在籍するスタッフ全員もママ。産前・産後のママに寄り添う『Mama’s body salon』と山本亜希子さんの物語(前編)
目黒と南大沢に店舗を構える産前・産後のママ専門サロン『Mama’s body salon』。妊娠中でも安心して受けられる整体や、産後の骨盤矯正などのサービスを提供している同店は、訪れるお客さまだけでなく、在籍するスタッフ全員が子育て中のママです。
「自身のつらい経験をもとに開業した」と語る山本亜希子代表。1人でも多くのママを笑顔にするため、開業当初から今日の日まで、とことんまでお客さまに寄り添ったサロン運営を続けています。
今回お話を伺ったのは……
『Mama’s body株式会社』代表取締役 山本亜希子さん
東京都出身。3児の母。高校卒業後は美容部員として化粧品の販売業務を務める。第2子妊娠中にした経験をきっかけに、マタニティサロンの開業を決意。出産と同時にマタニティ整体の学校へと入学。その後にサロンを開業し、現在は『Mama’s body salon』や併設のスクールを運営する『Mama’s body株式会社』代表取締役。
—『Mama’s body salon』開業のきっかけをお聞かせください。
私自身が妊婦の頃に抱いていた、「こんなサロンがあったらいいのに」という想いが開業のきっかけですね。2人目の子どもを妊娠したときに体が不調だらけになってしまったのですが、当時はどのサロンも妊婦お断りだったんです。脚が痛いし、腰も痛いのに、どこに行ってもマッサージを受けられない。「こんなときに誰も助けてくれないなんて」と、悔しさや怒り、そして何よりも悲しさが込み上げてきました。今思えば、人生で一番つらい時期だったかもしれません。そんなときに、産前・産後の女性への施術を専門としたマタニティ整体の学校を見つけて、「誰もやっていないなら自分がやるしかない」と決意したんです。
—それまでに整体やマッサージといったお仕事のご経験はあったのでしょうか?
いえ、まったくありませんでした。学校のことも、マッサージを受ける目的でサロンを調べているときに偶然見つけたんです。子どもを出産したのと同時に学校に通い始め、一から整体やマッサージを学びました。学校にサロンが併設されていたので、講義を受けた後にそこで実技の練習もさせてもらっていましたね。昔の私と同じ悩みを抱えている妊婦さんたちのお役に立つため、できる限り早く開業したい一心で、必死に修行を積んでいました。
「必要としている人がいる」から、家族からの猛反対があっても決心が揺らがなかったんです
—開業するにあたって、ご家族の反応はどのようなものでしたか?
夫からは猛反対されましたね(笑)。私がそれまでずっと別の業界で働いていたこともあって、「新しいことに挑戦する必要があるのか?」と言われ続けました。確かに、子どもが2人いることを考えると、収入の面で不安視されるのも仕方なかったと思います。成功する保証はどこにもないけれど、開業するための費用は必ずかかりますしね。
ただ不思議なもので、反対されればされるほど開業の意思は固くなっていきました。「絶対に私のサービスを必要としている人がいる」、「やらなければならない」という使命感に燃えていたんです。結果として、反対を押し切る形で今のサロンの前身を開業しました。
開業から3カ月間は口コミだけで予約がいっぱいになりました
—当時開業されたサロンは今とは違うものだったのですか?
当時は法人を立ち上げたり、人を雇ったりするという考えがまったくなかったんです。そのため、店舗を借りずに出張サロンとして開業しました。開業して間もない頃は、とにかく集客に苦労していたのをよく覚えています。営業の経験がなかったのでチラシを作ってもどこかに置いてもらうこともできず、一応作ったホームページもほとんど機能していない状態でした。
転機となったのは、ブログを書き始めたことでしたね。ブログを読んでくれたお客さまからの予約が、少しずつ入るようになっていったんです。そこからはお客さまのご自宅に出張する度に、「私はこんな想いでマッサージをしています。知り合いにお悩みを抱えている妊婦さんがいたら紹介してください」とお伝えして、応援してくださる方を増やしていきました。やはり昔の私のような妊婦さんは多かったようで、ありがたいことに開業から3ヶ月後には、予約がいっぱいになるほど口コミが広がっていましたね。
一人でも多くのママに笑顔になってもらうために、店舗の運営を始めました
—その後、店舗を構えるに至った経緯をお聞かせください。
もともと妊婦さんや産後すぐのママというのは、家にこもりきりになってしまいがちです。妊娠した直後は病気への感染が怖くて外に出づらいですし、逆にお腹の子どもが大きくなってからは体を思うように動かすことができません。
そういう意味で出張サロンの需要はとても多いのですが、サービスを続ける中で、「たまには外でもマッサージを受けたい」というお客さまからの声も聞こえてきたんです。予約数の増加に合わせてスタッフも雇用していましたし、一人でも多くのママに笑顔になってもらうためにも店舗の運営を始めました。
『Mama’s body salon』山本代表が起業するにあたって大切にしていた3つのこと
1.自身の経験も踏まえ、常に妊婦の立場に立って物事を考え、進めていく
2.経験がなかったとしても、「自分がやるしかない」と覚悟を持ってやり抜く
3.ブログを書き発信して自分の存在を知ってもらう
「引きこもりがちなママに外の明るさを思い出してほしい」と語ってくれた山本代表。後編では『Mama’s body salon』で働いているスタッフの方々への思いをお伺いします。