ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
介護・看護・リハビリ 2022-10-07

ホームヘルパー(訪問介護員)とは?仕事内容・必要な資格・業務の実態について詳しく解説

ホームヘルパー(訪問介護員)とはどのようなことをするのか疑問に感じている人も多いでしょう。ホームヘルパーは正式には訪問介護員と呼称し、介護保険法に基づいた訪問介護を行う専門職です。

本記事では、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容や必要な資格について紹介しながら、業務の実態についても解説します。

ホームヘルパー(訪問介護員)とは


ホームヘルパーとは訪問介護の仕事をする人の呼び名で使われることが多いですが、正式には訪問介護員という名称があります。

訪問介護は、介護福祉士や訪問介護に関連する資格保持者などの「政令が定める者」が仕事を行える制度になっています。この制度は主に介護保険法と障害者総合支援法に基づいているため、原則として資格保持者でなければ業務として行うことができません。

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事は介護保険法と障害者総合支援法に基づいて行われる

ホームヘルパーの仕事は、高齢者や障がい者を対象として身体介護・生活援助を行い、利用者の自立支援と重度化防止を図ることを目的としています。

介護保険法に基づく訪問介護では、要支援・要介護高齢者に対して身体介護・生活援助を行い排せつや入浴、食事や日常生活の支援などを行います。

障害者総合支援法に基づいたサービスを提供する場合には、身体障害や知的・精神障害など厚生労働大臣が定めた基準を満たした障がい者を対象として、身体介護・家事援助・通院等介助などを行います。

これまでは、介護保険もしくは障害福祉どちらかの指定しか受けにくい制度になっており、介護が必要な高齢障がい者がサービスを受けにくいという課題がありました。

しかし2018年4月から制度が改正され介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を施設・事業所として認定されやすくなり、共生型サービスを受けられるようになりました。

このように、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事には2つの制度が異なるサービスがあることは、仕事内容を知る上では大切なポイントです。

ホームヘルパー(訪問介護員)の主な仕事内容


ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事には大きく分けて身体介護と生活介護の2つがあります。ここでは、この2つの仕事内容について詳しく解説します。

身体に直接触れサポートする『身体介護』

ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容の1つに身体介護があります。身体介護とは、実際に訪問介護の利用者の身体に触れて行うサービスのことをさします。具体的には、下記のようなことが挙げられ、業務として行う場合には資格が必要です。

1.食事の介助
2.食事の見守り
3.入浴介助
4.移動介助
5.排せつ介助
6.おむつ交換
7.着替え介助
8.洗面の介助 など

こうした身体介護はホームヘルパー(訪問介護員)の仕事としてできることですが、散髪や介護職員本人もしくは利用者の車を運転して送迎することはできません。

ホームヘルパー(訪問介護員)としてできることとできないことがありますが、その人の持っている病気や障害を理解して、利用者自身で行うことが難しい場合にサポートをすることが主な仕事です。

生活を支援する『生活援助』

ホームヘルパー(訪問介護員)にはもう1つの主な仕事として、生活援助があります。生活援助とは、調理・掃除・買い物代行店・薬の受け取りなど、自分で家事をおこなうことがむずかしい高齢者や障がい者に向けて、日常的な家事をおこなう支援です。

ただし、ご本人の状態によっては、ホームヘルパーがすべておこなうのではなく、一緒に家事をする場合もあります。基本的には利用者自身の自立を支援することを目的としているため、おこなえる仕事内容は限定されています。

利用者以外が同居している場合には生活援助ができなかったり、庭やベランダの手入れ、車の掃除や嗜好品の買い出しができなかったりします。利用者の自立につながらないサポートはホームヘルパー(訪問介護員)の仕事ではないので注意が必要です。

ホームヘルパー(訪問介護員)になるためには資格を持つ必要がある


ホームヘルパー(訪問介護員)になるためには所定のカリキュラムを修了する必要があります。そこで、ここでは仕事をするために必要な資格について下記の3つを紹介します。

1.介護職員初任者研修
2.介護福祉士実務者研修
3.介護福祉士

資格①介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、旧ホームヘルパー2級と同程度の資格です。介護職をはじめる上で資格取得を目指す人も多く、誰でも受験することができます。

カリキュラムとしては、130時間の講習が用意されていてカリキュラムを受講後、筆記試験に合格する必要があります。資格取得まで最短で2ヶ月ほどの期間を要し、90時間程度は実習が必要です。

用意されているカリキュラムのうち40.5時間までは通信講座で受講することもできますが、実習が最低90時間あるので基本的にスクーリングが必須になります。

取得条件としては、ハローワークの制度を利用しない場合で料金が異なります。通学に必要な費用としては、求職中であればハローワークの介護講座を受けられるので無料です。

ハローワークの制度を利用しない場合には、実施団体によって金額が異なるものの、約3~10万円で受講することができます。

介護職員初任者研修の試験は、100点満点中70点以上が合格ラインで合格率は90%以上とされているので合格しやすい資格だといえるでしょう。

資格②介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、旧ホームヘルパー1級と同程度の資格です。平成28年度の制度改正によって導入され、介護福祉士の国家資格を取得するためには必須となります。

また、ホームヘルパーサービスを提供する訪問介護事業所では、「サービス提供責任者」を配置することが必須ですが、介護福祉士実務者研修の修了もしくは介護福祉士の資格が不可欠です。つまり、サービス提供責任者になるためにも必要となります。

介護福祉士実務者研修の受験条件はとくにないので、無資格でも受験することができます。ただし、全カリキュラムが合計450時間用意されていて、半年~1年ほど研修を受けなければなりません。

