【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.7】『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』新船敬洋さんが発信! 鍼灸師の魅力とは
「ヘルスケア業界」の多様な働き方を紹介する「もっと知りたい! ヘルスケアのお仕事」の企画。今回は「鍼灸師」の職業に焦点を当ててお届けします。
ご自身で開業された『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』で鍼灸師として働いている新船敬洋さん。前回はその道を志したきっかけや、新船さんが仕事に取り組むうえで心掛けていらっしゃることをお聞きしました。今回は、鍼灸師のお仕事の魅力や未来の鍼灸師へ向けたアドバイスをお披露目します。
鍼灸を通じて患者さんの人生に携われることが幸せです
―新船さんは、どんなときに仕事にやりがいを感じますか?
来院された患者さんの不調を鍼灸で緩和することができたときは、その人の人生に自分が少しでも役に立てたのかなとすごくうれしく感じますし、やっていてよかったなと思えます。以前に、薬が効かず悩まれていた患者さんを鍼灸で良好な状態まで導けたときは「薬に勝った!」というような気持ちになり、内心、とても喜びました(笑)。
昨年、千葉県が台風の被害に遭われた時期に病院で外来をしていたときも、肩こりや腰痛などの治療だけでなく、よく眠れるようにするなどの精神的なケアにおいてもサポートすることができました。日頃からきちんと知識を身につけておけば二次医療のときもオールマイティに活躍することができるんだと改めて鍼灸師の仕事を誇らしく思いましたね。
また、鍼灸は飛鳥時代から途絶えることなく現代まで続いてきた、伝統的な側面もある施術でもあるので、医療という現場に立ちながら、日本の伝統的な仕事にも携わることができる面でも非常にやりがいを感じています。
―では新船さんが仕事を通じて自分自身の成長を感じるときはありますか?
この仕事をはじめたことで人に優しくなりました。例えば、不妊で苦しまれている患者さんを診察していくと、不妊の事実だけでなく、実は不妊による義母との人間関係に苦しまれているなど、さまざまな人間関係が徐々に浮き彫りになってきます。鍼灸院には日々いろいろな事情を抱えた患者さんがいらっしゃるので、相手の話を聞いていくうちにその人の人生を疑似体験しているような感覚になり、人の心に自然と寄り添えるようになりました。
開業するための経営策をしっかり練ることが重要に
―ここからはこれから鍼灸師を目指す人たちに向けてアドバイスをお願いします。
まず、新船さんは鍼灸師にはどんな人が向いていると思いますか?
僕は「人の話をよく聞いて判断できる人」と「コミュニケーションが上手にとれる人」が向いていると思います。鍼灸師は、患者さんの話に耳を傾け、患者さんが困っている症状の原因を抽出してアウトプットすることがかなり大切になります。それができないと、患者さんとの意思疎通が成り立たず、結果、独りよがりな施術になってしまいます。
―では、これから鍼灸師を目指す人へのアドバイスをお願いします。
鍼灸師は、最終的に自分の院を開業したい人が多いと思うので、そのためにも経営の面はきちんと知っておいたほうがいいと思います。とはいっても僕も開業したての頃は分からないことばかりだったので、お金の管理はつねに行う、分からないことは先輩の経営者にひたすら聞いたりしてなんとかここまでやってきました。
そもそも開業をするためには、腕前だけでなく「資金」が必要になります。お金に余裕がない状態で夢だけでスタートしてしまうことはとてもリスクが大きいので、僕が学生の講義に出るときは、事業計画書の作り方、保険を使うことのメリット・デメリットなど、学校では教えてくれない知識などをあえてレクチャーしています。
施術は気持ちと常にリンクしているので経済的な安定も含めて自分に余裕がないと、いい施術を提供することは絶対にできません。つねにベストな施術をするための経営方針をしっかり立てるか、あるいはお金と施術の結びつきを断ち切って、利益は求めない強い意志を持つかのどちらかが必要になります。
―貴重なアドバイスをありがとうございます。新船さんの今後の展望を教えてください。
病院に営業したことがきっかけで、今ではいくつかのクリニックで鍼灸外来をつくっていただいているので、これからは薬以外の治療方法の一つとして鍼灸を認知させていけるように働きかけていきたいですね。だからこそ、SNSを介してのPR活動やセミナー業にも今後は力を入れていきたいです。
開業される人が多い鍼灸師のお仕事こそ、経営の面もしっかり学ぶことが大切なのですね。夢を現実に結びつけるための力強いアドバイスをたくさん頂戴できました! 次回は新船さんの手技にフォーカスしてお届けします。
『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』の新船さん流! 一人前の鍼灸師になるための3つの極意
1.コミュニケーション力を磨く
2.自分がどんな鍼灸師になりたいのかを明確にする
3.経営能力を身につける
▽#3はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事vol.7】『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』新船敬洋さんの手技&技術>>
教えてくれたのは…
ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院 院長 新船 敬洋さん
鍼灸師。恵比寿で院長として2年間働いたのちに独立し、目黒に『しんふね鍼灸治療院』を開業。2018年、院を原宿に移設し『ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院』に。現在は東京・千葉の病院で鍼灸外来も担当している。
Store Data
ハリフネ原宿 しんふね鍼灸治療院
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-34原宿コーポ別館205
TEL:03-6450-4079
URL:https://medishin-acp.com/