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介護・看護・リハビリ 2020-06-04

介護業界で管理職に転職するために

みなさんは介護系の管理職に対して、どんなイメージを持っているでしょうか。このページをご覧になっているということは少なからず、管理職に興味があるということでしょう。

当然、商社、電気・電子機械系メーカー、医療機器・医療用具・医薬品の販売業、ファッション類や化粧品の小売業、臨床研究・臨床開発分野、半導体素材・化成品生産技術、海外食品・香料・ゲーム・ロボットメーカー、建築・プラント等の技能工、金融セールスや特許事務所など、至る企業に管理職(エグゼクティブ)は存在します。
しかし、上記のような一般的な企業と比べると、介護業界では管理職になるのに必要な資格や方法が少し違うのです。

介護系管理職にはどんなものがある?

管理職とは、朝日新聞によると以下の様に記されています。

管理職
労働基準法が定める「監督もしくは管理の地位にある者」の一般的な呼び名。労働時間や休憩、休日規制の対象外とされ、残業代を支払わなくてもよいとされる。範囲については、労働基準局長通達などで「労務管理などについて経営者と一体的な立場にある者の意味だが、職務と職責、勤務態様、待遇などの実態に応じて判断すべきだ」とされ、一般の労働者との線引きのあいまいさが残っている。
(2008-03-23 朝日新聞 朝刊 1社会)

つまり、管理する地位にある者ということなので事業所によって、どこからが管理職かは様々です。さらに、「介護課長」「介護マネージャー」などのように施設独自の役職もあるため、明確な線引きはできません。
ここでは、一般的に管理職とされている介護業界の役職を見てみましょう。

・介護老人保健施設や特別養護老人ホームの施設長
・訪問介護事業所のサービス提供責任者(サ責)
・有料老人ホームやデイサービスの管理者
・介護福祉施設のエリアマネージャー

これらの役職が管理職と呼ばれています。創業者や事業主が管理職であるというわけではないのでご注意ください。

介護系管理職の仕事内容

管理職と言うと、「スタッフ(部下)を管理する仕事だろう」と思う方が多いようですが、実際の業務はそれだけではありません。施設店舗の設備管理・運営管理も管理職の仕事ですし、利用者とスタッフの連携、営業活動なども管理職の仕事に含まれます。
以下に、介護系管理職の仕事概要を記していますので、理解しておきましょう。

○スタッフ管理
シフト調整・新人育成・新規スタッフとの契約(契約形態・勤務形態など)
○会議
サービス担当者会議・スタッフミーティング・利用者のカンファレンスへの参加
○運営
利用者獲得のための営業活動・利用者家族との連絡・提供サービスの確認
○事務
新規利用者の契約・月末締め作業・給与管理・保健請求業務
○その他
スタッフの応援(レク・送迎・介助など)

管理職としての仕事以外に、現場での介護業務もできなくてはいけません。プロの介護士としても働ける管理職員は現場スタッフにも歓迎されます。

介護系管理職員に必要な資格

介護施設の種類によって、管理者になるために必要な資格は異なります。ここでは施設別に管理職になるための条件をまとめました。

○特別養護老人ホームの施設長
社会福祉施設長サービス管理研修を修了している者
※管理者の場合は資格不要

○介護老人保健施設の施設長
医師免許を所持している者

○訪問介護事業所のサービス提供責任者
以下のいずれかの条件を満たしている者
・介護福祉士、看護師、准看護師、保健師のいずれかの資格を取得している。
・実務者研修を修了している。
・ホームヘルパー1級を取得している。
・介護職員基礎研修を修了している。
・介護職員初任者研修(旧:ホームヘルパー2級)を修了しており、実務経験が3年以上ある。

○有料老人ホーム・グループホーム・デイサービスの管理者
資格不要

その他、施設の方針によっても、必要資格条件が異なります。応募の際には応募条件を確認しましょう。

管理職に求められるスキル・人物像

管理職に付くには資格以外にもいろんな資質を必要とします。

<管理職にはこんな能力が必要>
○リーダーシップ
業務が円滑に進むためには、施設のスタッフをまとめる管理職員のリーダーシップが必要です。また、部下として働く現場の介護スタッフ以上に介護の実務能力が必要です。他のスタッフの手本になれるように心がけましょう。

