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特集・コラム 2020-03-27

鍼灸師はスポーツトレーナーとしても活躍できる? キャリアアップにおすすめの資格とは?

スポーツトレーナーはスポーツ選手をサポートする仕事ですが、日本にはスポーツトレーナーの国家資格がありません。現在、スポーツトレーナーとして仕事をしている方が取得している資格には、鍼灸師や柔道整復師の国家資格などがあります。

鍼灸師の資格を持っているなら、スポーツトレーナーとして活躍できる可能性があるのです。ここでは、その理由や、キャリアアップにおすすめの資格などについてご紹介します。

鍼灸師はスポーツトレーナーとしても活躍できる!

鍼灸師は、スポーツトレーナーとしても活躍できます。ここでは、鍼灸師がスポーツトレーナーとしてどのように活躍できるのかについて解説していきましょう。

鍼灸師なら施術を組み合わせることが可能!

鍼灸師がスポーツトレーナーとして仕事をする場合、選手のサポートのために鍼灸師だからこそおこなえる施術を組み合わせることができます。まずは、鍼灸師がどのようなサポートをするのか見ていきましょう。

回復や予防など選手の体調管理もサポートできる

スポーツ選手にとって、健康で強靭な肉体はとても大切なものです。とはいえ、身体を酷使するスポーツ選手であれば、競技中や練習中に故障してしまうことも少なくありません。鍼灸師は、スポーツ選手が競技でケガをしてしまった場合など、専門知識や技術を活かして治療をすることができるのです。また、ケガの回復だけでなく、ケガや病気を予防するための試みもおこなうことができます。

スポーツ選手はドーピング検査を受けることがあるため、安易に薬を利用することができません。一般的な治療薬を飲んだだけでも陽性反応が出てしまうこともあります。ここで役に立ってくるのが鍼灸師の治療です。鍼灸師の治療には薬を使わないので、スポーツ選手の体調管理にとって都合がよいのです。

鍼灸師とスポーツトレーナーの仕事の違いとは?

鍼灸師はスポーツトレーナーとして活躍できますが、鍼灸師の仕事内容とスポーツトレーナーの仕事内容には違いがあるのでしょうか。ここでは、鍼灸師とスポーツトレーナーの仕事の違いについてご紹介します。

鍼灸師の仕事は、はり(鍼)ときゅう(灸)を使って施術をおこない、患者様の身体の健康を回復するサポート、あるいは治療します。西洋医学のように医療機器や薬を使うことなく、東洋医学に基づいたはりときゅうを使って身体のツボを刺激して、人間の自然治癒力を高めていくのです。

一方、スポーツトレーナーの仕事は、スポーツ選手がよりよく競技できるようサポートすることがあげられます。そのため、トレーニングの指導からケガの治療や予防、体調管理、生活指導まで、スポーツ選手の能力を最大限に引き出すため、最良のコンディションを保つ支援をしていきます。

鍼灸師の仕事は、はりやきゅうを使って身体のツボを刺激し、健康を保ちケガや病気を予防して、自然治癒力を高めていくことがあげられます。これは、スポーツトレーナーが選手をサポートするための一部ともいえます。

スポーツトレーナーとして正社員で就職できる? 求人情報をチェック!

鍼灸師は、スポーツトレーナーとして活躍できる可能性があることは分かりました。では、鍼灸師のスポーツトレーナーの需要はあるのでしょうか。ここでは、求人情報をチェックした結果をご紹介します。

鍼灸師のスポーツトレーナーの需要は高い!

結果からいえば、鍼灸師のスポーツトレーナーの需要は非常に高いです。ここでは、東京、神奈川、埼玉に分けて、どのような募集があるのかご紹介します。

・東京都
東京都では、鍼灸師のスポーツトレーナーの求人が数多くあります。鍼灸院だけでなく、整骨院や治療院、スパなどの求人があり、そのほとんどで、正社員として募集されています。月給は18.3~100万円と非常に幅があり、勤務先や経験、資格などによって大きな違いがあるようです。

・神奈川県
神奈川県でも、鍼灸師のスポーツトレーナーの求人が非常に多くあります。正社員としての募集も多く、経験を問わない求人も少なくありません。未経験から研修を受け、知識や技術を身につけながら勤務できるのです。月給は16~50万円と、やはり勤務先や経験、資格などによって大きく異なります。

・埼玉県
埼玉県でも鍼灸師のスポーツトレーナーの求人はあり、海外研修など、福利厚生が充実している募集もあります。月収は18~45万円で、東京や神奈川と同様に、勤務先や経験、資格などによって違いが出てくるようです。

鍼灸師がスポーツトレーナーとして勤めた場合の年収はどれくらい?