保有している資格がある場合は、下記のように資格の種類に応じてカリキュラムの受講を一部免除でき、受講料も減額することができます。

介護福祉士実務者研修の受講科目免除条件まとめ

介護職員実務者研修には試験が義務化されておらず、カリキュラムの修了後は、所属しているスクールに応じてそのまま修了証を出す場合と、試験を実施する場合があります。

そのため、試験が実施された場合の合格ラインは各スクールによってことなり、合格率は基本的に公表されていません。

スクールによって制度に違いがありますが、試験を設けている場合でも追試験などが用意されていたり、合格までのサポート体制が整っていることも多いです。スクーリングの費用についてもスクールによって大きく差がありますが、約6~18万円程度となっています。

免除される科目がある場合とない場合によって資格取得にかかる費用もことなるので、詳しくはスクールへ問い合わせるようにしましょう。

資格③介護福祉士

介護福祉士の受験条件には大きく分けて下記の3つがあります。

介護福祉士になるための3つの方法と内容

介護福祉士になるためには、所定のカリキュラムを修めた上で国家試験に合格する必要があります。国家試験は、筆記試験と実技試験が行われ、筆記試験では総得点の60%程度(難易度によって合格ラインの補正あり)かつ11科目において得点があることが必要です。

実技試験でも与えられた課題に対し60%程度の点数を基準として合否が決まります。

ホームヘルパー(訪問介護員)の実態とは?


ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事についてここまで解説しましたが、実際に仕事をしている人はどのようなことを感じているのでしょうか。

ここからは、ホームヘルパー(訪問介護員)のやりがいや大変なこと、給与や1日の流れについて詳しく解説します。

やりがいについて

ホームヘルパー(訪問介護員)は、やりがいを感じて仕事に取り組んでいる人も多くいます。

令和3年度に行われた調査によれば、ホームヘルパー(訪問介護員)への就業理由として、「働きがいのある仕事だと思ったから」と回答している人が49.2%、「人や社会の役に立ちたい」「今後もニーズが高まる仕事」と回答している人もそれぞれ30%近くいることが明らかにされています。

また、ホームヘルパー(訪問介護員)が実際に感じているやりがいについては、「利用者の援助・支援や生活改善につながる(48.1%)」ことや「仕事が楽しい(30.7%)」「自分が成長している実感がある(27.8%)」などがあります。

このように、ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事は利用者への支援や社会貢献だけではなく、自分自身の仕事の楽しさや成長につながることもやりがいになっているといえるでしょう。

ホームヘルパー(訪問介護員)のやりがいについての詳しい内容については下記の記事を参考にしてみてください。
ホームヘルパーの仕事のやりがいとは何か考える

大変なことについて

ホームヘルパー(訪問介護員)として仕事をする上で大変なことには、さまざまなことがあります。令和3年度に行われた調査では、下記のような項目に「やや不満足」「不満足」と回答がありました。

福利厚生
教育訓練・能力開発のあり方
労働時間・休日等の労働条件
勤務体制
人事評価・処遇のあり方

特に休日に関しては、1週間の労働日数が6日あると回答した無期雇用職員は13.8%と介護職の中でも最も多く休日がなかなか取れないという人も多いようです。

また、勤務中はスケジュールが詰まっており、どれだけ丁寧に対応したいと思っていても予定の時間内に仕事を終わらせなければならないというケースも。

訪問介護のみならず、介護業界は人員不足ということもあり休日がとりにくいという現状もあります。

雇用形態と給与について

ホームヘルパー(訪問介護員)の雇用形態は時給制が39.7%で月給制が40.2%の割合を占めており、他の介護職と比べてパートタイムでの雇用形態が多いのが特徴です。

時給は平均で1,226円で月給は176,616円が平均月給です。そのため、業務内容に見合った給料が支払われていないと感じている人も多く、基本給の引き上げを希望しているホームヘルパー(訪問介護員)は有期雇用職員で55.9%、無期雇用職員で61.5%にものぼります。

ホームヘルパー(訪問介護員)の一日の流れ

ホームヘルパー(訪問介護員)の一日の流れは、雇用形態によってさまざまです。正社員の場合には、朝8:30頃出勤し事務所で準備と確認をします。

9:00前には利用者の自宅へ移動し各利用者の身体介護や生活援助を行い事務所へ戻ってからサービス提供後の記録を作成し一日の業務が終了します。

訪問介護の詳しい仕事の流れについては下記の記事を参考にしてください。
訪問介護の一日の流れを紹介|訪問介護のやりがい・魅力とは

ホームヘルパー(訪問介護員)として利用者の日常をサポートしよう


ホームヘルパー(訪問介護員)を目指している場合には、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修の資格を取得するのがおすすめです。

すでに介護職に就かれている場合には、スキルアップとして介護福祉士の資格を取得するのもよいでしょう。

仕事内容は大変なことも多いですが、やりがいがある仕事でもあるので利用者の日常をサポートできるホームヘルパー(訪問介護員)を目指してみてくださいね。

引用元
社会福祉法人全国社会福祉協議会「福祉の資格」
日本ホームヘルパー協会「訪問介護員の仕事とは」
第3回福祉人材確保対策検討会(H26.7.1)「介護福祉士資格の取得方法について」
公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度介護労働実態調査」

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くのホームヘルパー求人をリジョブケアで探す

株式会社リジョブでは、介護・看護・リハビリ業界に特化した「リジョブケア」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