○法令・介護保険の知識
管理職になると、利用者や現場スタッフからいろんな要望が上がってきます。しかし、上がってくる要望を叶えようと無我夢中で対応していると、気付かぬ内に法令違反を犯してしまい、自治体から注意されることもあり、ひどい場合には介護報酬の減額、中止にされることもあります。
このようなことが起きないために、法令や介護保険についての知識を頭の中に入れておきましょう。そして、現場スタッフや利用者から上がってきた要望が法令違反の時には、その旨を説明し、断るようにしましょう。

○社長や事業主に介護のことをわかってもらう能力
介護施設を経営しているのに、介護業界のことをあまり知らないという人も少なくありません。そのため、経営者から管理者であるあなたに『明らかに、現場スタッフから苦情が来るような指示』が下りてくることがあります。その指示を受けてしまうと、典型的な中間管理職のように上(指示)と下(反発)に挟まれた状態になってしまいます。
そうならないために、あなたには経営者に介護業界のことをわかってもらう能力が必要になります。もちろん、それがそう簡単なことではないことは容易に想像が付くでしょう。経営者にわかってもらうには、経営者の性格等を考慮して最良の言葉を選択の上、理解してもらいましょう。

○コミュニケーション能力
管理職に就くと、介護スタッフや経営者、利用者やその家族など、いろんな人との連携が必要になります。エリアマネージャーの役職に就くと、拠点だけではなく、いろんな施設に行って働くため、いろんなスタッフとのコミュニケーションが必要です。
そのために最も必要なのは、伝える能力・聞く能力です。高いコミュニケーション能力で、業務が円滑に進むような状況にしましょう。

<こんな管理職は嫌われる>
○トップダウンという考え方
トップダウンとは管理職が意思決定をし、下部(現場)に実行を指示する管理方式のことです。
管理職になると、その役職を利用してトップダウンで進めようと考える人が多いようです。トップダウンという考え方自体がダメというわけではありません。実際、一般的な業種ではその考え方は当然でしょう。しかし介護業界では、それがうまくいかないことが多いようです。
その理由として、介護業界は人手不足で求人が溢れているということ。もし、あなたの職場が、給料が高くいつでも自由に休みを取得できるような魅力溢れる職場なのであればトップダウン方式でも良いでしょう。しかし、そうではないのなら、トップダウンに不満を持つ現場スタッフは他に転職してしまうでしょう。
介護業界の管理職が第一に考えることは、「スタッフが楽しく働ける職場をつくる」ことです。

○現場スタッフに任せる
スタッフの勤務表を作らず現場スタッフに任せる、大まかな指示しかしない……しかも、その理由を「現場スタッフの自主性を尊重しているから。現場スタッフに成長してもらうため」などと言う管理職がいます。そんな人は当然信頼されません。やるべきことをしっかりやった上で、現場のことを理解する管理職を目指しましょう。

○意見がコロコロ変わる
法律や経営者が変われば、会社の方針が変わり、管理職や現場スタッフはそれに従う必要があります。また、施設や利用者の状況によっても、方針変更を余儀なくされる場合もあるでしょう。しかし、朝に言ったことが夕方には変わっているような管理職は信用できません。部下からは「あの人は意見に一貫性がない」と思われてしまいます。どうしても変更しなければいけない時は、その理由を併せてスタッフに説明するようにしましょう。

管理職の仕事を探す時の注意点

<経験>
管理職の募集求人の応募条件はほとんどが経験者です。介護の実務経験者やマネジメント経験者を募集していることが多いのですが、採用されてもすぐに管理職として働けるわけではありません。その施設で数か月間、介護職員として働いてから管理職になるパターンが多いようです。

<求人サイトで探す>
前述したように、採用されてもすぐに管理職として働けるわけではありません。できるだけ早く管理職として働くためにも、求人サイトで探す場合は管理職の経験者歓迎新着を随時チェックしておきましょう。管理職は高給のため、当然人気が高いジャンルです。求人広告の企業情報と掲載期間 (掲載期限)を確認し、早めの応募をしましょう。

よくある質問・相談

ここでは、介護系管理職関連のよくあるご質問・ご相談について回答していきます。

Q1.デイサービスで働いています。一般的には、何年くらい働けば管理職になれますか?

