介護事務からケアマネを目指すにはどうすればいいの? 実務経験ルートを解説!
ケアマネはケアマネジャーを略したものであり、介護保険の導入に合わせてできた資格です。介護業界のなかでとても重要な役割を果たす仕事であり、介護事務など介護の仕事に就いている人の多くが取得を目指している資格といえます。今回は、介護事務からケアマネを目指す方法をご紹介しますので、ケアマネを目指している人はぜひ参考にしてくださいね。
介護事務からケアマネジャーを目指すには? ケアマネの受験資格を解説!
ケアマネジャーは介護保険サービスを利用する人の相談に乗り、ケアプランの作成や関係機関との調整などの業務をおこないます。正式名称は介護支援専門員といい、介護支援専門員実務研修受講試験に合格することでケアマネを名乗ることが可能です。介護事務とは介護施設などで介護報酬請求業務を中心に事務作業をおこなう仕事ですが、この介護事務からケアマネを目指す場合、まずは試験を受ける必要があります。そこで、まずはケアマネの受験資格についてみていきましょう。
1. 受験地|勤務地と住所地はどう違うの?
受験地は勤務地または住所地になります。たとえば、東京都で受験資格の対象業務に従事している場合の受験地は東京都です。受験資格の対象業務に従事していない場合は住所地が受験地となります。全国どこでも受けられるわけではないので注意するようにしましょう。
2. 必要な実務経験|受験資格対象業務と年数とは?
受験資格対象業務とは、どのような内容の業務なのでしょうか。ここでは対象となる国家資格と相談援助サービス従事者、必要な実務経験期間について解説します。
対象となる国家資格|看護師などの医療職・社会福祉士・精神保健福祉士など
対象となる国家資格は、以下のような資格を持っている方です。
医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師、きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士を含む)・精神保健福祉士
出典元:受験資格コード
対象となる相談援助サービス従事者|老人福祉施設で働く生活相談員・支援相談員など
対象となる相談援助サービス従事者は、以下の方が対象です。
指定居宅サービスなどの生活相談員・指定地域密着型サービスなどの生活相談員・指定介護老人福祉施設などの生活相談員・介護老人保健施設の支援相談員・指定介護予防サービスなどの生活相談員・障害者の日常生活や社会生活を支援する相談支援専門員・指定障害児相談支援をおこなう相談支援専門員・生活困窮者自立支援事業をおこなう主任相談支援員
まずは対象になる仕事に従事しているかどうかを確認するようにしましょう。
出典元:相談援助業務に従事する者
実務経験期間とは?|通算5年以上かつ当該業務従事900日以上
必要な実務経験期間は通算5年以上かつ当該業務従事900日以上です。たとえば対象となる国家資格を取得してからの実務経験が5年以上の場合、複数の受験資格対象業務を合算した実務経験が5年を超える場合は必要な期間を満たしているといえます。一方で、対象となる国家資格を取得していても当該資格にもとづく本来業務でない場合は受験資格要件を満たしません。対象となる国家資格を有する前に実務経験があっても、実務経験期間は資格取得をしたあとから算定します。そのため、国家資格を取得してからの実務経験が5年未満の場合は対象外です。
注意! 介護事務の勤務年数は実務経験に含まれない
介護の現場で働いていたとしても、介護事務は実務経験に含まれないので注意するようにしましょう。受験資格を満たす従事者は、生活相談員や支援相談員などに限られます。
介護事務からケアマネを目指すルートを解説!
実務経験に含まれない介護事務からケアマネを目指す方法はいくつかあります。介護事務からケアマネを目指すルートについて確認しておきましょう。
介護専門職の資格を取得しよう|介護福祉士になるには実務経験期間算定の具体例
ケアマネを目指しやすいのは、介護実務系の資格を取得する方法です。一例として、介護福祉士になるための手段をご紹介します。
おすすめは実務経験ルート|3年以上の実務経験+実務者研修
介護福祉士の受験資格取得ルートは大きくわけて養成施設ルート・実務経験ルート・福祉系高校ルート・経済連携協定(EPA)ルートの4つありますが、一番おすすめなのは実務経験ルートです。介護などの業務に従業した期間が3年以上かつ540日以上の場合、実務者研修を受ければ受験資格を満たすことができます。受験申込時には期間と日数を満たしていなくても、試験実施年度の3月31日までに指定の期間と日数を満たせれば実務経験見込みとして受験可能なので、よく確認しましょう。
実務経験の範囲については、以下のように定められています。「身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む)をおこない、その者およびその介護者に対して介護に関する指導をおこなうこと」です。実務者研修とは実践的な知識と技術の習得を目的としたもので、介護の専門家としてのスキルを身につけられます。自宅学習、または通学学習を選択すること可能です。
実務経験以外のルートである養成施設ルートは、介護福祉士養成施設で1年または2年以上学ばなくてはいけないため、介護事務の仕事をしながらでは難しいでしょう。福祉系高校ルートはすでに普通の高校を卒業している場合には該当せず、経済連携協定(EPA)ルートはEPA介護福祉士候補者が対象で3年以上の実務経験が必要となります。
まずは介護職員初任者研修から始めよう!
介護福祉士を目指す前に、まずは介護職員初任者研修の資格をえるのもひとつの方法です。介護職員初任者研修とは、介護にたずさわる人が最低限の知識と技術、考え方のプロセスを身につけて基本的な介護業務をおこなえるようにすることを目的としています。合計130時間のカリキュラムを修了し、修了試験に合格すると資格の取得が可能です。カリキュラムの研修科目は次のようになっています。
・職務の理解
・介護における尊厳の保持と自立支援
・介護の基本
・介護と福祉サービスの理解と医療との連携
・介護におけるコミュニケーション技術
・老化の理解
・認知症の理解
・障害の理解
・こころとからだのしくみと生活支援技術
・振り返り
スクールによってはカリキュラムに加えて実習をおこなうところもありますが、近年では実習ではなくスクーリングの実施が主流です。入門資格なのでほかの資格よりも取得が容易であり、通信講座の場合は最短1カ月で受講を修了できます。介護職員初任者研修を取得しておくと介護福祉士の資格取得がスムーズになるので、まずは資格を取得して仕事を覚えていきましょう。
国家試験合格後|介護福祉士のお仕事をして実務経験を積もう!
国家試験に合格したあとは、介護福祉士として実務経験を積んでいくのです。実務経験が5年以上になれば、ケアマネの受験資格を満たすことが可能となります。介護福祉士の仕事内容は、介護利用者やその家族からの相談に対する助言・生活援助・身体介護です。利用者と信頼関係を築き、コミュニケーションをとっていくことが重要になります。
ケアマネはケアプラン作成や利用者の相談業務などをおこなうお仕事!
ケアマネのおもな仕事はケアプランの作成や関係機関との調整です。介護保険サービス利用者の相談業務も大切な仕事であり、とてもやりがいがあるでしょう。介護事務からケアマネを目指すためには、実務経験ルートから介護福祉士になる方法がおすすめです。まずは介護職員初任者研修から経験を積んでいき、介護福祉士の資格を取得したあとはケアマネの受験資格を満たすために実務経験を積んでください。やりがいがある仕事なので、ぜひ目指してみてくださいね。
出典元:
実務経験期間算定の具体例
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験
介護員養成研修の取扱細則について