を改善するには、ノルマの少ない、もしくはノルマ達成へのサポート体制が整っている職場を選ぶことが重要です。そのような職場では、患者のケアに集中でき、仕事の質と満足度が高まるはずです。
2. 給与や待遇に不満がある
理学療法士の給与や待遇は職場によって大きく異なります。低賃金や不安定な雇用条件は、モチベーション低下の原因となります。
たとえば、令和5年賃金構造基本統計調査のデータによると、新卒の理学療法士の平均年収が約300万円なのに対し、経験10年以上でも約450万円にとどまるケースがあります。これは、患者が支払うリハビリ料金が一定で、理学療法士の経験やスキルに関わらず変わらないことが一因です。
長時間労働や高度なスキルを要する業務にもかかわらず、実力に見合った報酬が得られないと感じると、「辞めたい」という気持ちが強くなるのも無理はありません。
このような不満を解消するためには、給与体系や昇給制度が明確で、スキルアップによる給与アップの可能性がある職場を選ぶことが大切です。
引用元
厚生労働省|e-stat 令和5年賃金構造基本統計調査
3. 思い描いた仕事ができない
理想と現実のギャップに悩む理学療法士は多いです。学生時代に描いていた仕事のイメージと、実際の現場での業務内容が異なることで、やりがいを感じられなくなることがあります。
たとえば、事務作業や報告書作成に多くの時間を取られ、患者と直接関わる時間が思ったより少ないと感じる方もいるでしょう。
このような状況を改善するには、専門性を活かせる機会や自己啓発のサポートがある職場への転職をおすすめします。やりがいを感じながら成長を続けることができるからです。
4. 肉体労働がつらい
理学療法士は、身体的負担が大きい仕事です。頻繁に患者を持ち上げたり、支えたり、移動させたりすることで、腰に大きな負担をかけます。
佛教大学保健医療技術学部の調査によると、滋賀県内の理学療法士を対象とした研究で、腰痛の既往率は78%に達することが報告されています。とくに、就労後2年以内に腰痛を発症する率が高いことが示されています。
問題に対処するには、最新の機器や技術を導入し、労働環境の改善に積極的な職場を選ぶことが重要です。そのような職場では、長期的なキャリアを築きやすく、身体的な負担も軽減されます。
引用元
佛教大学保健医療技術学部|理学療法士の職業性腰痛に関する調査研究
5. 人間関係が合わない
医療現場では良好な人間関係がとくに重要です。同僚や上司・他職種との連携がうまくいかないと、ストレスが溜まりやすくなります。
とくに、同僚との過度な競争や、患者との関係構築の難しさは、仕事への満足度を大きく左右するでしょう。
チーム医療が基本となる現場で、上記による軋轢(あつれき)は、「辞めたい」「向いていない」という感情を引き起こす大きな要因となります。
職場の人間関係に悩む理学療法士も一定数存在するため、時にはキャリアを考え直す方もいます。
理学療法士として働くやりがいや魅力
理学療法士の仕事には、たしかに課題もありますが、同時に多くのやりがいと魅力があります。本章では、理学療法士の仕事のよい部分を紹介し、判断材料を提供します。
患者の回復を間近で見られ喜びを実感できる
理学療法士の仕事は、患者の身体機能の回復や日常生活動作の改善に直接貢献できます。患者の笑顔や「ありがとう」の言葉が、大きなやりがいとなります。社会的に重要な役割を担っているという実感が得られ、自己肯定感が高まります。
また、2024年の時点で、日本の65歳以上の高齢者の割合は29.3%であり、国民の約3人に1人が65歳以上です。
高齢化社会にある日本で、理学療法士の需要は今後さらに高まると予想されます。自分の仕事が社会に貢献していると感じられることは、大きな魅力のひとつです。
引用元
総務省統計局|日本の高齢者人口
専門知識を活かせる職業で成長を実感しやすい
理学療法士は高度な専門知識と技術を要する職業であり、つねに学びの機会があります。新しい治療技術や研究成果を実践に活かせるため、自己成長を実感しやすいです。
また、患者一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てるため、創造性を発揮できます。
さらに、多職種連携のなかで、自身の専門性を活かしながらチーム医療に貢献できることも魅力のひとつです。つねに新しい知識や技術を学び続けられる環境は、やりがいを感じ続けられる要因となります。
理学療法士を辞める前に考えるべき3つのこと
理学療法士を辞めたいと感じたとき、すぐに行動に移すのではなく、以下の3つのことを考えましょう。
1.辞めたい原因を書き出して整理する
2.信頼できる人に相談する
3.転職する前に「優先順位」をつけておく
適切な判断を下すためには、冷静な分析が必要です。
1. 辞めたい原因を書き出して整理する