A1.施設によってその期間は変わりますし、対象の人の能力によっても変わりますが、2年~4年ほど働くと「管理職になりませんか?」という声がかかることが多いようです。
中には管理職として採用するところや、働き始めて数か月ほどで声がかかることもあるようですが、そういったところは、管理職がいなくなるので困っているか、前述した肩書きだけの管理職員にしようとしている場合も考えられます。状況をしっかり見極めた上で返事をしましょう。

 

Q2.老人ホームで働く管理職員に人事権はありますか?

A2.人事権の有無は事業所によって異なります。管理者の他に人事担当者を設けているところもありますし、人事権は経営者だけしか持っていない企業もあります。

 

Q3.管理職として利用者を集める営業活動をしなければなりません。どのようにすれば人が集まるのでしょうか。

A3.介護事業といえども、売上を出さないと事業を続けて行くことはできません。そのため、利用者を増やすことも管理職の大切な仕事です。施設にもよりますが、利用者を集めるためには老人保健施設や病院に行って営業をかけることが多いようです。施設ごとによっていろんな特長があるので、その利点を必要としている利用者にアピールしましょう。

 

Q4.求人サイトで管理職員を募集します。どういった点を押し出せば良いでしょうか。

A4.普通の介護職員を募集するように、最寄駅から徒歩○分などのような情報を求人広告に載せることは当然ですが、管理職員として働きたい人は、高給を求めている場合が多いようです。求人広告には「勤務5年目、Aさんの年収」のように具体的な年収例を表示するようにしましょう。また、将来的には自分で介護事業を起業しようとしている人も多いようです。求職者の未来の展望に期待できるような求人広告になると良いでしょう。

 

Q5.家族がインフルエンザにかかってしまった場合、利用者に伝染らないように、仕事は休みますか?

A5.介護職員に聞いたところ、多くの人は「発症していなければ、マスクをして出勤する」と回答していますが……厚生労働省「高齢者介護福祉施設における感染対策マニュアル」によると『職員の家族が感染症に感染している場合は、職員自身も自己の健康に気を配り、症状が出たら早めに上長に相談するようにしましょう。』とあります。まずは、家族がインフルエンザにかかったことを上長(管理者)に報告し、指示を仰ぎましょう。

 

Q6.今度、訪問介護のサ責になるのですが、現場で事故やトラブルが起きた場合、全責任はサ責にかかるのですか?

A6.責任という意味では、サ責ではなく事業所にかかります。サ責が金銭的な負担を強いられることはありません。ただ、利用者やその家族に対しての謝罪等の行為はサ責が行うことになるでしょう。

 

Q7.「管理職になりませんか?」と言われる人と言われない人、この差って何ですか?

A7.経験値の差は当然としてありますが、「過去の査定成績」や「責任感」「協調性」「統率力」が必要とされます。では、これらの能力が全て備わっていれば、お声が掛かるかと言うとそうではなく、運によるところもあります。どんなに優秀な人であっても、関係施設に空きポストがないと上がれませんし、逆に現在の管理職員が辞めることになって、急に任命されることもあります。実力にも運にも左右されるということです。

まとめ

管理職の仕事って、事務作業や介護の仕事など多岐に渡るので、業務的な負担は大きいですよね。ただ、これまでにも書いてきたように、やっぱり給料は比較的高いです。
しかも、介護全体のことを理解できる立場にいるので、転職して他の企業に移っても管理職としての能力を発揮すれば活躍できる可能性は高いです。
また、コミュニケーション能力を伸ばすことができるので、そのコミュニケーション能力を普段の生活にも活用することができるという点でも、魅力のある仕事と言えるでしょう。

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