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ヘルスケア 2021-01-26

【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.20】フィットネストレーナー 山口絵里加さんの「この道を目指したきっかけ」

ヘルスケア業界のさまざまな職種にフォーカスし、その道で働くプロにお仕事の魅力や経 験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。

今回はフィットネストレーナーとして、自らが考案した「美コア」の指導に当たっている山口絵里加さんにインタビュー。山口さんがスポーツの道を目指したきっかけから、「美コア」が多くの人に認知され、テレビや雑誌などの多数メディアでも取り上げられるようになった現在に至るまでの道のりを伺いました。

教えてくれたのは…

「美コア」メソッド考案者/フィットネストレーナー 山口 絵里加さん

スポーツトレーナーとしてアスリートのボディメンテナンスからキャリアをスタートしたのち、運動・食事・睡眠の質や姿勢も含めた生活習慣を整え、体幹(コア)を鍛えながら体温上昇と代謝アップを目指すオリジナルメソッド「美コア」を考案。

生活習慣改善で1ヶ月-10キロを実現するダイエットスペシャリストとして、数多くのアスリートやモデル、芸能人からも支持され、女性誌、テレビ出演の他、著者も多数。トレーニング動画を配信するYouTubeチャンネル登録者数は15万人を超える。現在は、東京・麻布十番にある『美コア東京スタジオ』を基点に活動し、美コアを全国に広め、インストラクターも養成するなど幅広く活躍中。
Instagram:@erika__yamaguchi
YouTube:美コア / Erika Yamaguchi

自らドアを叩き、スポーツトレーナーの師匠に弟子入り

―はじめに、山口さんの現在の活動について教えてください。

私が考案した「美コア」というメソッドの指導にあたっています。トレーニングレッスンの内容もグループレッスン、パーソナルレッスン、カウンセリング、コンディショニングといった10種類以上のメニューの中から一人一人のニーズに合わせたものを提案しています。

また、生徒さんへの指導に加えて「美コア」のトレーナーの育成にも力を入れています。美コアはアンチエイジングのメソッドになるとともに、今は運動以外も教えられるトレーナーが必要になっている時代なので、ゆくゆくは「運動」「食事」「生活習慣」の3本柱で指導を行うことができるトレーナーを育成しています。

―では、山口さんがスポーツの道を目指されたきっかけから教えてください。

元々テニスをずっとやっていたこともあり、スポーツは大好きだったので、学生時代から漠然と「将来はスポーツに携わる仕事につきたい」と思っていました。はじめはテニスプレーヤーになりたかったんですが、現役のときに左足首を疲労骨折したことで、プレーヤーの夢は断念せざるを得なくなってしまいました。ですがそのときに、スポーツトレーナーさんが怪我の対応にあたってくださったことで「スポーツの分野にはこういう仕事もあるんだ」と、スポーツトレーナーという職業に目を向けるようになりました。そこからは「プロの選手をケアできるスポーツトレーナーになりたい」と思うようになり、本格的に目指すようになりました。

―では、高校卒業後はスポーツトレーナーの専門学校へ?

はい。高校卒業後は、スポーツトレーナー科のある専門学校に入学しました。しかし、専門学校で学んでいくにつれて、トレーナーを目指す人はたくさんいても、自分の夢でもある「選手の元で働ける人」は、一握りしかいないという現実に直面しました。そこで私は「このままじゃいけない」という危機感を覚え、専門学校に通いながら現役のトレーナーの弟子につこうと考えるように。整形外科の先生や、プロの選手の元で働いているトレーナーさんに片っ端から電話をかけ、弟子入りの申し込みをしました。

そんななかで、とある会社が「お給料やアルバイト料は出さないけど、それでもいいなら現場を見学しにきなさい」といってくださり、アシスタントとして働かせてもらえることになったんです。アシスタントといっても、やらせてもらえるのはフロントの受付やタオルを渡すといった仕事が中心だったので、向こうは1週間くらいで辞めるだろうと思っていたようですが(笑)、結果的に1年ほどアシスタント業務につかせてもらいました。当時の私からすると、アシスタントの仕事もやること全てが新鮮に感じてられて面白かったので、アシスタント業務も不思議と苦にはならなかったんですよね。

―アシスタントに就いたことで得られた知識などはありましたか?