辞めたい理由を具体的に分析することは、重要です。感情的な判断ではなく、客観的に状況を評価することで適切な対策を立てられるからです。問題の根本原因を特定することで、転職以外の解決策が見つかるかもしれません。
たとえば、「仕事がきつい」という漠然とした理由ではなく、「残業が多い」「休日が取れない」「ノルマのプレッシャーが大きい」など、具体的に書き出してみましょう。
上記を実践することで、問題の本質が見えてくるはずです。
2. 信頼できる人に相談する
一人で悩まず、信頼できる人に相談することも大切です。客観的な意見を聞くことで、新たな視点や解決策が見つかることがあります。職場の上司や先輩、転職経験のある同業者など、今の状況を理解してくれる相談相手を選ぶことが重要です。
また、専門のキャリアアドバイザーに相談するのもひとつの選択肢です。転職のプロの視点から、あなたの状況を分析し、適切なアドバイスを提供してくれます。
3. 転職する前に「優先順位」をつけておく
自分にとって何が大切かを明確にすることは、転職成功の鍵です。たとえば、以下のような要素について、自分なりの優先順位をつけることが重要です。
1.給与
2.やりがい
3.ワークライフバランス
4.キャリア成長の機会
5.職場の雰囲気
長期的な視座に立ち、キャリアプランを考えると、より満足度の高い転職が可能になるはずです。
たとえば、「専門性を高めたい」「患者と深く関わりたい」「安定した勤務体制を望む」など、自分の価値観や希望を整理してみましょう。こういった内容が、次の職場選びの際の指針となります。
理学療法士の主な就職先・転職先
理学療法士には、さまざまな就職先や転職先の選択肢があります。ここでは、主な職場とその特徴を紹介します。選択肢を知ることで、新たな可能性を探る際の参考になるでしょう。
総合病院
総合病院では、多様な症例を経験でき、幅広いスキルを磨くことができる環境です。チーム医療のなかで他職種との連携を学べ、専門性を高める機会が多く、キャリアアップの可能性は高まります。
急性期から回復期まで、さまざまな段階の患者と関われるため、理学療法士としての総合的なスキルアップが期待できるでしょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームでは、高齢者の生活機能維持・向上に重点を置いた理学療法を提供できます。
長期的な関わりを持てるため、継続的なケアプランの立案と実施が可能です。また、介護職との連携スキルを磨くこともできます。
高齢者の方々の日常生活をサポートし、QOL(生活の質)の向上に直接貢献できる点がやりがいとなります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設では、在宅復帰を目指す高齢者のリハビリテーションに携わることができます。医療と介護の中間的な立場で、幅広い知識と技術が求められる職場です。
医師・看護師・介護士・介護支援専門員など、さまざまな専門職と協力して働くので、多職種連携のスキルを高められます。
患者の自立支援や在宅復帰に向けた取り組みもするため、理学療法士としての専門性を十分に発揮できるでしょう。
引用元
厚生労働省|介護老人保健施設(老健)
デイサービス
デイサービスでは、在宅生活を送る利用者の機能維持・向上を支援する役割を担います。
利用者の生活背景を考慮したリハビリテーションを提供することで、地域に密着したサービスを実現しています。そのため、地域貢献を実感しやすいでしょう。
利用者の方々との関係性を築きながら、日々の生活に直結したリハビリテーションを提供できる点が魅力です。
整形外科クリニック
整形外科クリニックでは、運動器疾患に特化した専門的な理学療法を提供できる環境です。急性期から回復期、維持期まで幅広い段階の患者に関わることができます。専門性を高めやすく、技術向上の機会が多いのが特徴です。
特定の領域に特化することで、より深い専門知識と技術を磨くことができます。また、患者の症状改善を直接的に実感しやすい環境でもあります。
訪問リハビリ
訪問リハビリでは、利用者の生活環境に直接入り、在宅でのリハビリテーションを提供します。利用者の実際の生活に即したリハビリテーションを計画・実施できます。一対一の関わりが中心で、個別性の高いケアを提供できるのが魅力です。
患者の生活環境を直接観察し、それに合わせたリハビリテーションを提供できるため、より実践的なアプローチが可能です。
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理学療法士が「辞めたい」と思ったら、慎重に検討して最適な選択を
理学療法士の仕事をやめたいと考えた際、多くの場合は解決策や改善の余地があります。現在の職場での可能性を探るか、新たな環境に挑戦するか、慎重に検討しましょう。
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