鍼灸師がスポーツトレーナーとして勤務した場合の年収は、就職した勤務先や経験、取得している資格、それまでの実績などによって、大きな違いがあります。調査した求人情報によると、およそ200~1,600万円という結果となり、実力によって非常に幅広いようです。

スポーツトレーナーとしてキャリアアップにおすすめの資格を紹介

鍼灸師はスポーツトレーナーとしても活躍でき、需要も非常に高いことが分かりました。ここでは、さらにキャリアアップするために、おすすめの資格をご紹介します。

柔道整復師

スポーツトレーナーとして活躍している方が取得している資格としては、鍼灸師のほかには柔道整復師の資格があります。

鍼灸師は国家資格ですが、柔道整復師も同様に国家資格です。柔道整復師は、ほねつぎや接骨師と呼ばれ、古くから知られている職業です。柔道整復師の資格を取得するには、文部科学省が指定する4年制大学か、都道府県知事が指定する専門の養成施設で3年以上学ぶ必要があります。

柔道整復師の受験資格とは?

柔道整復師の国家試験は、誰でも受験できるわけではありません。厚生労働省が定めた受験資格があるのです。

柔道整復師養成施設に指定されている専門学校や大学を卒業、または卒業見込みの方に受験資格があります。卒業するためには、在学中におこなわれる認定実技試験に合格していなければなりません。

ここからは、柔道整復師養成施設として指定されている学校の一例をあげてみましょう。

東京有明医療大学|柔道整復学科

東京有明医療大学の柔道整復学科は、柔道整復師養成施設に指定されている大学です。4年間に、主に以下のようなことを学んでいきます。

・1年目
医学の基礎や教養教育を学び、基礎的な身体のつくりや仕組みなどのほかに、柔道整復の歴史を学びます。

・2年目
基礎にもとづいて、内科や整形外科、病理学や薬理学など、幅広い分野について学びます。

・3年目
骨折実技や脱臼実技、画像診断学など、臨床のための具体的な整復学の知識や技術を学びます。

・4年目
臨床実習として、付属接骨院で実際の患者様に対応し、多くの症例を経験する。

出典元:東京有明医療大学 柔道整復学科

北豊島医療専門学校|柔道整復科(夜間)

鍼灸師やスポーツトレーナーとして働きながら、さらなるキャリアアップを目指すためには、夜間の学校がよいでしょう。北豊島医療専門学校の柔道整復科は、夜間のみの柔道整復師養成施設で、働きながら学べる学校です。

北豊島医療専門学校は3年制の専門学校で、平日の夜間のみの学校です。授業時間は18時半~21時半までとなっています。多くの夜間部のある専門学校では、昼間部や午前部なども併設されており、複数の課程の学生で教員や施設などを共有しています。ですが、夜間部のみという北豊島医療専門学校では、施設や教員、教材などを夜間部のみでフル活用できるので、効率よく学ぶことができるのです。

出典元:北豊島医療専門学校 柔道整復科(夜間)

東京柔道整復専門学校|柔道整復コース:夜間部

東京柔道整復専門学校の柔道整復コースも夜間部となっていて、鍼灸師やスポーツトレーナーとして働きながら通える専門学校です。こちらの学校は午前部と午後部も併設されていて、午後部では柔道整復師の国家資格の取得に向けた授業に加えて、スポーツ科学の基礎も学べます。

こちらの学校では、夜間部の授業時間は平日の18時~21時10分までとなっています。3年制の専門学校で、3年目には土曜日の授業もあるなど、柔道整復師としての確かな知識・技術を得るためのサポートが盤石な環境です。

出典元:東京柔道整復専門学校 柔道整復コース:夜間部

NSCA|NSCA-CPT

鍼灸師がスポーツトレーナーとしてキャリアアッフするための資格のひとつに、NSCA-CPTがあります。NSCA-CPTはNSCA認定資格のひとつで、NSCA認定資格は、2018年8月時点では4万6,000人以上の取得者がいる資格です。

NSCAとはNational Strength and Conditioning Associationの略で、アメリカコロラド州に本部をもつ、フィットネス業界などで広く認知されている資格団体です。日本にも支部があります。

NSCA-CPTは、健康状態や体力、身体能力などに応じて、最良のトレーニングプログラムを組むための資格です。指導できるのは、スポーツ選手をはじめ、年齢や性別、経験などを問わない、あらゆる人が対象となります。このため、トレーニングの知識のほかに、医学的、運動生理学的な専門知識や技術も身につけていなければなりません。

日本スポーツ協会|アスレティックトレーナー

日本スポーツ協会が認定する民間資格であるアスレティックトレーナーは、スポーツの現場で発生するケガに対して、応急処置や救急車を呼ぶ判断をおこなうための資格です。このほか、スポーツ選手の健康管理やケガ・障害の予防、リハビリ、体力トレーニングなどもおこないます。

この資格を得るためには、人間力や医・科学的知識などの共通科目を150時間、スポーツ科学やスポーツ外傷・障害の基礎知識など、専門科目を600時間受講する必要があります。

鍼灸師はスポーツトレーナーとしても活躍できる! キャリアアップもおすすめ

鍼灸師はスポーツトレーナーとして活躍できる可能性があり、求人情報の一覧をチェックすると、その需要も非常に高いです。

鍼灸師の資格のみでも活躍は十分可能ですが、さらなるキャリアアップを目指すならば、柔道整復師やNSCA-CPTなど、関連する資格を取得することもおすすめです。

引用元:
公益財団法人 日本柔道整復師会「柔道整復師とは」
厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」
NSCA JAPAN「NSCA認定資格とは」
公益財団法人 日本スポーツ協会「アスレティックトレーナー」

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