たくさんのことを学ばせていただきました。私が弟子入りした師匠は、ある球団のトレーナーを長年務めていた方だったので、いろんな選手の方が師匠の元をよく訪れていて、その度に師匠の手技をひたすらメモしていました。それを1年続けた結果、師匠から「人の体をコンディショニングするポジションについてみるか?」と言っていただき、専門学校卒業と同時に、スポーツトレーナーとして正社員で入社しました。

通常は卒業後、職場でアシスタント業務を行うことからスタートしますが、私は在学中にアシスタントを経験していたので、すぐに人の体を触るポジションにつかせていただけました。そこではテーピングやアイシングで怪我をした人の応急処置を行うなど、いわゆる人の体の機能を整える施術をしていました。入社してからは一般の方から著名人の方たちまで、たくさんの人の体を見させていただき、約2年間で管理職にまでもっていっていただきました。

女性の体に着目したことで「美コア」が生まれました

―では、独立に至ったきっかけを教えてください。

有り難いことに、師匠の元ではたくさんの経験を積ませていただきました。けれど同時に、トレーナーの役割に物足りなさを感じるように。そう思うようになったきっかけが、ふとあるとき横断歩道を歩いている人の姿を見たときに「どうしてこんなに姿勢が乱れているのに普通に歩けるんだろう?」と、一般の人たちの姿勢に疑問を感じたことがはじまりでした。それまでの私は、姿勢の軸がきれいに取れている選手たちばかりを相手にしてきたので、失礼ながら、一般の人たちとプロの方とではこんなにも姿勢が違うのかと、ものすごく驚いたと同時に、興味が沸くようになったんです。けれど、師匠の元ではその疑問に対する解決策を見いだすことは難しかったので、師匠にこの先自分がやっていきたいことを相談したところ、独立を後押していただき、フリーランスで活動することを決めました。

―独立後はどのようにして活動を広めていったのですか?

まずは福岡のマンションの一室を借りて、パーソナルトレーナーとしてコンディショニング、食事、生活面の指導をはじめました。加えて、福祉施設に自分の技術を売り込みに行き、日頃から腰や肩などをたくさん使っている介護福祉士さんたちのケアを行っていました。

そして、自分のサロンと介護施設を行き来しながら多くの女性の体のケアをしているうちに、女性の不調はなぜ起こるのかに着目するようになり、まずは自分の体を見つめ直すようになりました。当時の自分は病気しやすく、肌の不調にも敏感でしたが、それらの原因を試行錯誤して追求していったところ「体温」がカギになっていることがわかりました。そして当時35.4度だった体温を、36.8度にまで高めると、同時に免疫力と代謝率もアップしたんです。そこで作り上げられたメソッドが、「美コア」になります。

美コアを考案してからは、「このメソッドを世界中に広めたい」という思いで、医学的な根拠を実証してほしいとお医者さんに説得を続けながら、自分のサロンで指導にあたっていました。けれど、たくさんのお客さまから「美コアを世界に広めるためには、まずは東京に行った方がいい」と後押ししていただき、その翌月から東京に拠点を移しました。

―決断されて翌月に東京!? すごい行動力ですね。

でも当時は東京に人脈が全くなかったので、まずは「YouTube」で美コアの発信をすることから始めました。さらに、当時は今ほどYouTubeも流行っていなかったので、「facebook」も活用していろんな人にメッセージを送り、自分を売り込んでいきました。そして稼いだお金でなるべく海外に行き、自分の技術を売り込んでいました。するとあるとき、シンガポールに住む大富豪の方から「2ヶ月で僕の体重を10kg落とすことができますか? 代金は成功報酬型で渡航費は出します。」とメッセージをいただいたんです。当時の自分は時間もありましたし、タダで行けるしラッキーぐらいの気持ちで、その方の依頼を二つ返事で引き受けてシンガポールに渡りました。そして結果的に、期間内に目標の体重まで痩せさせることに成功しました。すると、その方がすぐに私のことを宣伝してくださり、今度はドバイに行くことに(笑)。

そんな生活を繰り返しているうちに、富裕層を中心に口コミが広まっていき、日本でも徐々にやりたいと言ってくださる方たちが増えてくるようになりました。そして同時に行っていたYouTubeも再生回数がぐんと伸び、あるテレビ番組のオファーをいただきました。そこからいろんなダイエット番組にも呼んでいただけるようになり、さらに多くの方たちに「美コア」を知っていただけるようになりました。

―山口さんの出社から退社までのタイムスケジュールを教えてください。

レッスンを行うにあたっても、まずは自分の健康が第一なので、朝は早くからスタートし、何もなければ夜早めに退社することが多いです。日中は、打ち合わせなどがないときは1人1時間配分のレッスンを通しで7本程度行うときもあります。

持ち前の行動力でどんなことにも挑戦していったことが、幅広く活躍されている現在に繋がっているんですね。次回はフィットネストレーナーを目指す上でのアドバイスを、山口さんにお聞きします!

▽#2はこちら▽
【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.20】フィットネストレーナー 山口絵里加さんが伝える「仕事をする上で大切なこと」>>

取材・文/小沼奈央(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)

Information

美コア東京スタジオ

住所:東京都港区麻布十番2-9-2 B1
TEL:03-6275-1307

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